ロケハンは前回の撮影場所を中心に確認作業から始めた。今回は設定が秋なので同じ場所に行っても冬と比べると風景が全く異なって見える。まず通りに雪が無い事で広く見えスカスカに感じるのとススキノなのにビルの有り様は東京や大阪の繁華街と大差なく見えてしまう事だ。探偵が雪景色の中、歩いてるだけである種の効果があったけど、ただビル街を歩いていてもあまり期待するものが出てこない。雪景色は映画のワンシーンに思った以上の効果を醸し出してくれる。それに雪でも降ってくれれば尚更で吹雪となったら言う事無しだ。だから前回は道路を雪で埋めつくし、特機の南さんとデザイナーの福澤さんがスノーマシンで何時も雪を降らし、それでも足りずに街中にスチームを多用したけど今回どうしたら魅力あるススキノが撮影出来るのだろうか。北海道が舞台の映画で小樽や函館の街が印象的に撮られているのに比べるとススキノの影が薄いのはこんな理由もあるのかも知れない。アクションが大好きの監督なのでもちろんこの作品中にも沢山の要素があって札幌の市電を下見に行く。準備稿には走行中の電車内はもちろん線路内や途中で車両を止めたりのアクションが描かれていたのだが、すべて軌道法という法律で禁じられていて八方ふさがりの状況だった。
（映画撮影誌より）