半身をもがれる思いだ。
見られるはずのミランの試合が見れない週末なんて…

しかし、このストライキについては実に考えさせられる内容だ。
と言うのも前に日記で書いたようにこれはカルチョ自体の凋落に関わってくるであろう問題だからだ。


今回のストライキは去年のものとまたちょっと違う。
去年はビッグクラブで構想外になった選手を飼い殺せるクラブに対し、
このようなことがないようにと問題敵をしていた。
オッドが中心になっていましたね。

今回はAICの代表、善良人間トンマージさんが中心です。
イタリア政府が高額所得者である選手に対して特別課税を実施することに対し、
この課税負担をクラブ側が負担するべきだとしたものです。


ご存知の通りイタリアは経済的強者ではありません。
極東の某国の様に税収を確保したい現状、高額所得者から税金をとることは
政治的には間違いではないと思います。

しかし、現況でさえイタリアは国外からスター選手の獲得が困難とされています。
その原因は税制度の違いにあります。

サッカー選手は我々とは違い「額面ではなく手取り金額で契約」します。
つまり税金が重い国のクラブは安価な国のクラブより多い額面を支給しなければなりません。

その結果、イタリアのクラブは他国から名のある選手を獲得することが困難になっています。
「移籍するには選手が減棒を飲まなければならない」という理由はここにあります。


選手が自分の評価を金銭で計ることは決して間違いではないと思います。
同じ評価をしてくれるのであれば手取りで多くの金額を手に入れたい。
その思いは人間として当然でしょう。

イタリア人が愛国心故に特別課税を享受するのは理解できます。
しかし、他国の選手がそれをするのはよほど何か理由がなければ苦しいでしょう。
これがきっかけでスター選手はよりカルチョに輸入されることはなくなり、
諸外国より競争力を落とし、フランス、ロシアに抜かれる。
そんなことを危惧すればこそ、選手の為というよりカルチョの為にクラブがこの課税を負担してほしいと考えるのは尤ものような気がします。


しかし、前述したようにイタリア経済は豊かではありません。
パルマ、フィオレンティーナが財政面を理由にAから落ちていったことにもそのことは見て取れるでしょう。
多くの金を無心になって出せるクラブはそうないのです。それはミランも同じです。


近年、オイルマネーという言葉がサッカー界を席巻しています。
チェルシー、マラガ、アンジ…所謂金満クラブと呼ばれるクラブです。
オイルマネーではありませんが、資本価値の高いマンUはイングランド人の心を持たないアメリカ資本に買われたと問題にもなりました。

他国ではこういったクラブが躍進しています。
カルチョにもこの血を入れるべきなのでしょうか。


私の考えではこの劇薬は残念ながら効果的であると思います。
それでもサッカークラブというのは地元愛を礎にした側面もあるべきだと思います。
サッカークラブとは元来、地元の有力者が出資して成り立つ形が多く、
それはイタリアではまだ根強く残っているように思います。
この風土を簡単に放棄するかのような流れにはなってほしくないという思いも強くあります。


カルチョは国、制度の問題で近代サッカー化に関しては遅れを取っています。
その結果、世界一と謳われたイタリアはドイツにも抜かれ4位の地位に甘んじ、
5、6位に落ちることも想像できる位置にいます。


残念ながら今回のストライキも「特別課税に対しどう対処するか」というスポット的な考えに止まっているように感じてなりません。

クラブ側、選手側、そしてカルチョを愛する国土というのであれば国も交えて
早い段階で有効な手を打ち、復興に繋げてもらいたいと切に思います。