血液の病気
Amebaでブログを始めよう!

血液病の克服! 白血病-治療7-

移植に使う造血幹細胞源を3種類紹介しました。

骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植の3種類です。患者さんに対してこの移植を受ける前にしなければならないことがあります。それは移植源の細胞を受け入れるために移植前に存在する自分の血液細胞(悪性細胞も含めて)を体からなくさなければならないのです。この処置(移植前処置と言います)が患者さんにとって辛いものなのです。移植前処置は白血病の患者さんがまず受ける寛解導入療法という治療の510倍の強度の抗癌剤(and/or)放射線療法を受けます(この治療を骨髄破壊的治療と言います)。まさしく字の通りに骨髄が“スッカラカン”になる程の強い治療です。このなにもない骨髄にドナーさんの骨髄、幹細胞、末梢血幹細胞、臍帯血幹細胞が入ると24週間かけて幹細胞が白血球、赤血球、血小板を作り出してゆく訳です。さて、これまで(5年ぐらい前まで)は骨髄を“スッカラカン”にする強力な治療でないとドナーさんの血液が出来ないと言われていました。イスラエルの先生が、患者さんの血液細胞がある程度骨髄に残っていてもドナーさんの血液細胞が取って代わることができることを報告しました。この移植方法が骨髄破壊的移植に対して骨髄非破壊的移植(ミニ移植とも言います)と言われるようになりました。すなわちとても強い治療でなくとも移植が成功するということなのです!

血液病の克服!白血病-治療6-

臍帯(さいたい)血移植

1989年にフランスで始めての臍帯血移植が行われました(兄弟間での臍帯血移植でした)。臍帯血は幹細胞が豊富に含まれている血液です。この臍帯血はお母さんと赤ちゃんをつないでいる臍帯(へその緒)にある血管から採取されます。正常分娩された赤ちゃんと胎盤をつなぐ臍帯が切断され、お母さんのおなかの中に胎盤が残っている状態の時に臍帯血を採取する分娩前採取法と胎盤をお母さんから取り出した後に採取する分娩後採取法の2種類の方法があります。どちらもお母さん、赤ちゃんに害を及ぼすことはありません。この採取された臍帯血を臍帯血バンク(全国に11施設)に運び、幹細胞が多く含まれるように濃縮した後に凍結して保存します。あとは6ヶ月間このまま保存を続け、6ヵ月後に赤ちゃんの健康状態をアンケート調査した後、インターネット(http://www.j-cord.gr.jp/index.jsp )上にこの臍帯血のHLAの情報(当然、個人情報は載りません)が公開されることとなります。この情報を元にして、移植を待っておられる患者さんのHLAとできる限り合う臍帯血を見つけて、臍帯血バンクに提供を依頼、約12ヶ月で臍帯血が依頼施設に搬送されます(あるいは受け取りに行く)。

臍帯から採血できる血液量は多くても100cc程度です。従って、含まれている幹細胞の量が骨髄や末梢血に比べるとおよそ十分の一程度なのです。けれども骨髄や末梢血から採取される幹細胞よりももっと未熟な(非常に若い)幹細胞が含まれているために、時間はかかりますが、ちゃんと血液細胞が再生されます。この幹細胞の数の少なさゆえに当初臍帯血移植は体重の軽いこどもさんに対してのみ行なわれていました。1990年後半になり、成人に対する臍帯血移植の成功例が欧米から相次いで報告されるようになり、日本でも成人に対する臍帯血移植が行われるようになっています。

血液病の克服!白血病-治療5-

末梢血幹細胞移植

骨髄移植は1970年代から始まりました(アメリカのトーマス博士が確立し、ノーベル賞を受けておられます)。前に書いたように骨髄採取は手術場、そして麻酔が必要であることから、ドナーさんにとっては負担となります。もっと簡単に幹細胞(白血球、赤血球、血小板に育っていく若い細胞)が採ることができないかと、考案された方法が末梢血幹細胞採取です。骨髄では白血球1000個に1個がこの幹細胞と言われていますが、末梢血では白血球12万個に1個と言われています。ということは骨髄血が1000cc必要ならば末梢血に換算すると10000cc必要になってしまいます(ドナーさんは失血してしまいます!)。では、どうするのか?1990年代に市販された白血球増加剤(元々、抗癌剤の治療で白血球が減少した患者さんに使う薬剤です)には骨髄から末梢血に幹細胞を押し出してくれる役割(これを幹細胞の動員と言います)があることが判明しました。この薬剤をドナーさんに注射して骨髄から末梢血に幹細胞を動員して、幹細胞が多く見られた時に特殊な器械(血小板献血された方ならば見たことがあるかもしれません)を使って34時間かけて幹細胞を採取します。一部のドナーさんで全く幹細胞が採れない方もおられるために一旦この幹細胞は-80度から-196度の冷凍庫に凍らせて保存しておきます(使用するまでの間に幹細胞がどれだけ含まれているか検査します)。使用可能であれば移植当日に37度の微温湯で溶かして患者さんに輸血します。これで末梢血幹細胞移植が終了します。

この末梢血幹細胞採取には一つ制限があります。それは幹細胞を動員するためにドナーさんに注射する白血球増加因子が血縁者のドナーさんに注射することのみ保険で認められていることです。非血縁者(言い換えれば他人)に白血球増加因子を注射して後々、副作用、合併症が出現する可能性が否定できないために国が現在のところ認めていないのがその理由です。将来的には認められると思いますが、時期は未定です。

血液病の克服!白血病-治療4-

骨髄移植3

非血縁者のドナーさんの基準ですが、年齢が55歳以下で、健康な方となっています。全国の患者さんが対象となり、HLAが一致しているとドナーさんの都合のよい日時・施設で骨髄移植のコーディネーター担当医師が勤務している施設で骨髄採取の説明と確認検査(一般的な血液検査、血液型、ウイルス検査)を行なわれます(当然、連絡があった時点で今回は見合わせたいという意志表示はできます)。HLAが一致しているドナーさんが複数名おられるときには最大5を対象としてコーディネートが同時進行します。この中で血液検査、診察で健康状態が良好で、かつ患者さんの血液型、HLAの条件が一番よいドナーさんに骨髄採取が依頼されることとなります。依頼されたドナーさんは骨髄採取の決意が固いのですが、当然、ご両親、血縁者、配偶者が心配されます。そのため、再度、骨髄採取についてご両親、血縁者、配偶者に説明いたします(これを最終同意と言います)。この最終同意が確認された後に患者さんの治療が始まり、骨髄を提供していただく事になるわけです(当然、骨髄採取する日程はドナーさんに希望していただきます)。ドナーさんの骨髄は1ヶ月後には元通りに戻り、健康診断に来られた時には赤血球数は正常に戻っています。

白血病の治療をされておられる医療施設すべてが骨髄移植を実施できるわけではありません。血縁者間の移植は体制が整った時点でその施設で実施できるのですが、非血縁者間の骨髄移植は過去移植の経験を持つ施設で、骨髄バンクの基準を満たした施設でないとできません。骨髄の採取も同様に経験のある施設しか認められません。移植施設は骨髄採取病院に指定された日に骨髄をもらいに行きます。例えば大阪の移植施設が東京、鹿児島、あるいは北海道まで骨髄を取りに行くこともあります。

骨髄移植可能、骨髄採取可能な施設については骨髄バンクのホームページをご覧下さい。


血液病の克服!白血病-治療3-

骨髄移植2

前後しますが、白血球の型というのはHLAHuman() Leukocyte(白血球)Antigen(抗原))と言います。このHLAは遺伝子の上に乗っていて、両親から受け継ぐものなのです(従って対になります)。HLAHLA-AHLA-BHLA-CHLA-DRHLA-DPHLA-DQと大きく6つに分類することができます。このそれぞれは更に細かく分類されます。例えばHLA –A(2,24)B(51,52)DR(1,8)のように(父親から受け継いだHLA番号、母親から受け継いだHLA番号)を並べて表記する訳です。この6つがすべて合うのは一卵性双生児のみであり、他人同士では天文学的確率となります。そのため移植のドナーさんはHLA-ABDRが一致した人が選ばれています(CDPDQは無視)。このドナーさんの選択が患者さんの運命を握ると言っても過言ではありません。

さて、骨髄移植のための骨髄を採る方法はどのようなものか、というと。

骨盤骨のうち腸骨と呼ばれる骨から採取されます(腰骨です)。ドナーさんは全身麻酔がかけられた後、うつ伏せの姿勢になり、骨髄採取針という特殊な針で1時間前後かけて骨髄の中の血液(骨髄血と言います)を採取します。麻酔がかかっているので痛みはありません。麻酔から醒めてから痛みを感じるようになるのですが、痛み止めを使うドナーさんは40%程度で、採取して2日後にほとんどのドナーさんが退院されます。どのぐらい採るかというと、患者さんとドナーさんの体重によって決まります。基本的には患者さんの体重当り15ccなので、60kgの体重の患者さんならば900cc採取されることになります。患者さんが10kgのこどもさんならば150ccということになります。しかし患者さんの体重が100kgでドナーさんが50kgならば計算上は1500ccの採取になるのですが、50kgのドナーさんから1500ccを採取してしまうとドナーさんの命に関わります。従ってドナーさんの体重によって最大採取量が決まります(50kgのドナーさんならば最大採取量は1000cc)となります。ということは患者さんの体重が重いとドナーさんも重い方でないと難しくなる訳です(患者さんの体重が100kgならばドナーさんは80kg以上でないと必要な量を採取できない可能性があります)。

血液病の克服!白血病3-治療2-

移植について説明します。骨髄移植は骨髄バンクのコマーシャル(昨年メインに流れていたのは星野仙一さん、今、流れているのはサッカーの井原正巳さん)で皆さんに知られるようになったと思います。実は血液病に対する移植は3つあります。骨髄移植、臍帯血移植それと末梢血幹細胞移植と呼ばれるものです。この3つの中には白血球、血小板と赤血球の元の細胞(すなわち血液の赤ちゃん)がたくさん含まれています。
骨髄移植:骨髄は骨の奥にあります。どの骨でも血液を造っているのですが、大人では骨盤骨でたくさんの血液が造られています。この骨盤骨から骨髄血を採取して患者さんに輸血するのが骨髄移植です。骨髄の提供者は血縁者と非血縁者に分かれます。非血縁者ドナーの仲介をするのが骨髄バンク です。現在のドナー登録は30万弱で、少しずつ増えていっています。患者さんは2万弱で、ドナーさんの方が断然多いのですが、残念ながらこの2万の患者さんすべてが骨髄移植を受けることができるわけではありません。なぜなら患者さん一人に対してすべてのドナーさんが骨髄を提供できることができないためです。なぜかと言うと血液型が違うと輸血できないのと同じように白血球にも型があって、この型がある程度合わないと、ドナーさんの白血球が患者さんを攻撃する移植片対宿主病(拒絶病)を発症してしまい、ひどいと命に危険が及ぶことになるためです。この白血球の型がある程度合う可能性は確率的に患者さん1人に対してドナーさん15万人に1人なのです。骨髄バンクはもっとドナー登録を増やすために前述したコマーシャルによる啓蒙を行っている訳です。

血液病の克服!白血病2-治療1-

急性白血病には大きく2種類のタイプがあります。急性骨髄性白血急性リンパ性白血病です。この分類は治療に関して重要な意味を持っています。
治療:治療の第一選択は抗癌剤を使った治療です。皆さんがご存知(本田美奈子さん、またせかちゅうを始めとしたいろいろなドラマ)の移植は第一選択の治療にはなりません。まずは抗癌剤を使って体中に回っている白血病細胞をできる限る少なくすることから治療が始まります。胃癌や肝臓癌などの固形癌といわれる悪性腫瘍は転移巣がなければ切除が可能ですが、白血病は血液に乗っていろいろな臓器に廻っていくために抗癌剤で全身的な治療をしなければならない訳です。この最初の治療を寛解導入療法と言います。この寛解導入療法で見た目(顕微鏡で見て)白血病細胞が見えなくなったとしても体内には1,000,000,000個(以下)の白血病細胞が残っています。この白血病細胞を更に地固め療法という化学療法でできる限り少なくしてゆきます。最終的に急性白血病の5年間再発なく生活できる可能性は20-40%ですが、この20-40%に属している患者さんは最終的には自己の免疫力によって残っていた白血病細胞を押さえ込んでいる可能性が高いといわれています。

血液病の克服!白血病1

白血病のお話をしばらくさせていただきます。
前回書いたように白血病には急性白血病と慢性白血病があります。大きな違いは顕微鏡で見るとわかります。近々、写真をアップいたします。
急性白血病:人口10万に2-4人の割合で発症します。
急性白血病の白血病細胞は顕微鏡で見ると非常に若い細胞です。この若い細胞が血液の白血球のほとんどを占めるようになるわけです。すると細菌などの異物を退治してくれる正常の白血球がなくなってしまい、細菌、カビ、ウイルスに対して無防備になります。すると肺炎や風邪にかかりやすくなります。病院では当然、普通の風邪と診断し、薬を出すことになりますが、薬だけでは細菌やカビ、ウイルスは完全にはやっつけることができないために薬が切れて再び病院に受診、その時に主治医の先生は”おかしい”と思い、血液検査をされることになります。血液検査では白血球の数が極端に多い(あるいは少ない場合もあります)、そして白血病細胞が見られ、専門医に紹介、となります。白血病細胞は血管の中のみならず、血液の工場の骨髄(骨の中ですね)も占拠するために赤血球や血小板も作ることができなくなって、貧血や出血が起こりやすくなります。だから”最近、極端に疲れやすいとかふらふらする”、”歯茎からの血が止まらない””鼻血が止まらない”といった症状で病院に来られる患者さんも少なくありません。

血液の役割について1

血液の役割や病気、治療について簡単に紹介したいと思っています。
血液の事は学生時代に習われたあるいは現在進行形で習っておられると思います。血液の中には白血球、赤血球、血小板という3つの細胞が存在します。このどれも少なかったり、多かったりするとなんらかの症状が出現します。
1.白血球:白血球は血液1マイクロリットル当たり4000-9000個存在しますが、1種類の細胞ではなくて5種類の細胞の総称です。その5種類とは好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球です。好中球、単球、リンパ球は細菌、ウイルス、カビなど外から体内に侵入した微生物を防御する細胞です。好酸球、好塩基球はアレルギーに関係する細胞です。特にアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症)では好酸球が増加します。
 白血球に異常を来たし、本来の役割を果たさなくなる病気の代表が白血病です。白血病は急性白血病と慢性白血病に大きく分けることができます。
2.赤血球:赤血球は酸素を体中の細胞に運び、二酸化炭素を回収して肺まで運んでくれる細胞です。血液1マイクロリットル中に400万-500万個存在します。女性は月経のために男性に比べて少なくなります。この赤血球がいろいろな原因で減少すると貧血が起こります。赤血球が少なくなると酸素の運搬ができないために体内の細胞が酸欠を起こしてしまい、運動不能となるため、全身倦怠感が起こり、心臓は体中に酸素を送り込ませようとがんばるために心拍が速くなってしまいます(動悸がする)。逆に多くなると顔が赤ら顔になり、高血圧が生じたり、多すぎると血液が粘稠となってしまい、手足の細い血管が詰まったり、脳梗塞や心筋梗塞を起こしたりすることになります。
3.血小板:血小板はあまり聞きなれない細胞と思います。とても小さな細胞で血液1マイクロリットル中に18万から30万存在します。小さい細胞ですがとても重要な役目を持っています。それは出血を止めることです。皆さんが怪我をしたときにできる”かさぶた”の成分がこの血小板です。従って少なくなると出血が止まりにくくなってしまいます。多すぎると、血管の中で血小板が固まってしまい、血栓症という病気になってしまいます。赤血球が多くなった時と同じように脳梗塞や心筋梗塞、静脈血栓症などを起こしてしまいます。
(白血病についてお話します)