続・功夫電影専科 -57ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「ツインズ・ミッション」
原題:雙子神偸
英題:Twins Mission/Let's Steal Together
製作:2007年

▼さて本作は、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)&鍾欣桐(ジリアン・チョン)らTwinsの2人が主演した現代アクション活劇です。共演にはサモハン元華(ユン・ワー)呉京(ウー・ジン)などのカンフー系俳優が顔を連ねています(元華と呉京にいたっては一人二役!)。
しかし日本でお披露目された際は、奇しくも例の騒動の後という微妙なタイミングでのリリースとなりました。私としては、そんなモヤモヤを吹き飛ばしてくれる痛快アクションを期待していたのですが…。

■サモハンと呉京は、チベットから仏陀の天珠(これを使うと重病人も治るらしい)という大事なアイテムを輸送していたが、謎の組織による襲撃でこれを紛失してしまう。組織は天珠が香港に運ばれたと知り、血眼になって捜索を開始。その過程で何の罪もない男が惨殺された。
サモハンらも香港へ向かい、天珠を追って調査を始めるが、組織の妨害によってサモハンが負傷する。そこで、かつて双子門という一団(この団体がいまいちどういう集団なのか解らない…窃盗団?)を率いていた元華が手を貸すこととなった。彼はかつての弟子たち(蔡卓妍・鍾欣桐ら)を再び召集し、新たな戦いへと臨んでいく。
 敵の正体は元華の弟(元華の二役)が再始動させた双子門であり、天珠を欲する資産家・石修が裏で糸を引いていた。石修は天珠を手に入れ、これをエサに病魔に侵された妹を持つ張茜から土地を買収しようと企んでいたのだ。だが、たまたま彼女と知り合った呉京の説得により、眼が覚めた張茜は石修の誘いを断るのだった。
一方、元華の弟はまんまと天珠を入手し、雇い主の石修を殺害。張茜の妹を人質に取り、張茜に土地を売れと脅迫してきた(土地買収で元華の弟にどんなメリットがあるかは不明)。蔡卓妍と鍾欣桐たち双子門一行は、暴走する元華の弟を倒すことができるのか!?

▲次から次へとアクションが連続する、良くも悪くも80年代の香港映画テイストに溢れた作品です。監督の江道海は武術指導やスタントがメインの方で、本作では武術指導も兼任。過剰なまでにガラスを割り、双子だらけのキャストがワイヤーで飛びかう派手なファイトを演出しています。
ただ、「良くも悪くも」と言ったように、本作は80年代作品の悪い部分(勢いだけで物語を描こうとする事で生じる雑さや唐突な描写)も発現しています。ネズミを使ったエグい拷問、登場した途端に死ぬ呉京の兄、そして何が狙いなのか明示されぬまま始まる潜入作戦などなど…ちぐはぐな描写がいたる所で見られるのです。
 この雑さは終盤でも猛威を振るい、ラストでは尻切れトンボなエンディング(バッドエンド?)で幕を閉じます。肝心のTwinsも主役というには微妙な立ち位置だし(どちらかというとメインは呉京)、一体どうしてこんな事に…?
先述の通り、アクション面は呉京やサモハンがいるので良好ですが、ストーリー面で疑問符が浮かぶ作品。割り切ってアクションだけを見るだけなら、それなりに楽しめるかと思います。


「女忍 KUNOICHI」
製作:2011年

▼今回は忍者大好き監督・千葉誠治による監督作の登場です。千葉監督といえば様々な忍者映画を手掛けていますが、何故か天正伊賀の乱(織田信長の軍勢によって伊賀が壊滅した戦)を題材にする事が多く、ほとんどの監督作で主題にしていました。
ところが本作ではこの題材を廃し、『KG カラテガール』の武田梨奈を主役に添えた忍者活劇を作り上げています。共演は虎牙光揮三元雅芸、動作設計はいつもの下村勇二ではなく、彼と同じU'DEN FLAME WORKSに所属している園村健介(かの秀作『真一文字拳』の武術指導も担当)が指導しています。

■物語は、女を娶ることができない伊賀下忍の里から来た2人の忍者(虎牙と三元)が、甲賀のくノ一(武田梨奈ら)を誘拐してくる場面から始まる。彼らは生まれてすぐに去勢されたくノ一誘拐の専門家で、女たちを捕まえては下忍どもの慰み者にしているという。
怯える女たちだったが、そこに謎の忍者・佐藤雄一が突然現れ、女たちを解き放った。虎牙・三元・そして佐藤は逃げ出したくノ一を捕獲し、各々の思惑を吐露していく。そんな中、実は甲賀から派遣された刺客であった武田が動き出し、女たちを救い出すために壮絶な戦いを展開するのだが…。

▲う~ん…残念だけどこれはイマイチ。本作は前半30分が会話主体で描かれていきますが、延々と状況説明が続くだけ(『忍邪』のようなキャラ同士の掛け合いは微少)なので、実にタルかったです。しかもこの前半部、最初を除いて武田嬢の出番がほぼ無いので、彼女が出てくるまで非常にヤキモキしました。
後半からは武田嬢が頑張りますが、前半とのギャップが激しく、作品の統一感が損なわれています。武田の過去とその目的、仰天のオチなどは悪くないんですが…。ただ、格闘描写に関しては良好。本作の殺陣は『忍邪』よりも香港色が強く、素手の闘いも多くなっています(チャンバラに至っては完全に香港映画式のソードバトル状態!)。
 最大の見どころは中盤の武田嬢VS虎牙光揮です。速攻で技を繰り出す武田嬢を力で押し返し、蹴りを叩き込む虎牙!対する彼女は関節狙いや刀で反撃に出ます。ストーリーに惜しい部分のある本作ですが、この戦いはなかなかの好勝負なので、香港映画が好きな人はここだけでも要チェックです!
なお、本作はくノ一映画なのにサービスシーンが存在せず、女優陣によるセクシーな見せ場は皆無(シモ関連のエグい話題ならアリ)となっています。こっち方面の演出が気になる方はご注意を。


「鉄拳高 同級生はケンカ王」
原題:我的野蠻同學/我的野蛮同学
英題:My School Mate, the Barbarian
製作:2001年

●御曹司で秀才の馮倫(スティーブン・フォン)は、元カノの陰謀によって通っていた高校を退学させられてしまう。全国統一試験が間近に迫っていたため、彼の母・潘冰嫦(往年の名女優。『残酷復讐拳』では冒頭で死ぬ奥方を演じる)はすぐに別の高校へ転入するよう手配したが、手違いで不良だらけのTBS高校へ通うことになった。
この高校では、揉め事の解決手段として「机を並べたフィールド上でのタイマン勝負」という手法が生徒たちの間で行われている。さっそく馮倫もその洗礼を受け、イヤミな余家豪に倒されてしまった。そんな彼の様子を見かねて、かつて学園最強の男だった謝霆鋒(ニコラス・ツェー)が戦い方を教えてやると申し出てきた。
 馮倫と謝霆鋒は、特訓を通じて次第に友情を育んでいく。おかげで余家豪へのリベンジも完了し、容祖兒(ジョーイ・ユン)という彼女も出来た。こうして晴れて普通の学園ライフを送れるようになった馮倫は、仲間たちと一緒に統一試験へ向けて猛勉強を開始していくのだった。
…しかし、その平穏も長くは続かない。懲りない余家豪が呼んだ助っ人・李達超(本作の副武術指導)が暴走し、馮倫を身代金目当てに誘拐してしまったのだ。親友の失踪に心配する謝霆鋒だが、ライバルの彭敬慈(サミュエル・パン)が「俺と闘え!勝てば馮倫の居場所を教えよう!」と告げてきた。
果たして、2人は無事に生還して翌日の統一試験を受けられるのか!?

 本作は、かの王晶(バリー・ウォン)が監督を務めた学園アクションドラマです。日本版のタイトルは韓国映画『火山高』を意識していますが、『火山高』のパロディ作品というわけではなく、作品の持つテイストも違っています。本作は良くも悪くもユルい出来で、恋愛やアクションなどで彩られたアイドルムービー的な代物となっているのです。
色々とツッコミどころの多い物語ではありますが(海外へ行かねばならないという容祖兒の話題が終盤から完全に忘れら去れています・笑)、馮倫と謝霆鋒はそこそこカッコ良く撮れているので、彼らのファンならそれなりに楽しめる作品だと思われます。
 一方、劇中のアクションは『少林サッカー』の程小東(チン・シウトン)が担当していますが、ほとんどの動作がスロー処理されています。おまけに打撃音がビシ!バシ!のような激しいものではなく、一貫してペチペチという弱々しい音なので、あまり迫力は感じられませんでした。面白かったのは終盤の謝霆鋒VS彭敬慈ぐらいかなぁ…。
ところで、本作には馮倫たちが格闘ゲームに興じる場面があるのですが、ここで彼らがプレイしているのが『燃えろ!ジャスティス学園』だったりします。このゲームはラストバトルに意外な影響を及ぼしますが…ちゃんとカプコンの許可は取ってあったんでしょうか?(爆


「ビリー'S KARATE MAN」
原題:BALANCE OF POWER/HIDDEN TIGER
製作:1996年

●かつてビリーズ・ブートキャンプで話題となり、今も日本で活動中のビリー・ブランクスが、90年代の格闘映画ブームの際に主演した作品です。これがまた本当にどうしようもないくらいのB級映画なんですが(苦笑)、当時の格闘映画は大体がこんな感じの作品ばかりでした。
本作のビリーはタイトルにもあるとおり、空手教室の先生に扮しています。ストーリーは治安の悪い地区で空手を教えていたビリーが、教え子の仇を討つために悪の組織へ挑むというもの。例によって組織は闇の格闘大会を主催していて、裏で大金が動いている…という非常にありがちな設定が盛り込まれています。
 物語は全体的に大雑把な作りで、特にビリーがマコ岩松から格闘大会出場を促される(というか突然提案される)場面は展開が強引すぎます(笑)。その後、マコの特訓を受けたビリーは大会に出場し、弟子の仇であるジェームス・リューとその親玉を倒すのですが、クライマックスの流れがどことなく『燃えよドラゴン』に似ていました。
大会の決勝でビリーは胸と頬に切り傷を作り、雄叫びを上げながらリューを踏みつけます。進退窮まった親玉は武器を片手にビリーを誘い、自分のフィールドで決着を着けようとするも、最後は体を貫かれて息絶えます。…中途半端なドラマと精神修行で解りにくいですが、もしかしたら本作はビリー版『燃えよドラゴン』だったのかもしれません。
 格闘シーンは数が多く、各人のアクションスタイルもそれなりに幅があり、水準以上の出来にはなっています。ラストのビリーVSリューの決戦では、蹴りと蹴りが乱れ飛ぶ激しい勝負が行われていました。ただ、作品そのものは思いっきりB級映画じみているので、できるだけ広い心で視聴したほうが良いですね(爆
ちなみに、ビリーの日本語吹替えはブートキャンプでおなじみの小杉十郎太氏が担当していて、本作のB級度を更なる高みに導いています。同じくビリー主演の『ビリー'S GUN & FIGHT!』ではアドリブ度がグッと増し、本作以上にエラいことになっているのですが…それについてはまた別の機会にて。


「アンジェラ・マオ 破戒」
「スコーピオン・ガール/さそりの復讐」
原題:破戒
英題:Broken Oath
製作:1977年

▼本作は著名な女ドラゴンとして活躍していた茅瑛(アンジェラ・マオ)が、古巣のゴールデンハーベスト(以下GH)で主演した最後の作品です。かつて黎明期のGHを支えるため、屈強な男たちと必死に闘い続けていた茅瑛。本作では、そんな彼女を労うかのように多くのスタッフとキャストが結集し、充実した作品を作り上げていました。
ストーリーは、『修羅雪姫』をベースに茅瑛が悪漢を次々と倒す「辻斬りの旅」が繰り広げられます。監督はかの『キングボクサー大逆転』を生み出した巨匠・鄭昌和なので、単に敵を倒すだけの物語で終わってはいないのがポイント。久々にGHへ凱旋した梁小龍(ブルース・リャン)の存在も大いに光っています。

■ある日、ひとりの罪人が流刑の島へとやって来た。彼女…丘ナオミは政府高官・關山の妻であったが、政府転覆を企む一団に夫を殺された上に、無実の罪で収監されてきたのだ。彼女は島で子供を出産するが、仇討ちを望みつつ息を引き取った。彼女の遺志を受け継いだスリの王莱は、出所すると丘の子供を尼寺へと預けた。
それから20年後、子供は凄腕の茅瑛へと成長していた。気性の荒い彼女は尼寺から追い出され、久方振りに王莱と再会。スリ仲間の夏雨と共に、両親を死に追いやった4人の悪党へ復讐を開始していく。賭場の支配人となった趙雄、女郎屋を経営する方野を次々と倒すが、裏では謎の男・梁小龍が動き回っていた。果たして彼の正体は…?
 方野を倒した際、茅瑛は最後に放たれた毒で重傷を負ってしまう。そこで夏雨は解毒方法を知る薬の専門家・陳鳳真を尋ねた。実はこの男、茅瑛が追っている仇敵の1人であり、今は悪事から足を洗って薬学に身を捧げていたのである。彼は罪滅ぼしにと解毒を行うが、同じく仇敵の1人である陳惠敏(チャーリー・チャン)に殺されてしまった。
陳惠敏は今も例の一団に属しており、ボスの張佩山に従っている。梁小龍もその仲間なのだが、彼の本当の正体は政府から派遣された密偵であった。一時は正体がバレそうになるも、同志の郭振猷に救われた。その後、敵陣へと潜入した茅瑛は夏雨を失うが、志を同じにする郭振猷と共闘する。かくして、最終決戦の火蓋は切って落とされた!

▲本作は前述のとおり「辻斬りの旅」が主題となっていますが、同じことを繰り返すようなルーチンワークには陥っていません。作品自体のテンポも非常に良く、復讐劇でありつつも陰惨になりすぎない程度に演出が調整されており、改めて鄭昌和の手腕には感心してしまいました。
また、アクション面においても本作は素晴らしいものを作り上げています。なにしろ武術指導が袁和平(ユエン・ウーピン)&徐蝦の『酔拳』コンビ、ラストバトルでは茅瑛・梁小龍・陳惠敏・洪金寶・韓英傑・魯俊谷などの猛者連中が一ヶ所で闘うわけですから、これで面白くないはずがありません!(笑
 棍から槍へと変化する武器を操る茅瑛、野獣のように暴れる陳惠敏も凄いですが、中でも梁小龍の動きは群を抜いています。古豪・韓英傑を流れるような連打で叩き伏せ、魯俊谷を屠り、陳惠敏に足刀を打ち込む様は全盛期のころを彷彿とさせます。ただ、あまりに凄すぎて最後の大一番を茅瑛から奪ってしまったのは少々残念に思いました(爆
まさに有終の美を飾るに相応しい見事な傑作。本作以後、茅瑛は活動の場を独立プロなどに移していくことになりますが、私としてはもうちょっとGHで頑張る彼女の姿を見てみたかった気もします。