おとといの晩、会社の後輩に電話しました。
2週間くらい前から、何となく嫌な予感がしていて。
電話、出ないかも・・・と思いながら掛けたんですが2コールで出ました。
暗く、落ち着いた声で。
「・・・はい、もしもし」
もうその声でわかりました。
あーこの子やっぱり、大分追い詰められてるなあって。
「あの、僕ね・・・来月から休職することになったんですよ」
彼は、仕事も一生懸命、週末のライブ活動や演劇活動も一生懸命。
人前ではおかしなことを言ったりしたりで笑いを取るのが上手な男の子。
でも私は、彼の心の闇を知っていました。
彼は昔よく、泥酔して電話を掛けてきました。
どこかの繁華街で、でっかい声で叫んでる。
「もうね、僕なんかね!どうなったっていいんですよ!!」
「僕は何の役にも立たない~!!」
と言って、わめいて泣きだしたことも。
ある日の夜中、また電話が掛ってきました。
「福島(仮名)さん!僕はもうだめです!もう死にます!」
と電話でギャーギャー叫ぶので、慌てて泥酔している繁華街まで迎えに行ったこともあります。
その後輩が付き合う女性は、なぜか精神疾患を患っている子ばかりでした。
「彼女がね、夜中に突然、自分の両足を切り始めたんですよ。
『私は宮本武蔵だー!!』
って叫んで」
そんな話をよく聞いたものです(それも恐ろしい話ですが・・・)。その度に彼は
「僕は彼女を治してあげることができない」
と悩んでいました。
ある晩、彼はひとりで、仕事で使うカードを切っていました。確か深夜0時過ぎだったと思います。
私は帰るところだったんですが、彼が何か思い詰めているようだったので、作業を手伝うことに。
ふたりで作業しながら、彼は自分の彼女がリスカしている話をし始めました。
私はそんな話を彼からいつも聞いていたので、その日もいつも通り聞いていました。
でも、夜中は感情が高ぶるんでしょうか。
彼は急に黙って、
カッターを持っている自分の右手をじっと見て、
その後カッターを持っていない自分の左手をじっと見て、
・・・ジャッ
と、切っちゃいました。
「
コラー!!」
私はカッターを取り上げて彼の左腕を掴みました。
よかった、大して深く切れてない・・・傷口を見てホッとしました。
「自分、何してんねん!!」
「いや、切ったらどんな気持ちになるのかなーと思って・・・」
とりあえず傷口を押さえ、血が止まってからオロナインを塗りました。(オロナインしか持ってなかった。)
「福島さん、痛いよー・・・」
「当たり前やろ!」
ミイラ取り(になりたかった彼)がミイラになった瞬間。
彼は彼女の行為を止められず、悩んで悩んで、同じ行為に走りました。
私は、いつも彼に言ってました。
例えば私の彼氏が熱を出しても、私はその病名を判断できないし、
お医者さんじゃないから治してもあげられない。
彼女の病気を治せないのは、あんたが悪いんじゃなくて
むしろ当然のことだ
と。
あれから3年半。
もうすぐ彼は、欝病で休職します。
私はといえば、少なからずショックを受けています。
でもせいぜい私は、話を聞くことくらいしかできないんです。
私はお医者さんじゃない。
彼に言った言葉が、今は私の頭の中で繰り返されています。