運ばれてきた瞬間、言葉を失った。
赤い丼の中に、世界が詰まっている。
ホルモン、、、
圧倒的な存在感だ。
…これは、ラーメンではなく、宣戦布告である。
平打ち麺が、静かに空中に舞う。
ツルツルとした表面が、背脂たっぷりのスープを余すことなく絡め取っている。
すすった瞬間、喉越しの良さと濃厚な旨みが、同時に押し寄せてきた。
この麺は、スープの引き立て役ではない。
れっきとした、共犯者である。
これが、主役だ。
箸で持ち上げた瞬間、その柔らかさに思わず手が止まった。
トロトロに煮込まれたホルモンは、口に入れた瞬間、跡形もなく溶けていく。
絡みついたピリ辛の赤ダレが、その旨みをさらに高みへと連れていく。
…反則である。
これは完全に、、、、反則である。
問題は、このスープだ。
背脂がチャッチャと踊り、ピリ辛の赤ダレが渦巻いている。
一口すすると、濃厚な旨みが口の中を支配し、
次の一口を、体が勝手に求め始める。
これはスープではない。
背徳感という名の、沼である。
気づいたら、丼が空になっていた。
【最後に一言】
物静かで強面の店主は、常連客に向けるその眼差しだけが、やたらと優しかった。
無口な人間ほど、語るものを持っている。
このラーメンも、きっとそういうことだ。



