小梅村の尚武館坂崎道場に現れたひとりの老武芸者。
直心影流長沼道場の弟子で二十有余年の武者修行から戻ったばかりだという男は、坂崎磐音との真剣勝負を願うが、磐音は松平辰平との対戦を提案する。
何故、辰平なのか?

老剣士の狙いは何か?
その辰平は、待ちわびていた博多からの一行が江戸に到着したことを知る。
思い人・博多の大商人箱崎屋のお杏である。
田沼一派との戦いに殉じることを決意する辰平は、思いを磐音に明かす。