見ようと思ったら近場では上映していなくて倉敷MOVIXまで行ってきました。
10年以上前に行って以来です。ここは岡山県で最初のシネコンだけど椅子がいい。改装したのかな。

(内容)

「永い言い訳」の西川美和監督が役所広司と初タッグを組んだ人間ドラマ。これまですべてオリジナル脚本の映画を手がけたきた西川監督にとって初めて小説原案の作品であり、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルに綴った小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描いたものである。
殺人を犯し13年の刑期を終えた三上(役所広司)は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、身元引受人の弁護士・庄司(橋爪功)らの助けを借りながら自立を目指していた。
そんなある日、生き別れた母を探す三上に若手テレビディレクターの津乃田(仲野太賀)とやり手のプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)が近づいてくる。彼らは、社会に適応しようとあがきながら、生き別れた母親を捜す三上の姿を感動ドキュメンタリーに仕立て上げようとしていたが・・・。(以上、映画.COMより参考引用)


(感想)

西川美和監督が描いたのは、犯罪者の更生の難しさ、本人の問題と社会の許容度の狭さや厚生制度の不備だと思う。
 

主人公は不幸な生い立ちで親に見捨てられ施設で育つ。社会に出て最初に関わるのが反社というのはよくある話だ。
殺人犯だが殺人の意思はなく仲間を助けるためにキレた犯行だ。キレやすい性格は社会になじめない。刑期を終えて、その間職業訓練をしていても社会に溶け込むことは簡単ではない。受け入れるシステムが機能していないから。だから元の世界に戻るのも残念だが無理はないと感じる。
 

映画は、津乃田(仲野太賀)が三上(役所広司)に関わる中で心を通わせていく。仕事の題材としてではなく一人の人間として見るようになり葛藤する。

スーパーの店長役の六角精児は、いい味を出していた。
優しい気の利くソープ嬢リリーを女優・桜木梨奈が好演していた。

ヤクザの組長妻役のキムラ緑子のあやしい演技も良い。
展開を書くと主人公は努力し周囲の協力もあって苦労しながら厚生の道を進んでいく。
 

何と言っても主人公が役所広司だから下品にならなくてよかったと思った。

あすがの演技力・迫力・人間味でした。涙する名作です。

2021年製作/126分/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画