サン・ラ - スターダスト・フロム・トゥモロー (Leo, 1996)
Recorded live at Jazzatelier, Ulrichsberg, Austria, April 29, 1989 (from same concert as "Second Star To The Right")
Released by Leo Records Leo LR 235 / 236 (2CD), 1996
All Compositions except as indicated and Arranged by Sun Ra
(Disc 1)
1-1. Mystery Intro - 18:07
1-2. Untitled I - 7:30
1-3. Blue Lou (Edgar Sampson) - 5:52
1-4. Prelude in A Major, Op. 28, No. 7 (F. Chopin) - 9:38
1-5. Untitled II - 6:20
(Disc 2)
2-1. Discipline 27 / I'll Wait for You - 18:16
2-2. Queer Notions (Coleman Hawkins) - 2:49
2-3. Back Alley Blues - 9:56
2-4. Prelude to a Kiss (Duke Ellington) - 4:54
2-5. Stardust from Tomorrow - 3:11
2-6. Yeah Man! (Noble Sissle, Fletcher Henderson) - 3:22
2-7. We Travel the Spaceways / Outer Spaceways, Inc / Rocket No. 9 Take Off for the Planet Venus / Second Stop Is Jupiter / Saturn Rings - 8:40
[ Sun Ra & His Intergalaxtic Arkestra ]
Sun Ra - piano, synthesizer, vocal
Michael Ray - tumpet, vocal
Tyrone Hill, Julian Priester - trombone
Marshall Allen - alto saxophone, flute, clarinet
Knoel Scott - alto saxophone, flute
Eloe Omoe - alto saxophone, clarinet, bass clarinet
James Jacson - sopranino, oboe, vocal
Bruce Edwards - electric guitar
Arthur Juinie Booth - electric bass
Earl "Buster" Smith - drums
Elson Nascimento - surdo, percussion
June Tyson - violin, vocal
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また本作は2枚組CD、1時間40分あまりもの収録時間を一気に聴き通せるライヴ盤で、実際はさらに50分ほどディズニー映画の主題曲・挿入歌が演奏されていたわけですが、そちらは『Second Star To The Right (Salute to Walt Disney)』に抜いたこともあって、かえって流れの良いライヴ盤になっています。このステージではディズニー映画曲の方がハイライト・ナンバーだったでしょうが、『Second Star To The Right (Salute to Walt Disney)』はむしろスタジオ録音の方がふさわしかったような選曲の特別セットで、ディズニー映画曲を入念なアレンジでアルバム1枚分相当こなした分、いつものレパートリーは嬉々として突進した勢いと緊張感がバランス良く演奏に表れていて、何より勢いがあります。もともとこの時のライヴはLeo Recordsによって全編公式収録されていたと思われ、現行CDのようにディズニー曲集とそれ以外の曲目と分けられる前に、サン・ラの最晩年に間に合わせるためにZUW Recordsから『Other Thoughts』として暫定的な1枚物CDとして先行発売されたのでしょう。結果的に、というより本来生前のサン・ラの意図通りディズニー映画曲集分の特別セット分の曲目が『Second Star To The Right (Salute to Walt Disney)』にまとめられ、通常セット分が本作にまとめられるといった具合になったのが、結果的には同じジャズ祭のステージからの収録ながらどちらもすっきりまとまったライヴ盤になったのは怪我の巧妙といったところで、本作のアーケストラの演奏は'83年~'84年のライヴより吹っ切れた若々しさを感じさせられます。あるいは健康状態からこの時のヨーロッパ・ツアーに参加できなかった看板テナーサックス奏者ジョン・ギルモアの不在がかえってアーケストラを奮い立たせ、思いがけない熱演に結びついたのかもしれません。コーラスから仮題された「Mystery Intro」、また「Untitled I」「Untitled II」も無題なだけでリハーサル時にアレンジが錬られたと思われる完成度の新曲です。公式収録のライヴ盤だけあって音質、ミックス、エア録音とのバランスともにメジャー・レーベルからの発売にも応えられるマスターテープからのダイレクトな迫力あるサウンドです。録音順・リリース順にも前後に注目作が並び、またサン・ラ没後リリースだけに割を食っているアルバムですが、引退3年半前の最晩年のライヴにしてまだまだサン・ラの好調が確かめられる、思いもかけずアーケストラの底力を知らしめる好作で、地味にも地味なジャケットはまだサン・ラ逝去3年目の追悼盤らしく慎ましい良さも感じさせれば、あまりに欲がなさすぎるような気もします。
(旧記事を手直しし、再掲載しました。)