1曲勝負!キング・クリムゾン「太陽と戦慄パート2」(TVライヴ, 1973) | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。

キング・クリムゾン - 太陽と戦慄パート2 (TVライヴ, 1973)
King Crimson - Larks' Tongues in Aspic, Part Two (Robert Fripp) (TV Broadcast, 1973) - 4:27 :

[ King Crimson ]
Robert Fripp - electric guitar
John Wetton - bass
Bill Bruford - drums, timbales, cowbell, wood block
David Cross - violin

 キング・クリムゾンのアルバム第6作『太陽と戦慄 (Larks' Tongues in Aspic)』(Island/Atlantic, 1973.3、UK#20/US#61)から、アルバム最終曲「太陽と戦慄パート2 (Larks' Tongues in Aspic, Part Two)」のテレビ収録スタジオ・ライヴがこれです。プログレッシヴ・ロックのバンドでも屈指の存在に上げられるクリムゾンは大ヒット・アルバムと言えるのはデビュー作『クリムゾン・キングの宮殿 (In the Court of the Crimson King)』(Island/Atlantic, 1969.10、UK#5/US#28)、セカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ (In the Wake of Poseidon)』(Island/Atlantic, 1970.5、UK#4/US#31)くらいで、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック五大バンドと呼ばれる他4組、ピンク・フロイド、ジェネシス、イエス、エマーソン・レイク&パーマーら、またムーディー・ブルースやジェスロ・タルが全英・全米No.1~トップ5、トップ10アルバムの常連だったのに対し、アルバム・セールスはブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックの裏番長格のホークウインドと同等か、ソフト・マシーンやヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター、キャラヴァンよりは上、という程度でした。ただしミュージシャンズ・ミュージシャンとしての存在感は大きく、先にデビューしていたジェネシス、イエスもクリムゾンのデビュー作に衝撃を受けてスタイルを固め、元ザ・ナイスのキース・エマーソンがクリムゾンのデビュー作のみで脱退したグレッグ・レイク、元アトミック・ルースターのカール・パーマーと結成したエマーソン・レイク&パーマーもクリムゾンなしには現れなかったバンドでした。
 クリムゾンは楽曲の幅が狭いバンドでもあり、抒情的なバラードでなければ狂暴なヘヴィー・ロック曲と楽曲のヴァリエーションは多くなく、それがクリムゾンの弱点でもあれば強烈なインパクトにも繋がりました。同時期にクリムゾンとキャラヴァンに勧誘されてキャラヴァン加入を選んだヴァイオリン奏者のジェフ・リチャードソンは「クリムゾンの音楽には狂気、暗さ、攻撃性がついてまわる。だから温厚で、暖かみとユーモアのあるキャラヴァンを選んだ」と証言していましたが、その意見は妥当で、キング・クリムゾンのヘヴィー・ロック・サイドを代表するのは「21世紀の精神異常者 (21st Century Schizoid Man)」、この「太陽と戦慄パート2 (Larks' Tongues in Aspic, Part Two)」、「レッド (Red)」といった楽曲でしょう。 

 ご紹介したテレビ番組「ミッドナイト・スペシャル」の収録時、クリムゾンは『太陽と戦慄』のプロモーションのためのアメリカ・ツアー中で、過密スケジュールの合間を縫ってテレビ・スタジオでのライヴ出演を行ったものと思われます。もっともインパクトの強い「太陽と戦慄パート2」の1曲勝負、しかもアルバムでは7分12秒あるこの曲を約2/3に短縮したアレンジで生演奏しています。クリムゾンは7年活動、7年活動休止というパターンをくり返しており、′90年代の再々活動アルバム『スラック (Thrak)』(Virgin, 1995.5、UK#58/US#83)はスラッシュ・メタルやグランジ・ムーヴメント時に再評価されたヘヴィー・ロック路線を「ヌーヴォー・メタル」として打ち出して、従来のファンにも賛否両論のアルバムになりました。それも今からほぼ30年前になりますが、この50年前のテレビ出演映像は今なおキラー・チューンとしてキング・クリムゾン最高のテンションの演奏を伝えてくれます。ご堪能ください。