正月くらい握り寿司 | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。


 あけましておめでとうございます。今日、元旦の昼食は昨夜近所のスーパーで買ってきた握り寿司にお吸い物をつけていただきました。正月三が日くらいお寿司を食べて、新年を寿ぎたいと思います。全然おめでたくないお正月ソングと、いかにもお正月らしい楽しい詩、さらに新年のときめきにふさわしい、口直しの名曲を上げておきましょう。 


 元旦
 西脇順三郎

ああ
人間はまた
森やキツネや
ウグイスや五重の塔や
石炭やメノウや
コイやカマスも
火や水や空気や土と
いつしよにくるくる自転して
太陽を一回転した
すべて遠くにいたものは
またふるさとの桑畑へもどってくる
いかけやきこりもせきをしながら
いきを切って家へいそいだ
人間は土に酒をまいて
山川の神々をまつる
酋長も校長も
ドンブリでガブガブ飲んでいる
友人の家へアイサツに行つてみよう
甲州街道のタバコヤの店さきで
よった老母はミカンをしやぶつている
黄色い犬がこちらをみつめる
坂をくだると藪が
ドトウのようにおしよせる
五色のモヤがはつている
ああこの新しい野原はまた
新しいダエン形の神話をつくるため
太陽の方へ沈んでゆく!

(詩集『人類』昭和54年/1979年刊収録、「サンケイ新聞」昭和47年/1972年1月1日発表)