田川市長あて「DV支援措置運用実態 情報 非開示決定」に対する審査請求。

原則開示なのに、
田川市長は、とりあえず、非開示から始まることが多い。

まあ、無知な担当者や委員の方々に、
議論を尽くさせて、
成長する機会を与えることも必要である。


そもそも論として、
担当者や委員が、
情報開示条例とか

憲法とか、
法律とか
知らんからな~。

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審査請求書
平31年2月28日  

田川市長 殿

審査請求人 ○○県○○市○○
○○ ○○ ㊞
(連絡先 ○○-○○-○○(電話番号))

次のとおり審査請求をします。

1 審査請求に係る処分の内容
田川市長がした平成30年11月29日付けの審査請求人に対する情報非開示決定処分(田市市第243号)(甲第2号証)

2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
平成30年11月30日

3 審査請求の趣旨
「1記載の処分を取り消す」との裁決を求める。

4 審査請求の理由
 審査請求人は、平成30年11月21日に情報開示請求(甲第1号証)をしたところ、
平成30年11月29日、田川市長から1に記載する処分(以下「本件処分」という。)を受けた。
本件処分は、その理由として、

「田川市情報公開条例第10条第1項第4号エに該当
(理由)
本市におけるDV支援措置件数等の具体的な実施状況を開示することにより、
田川市に対する地域的な偏見や社会的差別を助長するおそれがあり、
市民生活の安全と秩序の維持に支障が生じると認められるため。」

という。
しかし、
本件処分の対象となる情報(以下「本件情報」という。)
を開示するにあたって、
上記理由に該当する事実は認められない。 

以下検討していく。 
 
田川市情報開示条例逐条解説(甲第3号証)によれば、
田川市情報公開条例第10条第1項第4号エについて、(甲第3号証下部15ページ)

「開示することにより、~(略)~その他市民生活の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれのあるものは非開示とする趣旨であり、次のようなものをいう。」、

「⑵ 「その他市民生活の安全と秩序の維持に支障が生ずる」とは、
 開示することにより、
 市民生活の安全に対する障害が発生したり、
 社会通念に照らし著しく妥当性を欠き、また、
 社会的差別を助長するような結果が生じたりするおそれのあるもので、
 市行政としてその発生を防止しなければならないと認められるものをいう。」

とある。
 しかし、
本件情報を開示することと、
「市民生活の安全と秩序の維持に支障が生ずる」事
との間には、因果関係が認められない。

田川市情報開示条例逐条解説によれば、
田川市情報公開条例第10条について、(甲第3号証下部9ページ)

「第10条(情報の開示義務)
 第10条 実施機関は、開示の請求に係る情報に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されているときを除き、当該情報を開示しなければならない。
【趣旨】
 本条は、開示の請求に対する実施機関の開示義務を明らかにしたものであり、実施機関は、開示の請求に係る情報に非開示情報が記録されている場合を除き、当該情報を開示す
る義務を負うことを定めたものである。
【解釈】
 情報の開示の請求に対しては、原則開示とするものであるが、請求者の権利、請求者以外の個人・団体の権利及び公益のそれぞれが適切に保護されるよう調整されなければなら
ない。」

とあり、原則開示である。
 
 また、原則開示であるにもかかわらず、例外的に非開示とできる場合のひとつとして、
田川市情報開示条例逐条解説によれば、
田川市情報公開条例第10条第1項第4号(行政運営に関する情報)について、
(甲第3号証下部14ページ)

 「【趣旨】
  本号は、第1条の目的を達成するために
  原則として開示すべき市政に関する情報について、開示することにより、
  公益を保護できなくなる情報又は
  保護できなくなるおそれの明らかな情報
  は、非開示とすることを定めたものである。
  【解釈】
1 本号において、
「支障」とは、名目的なものではなく実質的なものであり、
「おそれ」とは、単なる可能性があるだけではなく、支障が起こり得ることが具体的に明らかであることが必要とされる。」

とある。
 
 田川市長は、本件非開示決定の理由として、

「本市におけるDV支援措置件数等の具体的な実施状況を開示することにより、
田川市に対する地域的な偏見や社会的差別を助長するおそれがあり、
市民生活の安全と秩序の維持に支障が生じると認められるため。」

というが、
本件情報を開示することで、市民生活の安全と秩序の維持に

「名目的なものではなく実質的な」支障が生じるとは認められず、また、
田川市に対する地域的な偏見や社会的差別を助長する
「単なる可能性があるだけではなく、支障が起こり得ることが具体的に明らかである」
おそれも認められない。
 よって、本件非開示決定は、
非開示の理由がなく、
開示の義務が課されているにもかかわらず、非開示とされたものであり、不当である。

 次に、「支障」と「おそれ」を解釈するにあたって、実際に公表されている情報を見ていく。
 
 まず、「第2次田川市男女共同参画プラン 平成29年3月 田川市」である。
 
 資料中31ページには、

「何らかのDVを受けた経験の有無について」
というアンケート結果が公表されている。

田川市では全体として、
17.9%の人がDVを経験したと回答していることがわかる。
このことから、
田川市では、DVが少ないと考えるか、DVについての理解が足りていないと考えるかは、個々人次第であるが、
すくなくとも、
非開示とする「支障」と「おそれ」はない事として公表されている。
 
 資料中32ページには、
「経験したことのあるDV被害の種類について」
というアンケート結果が公表されている。

 内容は、田川市の男女別に具体的なDV被害について、アンケートをとったものである。
 アンケートに回答した田川市の女性の1%は、「⑦刃物などをつきつけておどす」、
同じく4.8%は、「①平手で打つ」、
同じく5.1%は、「②足でける」
という被害を受けているなど、
非常に生々しい被害実態が公表されており、
非開示とする、「支障」と「おそれ」はない事として公表されている。
 
 次に、「人権問題に関する市民意識調査報告書 平成29(2017)年12月 田川市」である。

 資料中24ページには、
「問3 あなたは差別や人権侵害を受けたと感じたことがありますか。」
とのアンケート結果が公表されている。
全体的には、
14.3%の人が「人権侵害を受けた」と感じていることがわかる。

資料中25ページには、
「2)中学校区別特徴」として集計結果が公表されており、
金川中学校区は、突出して人権侵害が多いことがわかり、
田川市内においても、
「地域的な偏見や社会的差別を助長する」とも考えられるが、
非開示とする「支障」と「おそれ」はない事として公表されている。
 
 資料中28ページには、
「あなたは結婚や就職のときに、その相手方などの身元調査や信用調査をすることについて、どのように考えますか。」
とのアンケート結果が公表されている。
 
 資料中29ページには、
「2)中学校区別特徴」として集計結果が公表されており、
田川市内においても、
「地域的な偏見や社会的差別を助長する」とも考えられるが、
非開示とする「支障」と「おそれ」はない事として公表されている。

 次に、田川市役所1階通路に掲示されていた
「田川市子どもの貧困対策推進計画での取り組み」
である。

 「子どもの貧困に関する指標」では、
「子どもの相対的貧困率」が
田川市は、全国の1.6倍という不名誉な数字が公表されている。

 田川市の母子世帯の割合は、
全国の2.1倍、
福岡県の3.6倍
という不名誉な数字が公表されている。

 田川市の生活保護率は、
全国の3.5倍、
福岡県の2.3倍
という不名誉な数字が公表されている。

 そのほかの指標も総じて、悪く、
田川市は、「子どもの貧困に関する指標」が
全国的に見ても、
福岡県内においても、
ひどい自治体であると言える。

「田川市の現状(福岡県、国との比較)」では、
田川市のひとり親世帯数の割合が、
国の2倍以上高い割合となっていることがわかる。
 
 また、田川市の生活保護受給者及び受給世帯ともに
県の約5.5倍、
国の約3.5倍
と明記され、
「地域的な偏見や社会的差別を助長する」とも考えられるが、
非開示とする「支障」と「おそれ」はない事として公表されている。
 
 以上、実際に公表されている情報を見てきたが、
これらの情報が、非開示情報に該当しないことから考えると、
本件情報が、
非開示情報に該当すると認められる事実
は認められない。

  また、田川市情報開示条例逐条解説によれば、

「第18条(情報公開制度の総合的な推進)
第18条 実施機関は、この条例に基づく情報の開示を行うほか、
市民が必要とする情報を積極的に提供するとともに、
情報公開制度の総合的推進に努めなければならない。
【趣旨】
 本条は、総合的な情報公開に関する実施機関の基本的な責務について定めたものである。
【解釈】
実施機関は、情報の開示請求を待つまでもなく、
市政に関する情報を本条例の目的に即して積極的に提供することにより、
情報公開を総合的に推進していくことを明らかにしたものである。
なお、本条例の名称は、本条の理念に基づくものである。」

とある。

  田川市長が行った情報非開示決定は、
田川市情報公開条例第18条にも違反しており、大変遺憾である。
 
  また、田川市情報開示条例逐条解説によれば、
  その目的について、(甲第3号証下部1ページ)

 「第1条(目的)
第1条 この条例は、市の保有する情報の公開に関し必要な事項を定めることにより、
市政に関する市民の知る権利
を明らかにするとともに、
市民の市政への理解と信頼を深め、
市政への参加の促進を図り、
もって地方自治の本旨に即した
公正で開かれた市政を推進することを目的とする。
 【趣旨】
 本条は、条例の目的を明らかにしたもので、
条例解釈の指針となるものであり、
各条項の解釈及び運用は、常に本条に照らして行わなければならない。
 【解釈】
1 実施機関においては、
条例に定める要件を満たした情報
の開示の請求に対しては、
その求めに応じなければならない条例上の義務がある。
2 この制度の直接の目的である
「市政に関する市民の知る権利」を明らかにすることにより、
市民の市政への理解と信頼を深め、
市政への参加の促進という目的を達成することができ、
ひいては住民自治を中心とした地方自治の本旨に即した
公正で開かれた市政を推進すること
を究極の目的として定めたものである。」

とある。

 田川市長が行った情報非開示決定は、
「市政に関する市民の知る権利」を侵害するものであり、
市民の市政への参加を拒むものであり、
地方自治の本旨に反しており、
公正で開かれた市政を推進することを拒むもので
大変遺憾である。

  また、田川市情報開示条例逐条解説によれば、
 実施機関の責務について、(甲第3号証下部2ページ)

「第3条(実施機関の責務)
第3条 実施機関は、この条例の解釈運用に当たっては、
情報の開示を求める市民の権利
を十分に尊重するとともに、
個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう
最大限の配慮をしなければならない。
【趣旨】
 本条は、この条例の目的を達成するため実施機関が果たすべき責務
について定めたものである。
【解釈】
1 実施機関は、
情報の開示を求める市民の権利
を保障するため、
全て「公開の原則」の精神に立って、
この条例の解釈運用をしなければならない。
2 実施機関は、
条例に定める要件を満たした情報
の開示の請求に対して、
第10条第1項各号(情報の開示義務の適用除外)及び
同条第6項(情報の存否に関する情報)
に該当しない限り
開示を行わなければならない
との観点から、
条例全体を解釈し、運用しなければならない。」

とある。

 情報開示は、全て「公開の原則」であり、
適用除外については、例外的な取り扱いである。
以上

5 処分庁の教示の有無及びその内容
情報非開示決定通知書(田市市第243号)に記載の通り教示があった。

 6 添付書類
1.情報開示請求書(平成30年11月21日受付) 1枚
2.情報非開示決定通知書(田市市第243号) 1枚
3.田川市個人情報保護条例逐条解説 12枚
4.第2次田川市男女共同参画プラン 平成29年3月 田川市 抜粋3枚
5.人権問題に関する市民意識調査報告書 平成29(2017)年12月 田川市 抜粋5枚
6.田川市子どもの貧困対策推進計画での取り組み 1枚
7.子どもの貧困に関する指標 1枚
8.田川市の現状(福岡県、国との比較)1枚