松戸判決全文。フレンドリーペアレントルール採用。一審勝訴、控訴審で逆転敗訴。

拉致国家日本が、
先進国に追いつくため、
30年遅れで、フレンドリーペアレントルールを採用したのですが、
東京高裁で、逆転敗訴となりました。

親子関係断絶被害を受けている子供たちのために立ち上がった
正義の裁判官、庄司芳男は、
最高裁判所によって、
今後左遷される可能性が高いです。
彼の今後に注目しておきましょう。

東京高等裁判所の菊池洋一裁判長が、
どのような判断をしたのかについては、
今後、判決の公表が期待されます。

現時点の公表内容は、
親子断絶防止法全国連絡会
で確認できます。
**************
平成28年3月29日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成24年(家ホ)第19号 離婚等請求事件
口頭弁論終結の日 平成28年3月1日
判決

本籍 ○○
住所 ○○
原告 ○○
原告訴訟代理人弁護士 ○○○○
同 ○○○○

本籍 ○○
住所 ○○
被告 ○○
 被告訴訟代理人弁護士 ○○○○
 同 ○○○○
 同 ○○○○
 同 ○○○○
 同 ○○○○

主文
1 原告と被告とを離婚する。
2 原被告間の長女(平成○○年○○月○○日生)の親権者を被告と定める。
3 原告は被告に対し、長女を引き渡せ。
4 被告は原告に対し、原告が長女と別紙「面会交流の要領」記載のとおりの内容で
面会交流をすることを許さなければならない。
5 原告と被告との間の別紙年金分割のための情報通知書記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合をO.5と定める。
6 原告のその余の請求を棄却する。
7 訴訟費用は各自の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

1 原告(主たる請求)
(1)主文1項、5項同旨
(2)原被告間の長女○○(平成○○年○○月○○日生)の親権者を原告と定める。
(3)被告は原告に対し、長女の養育費として、長女が成人に達する日の属する月まで、毎月10万円を支払え。
(4)被告は原告に対し、500万円及びこれに対する平成24年4月1日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 
2 被告(予備的附帯請求)
  主たる請求が認容され、被告が長女の親権者となった場合、
(1)主文3項同旨
(2)原告と長女の面会交流に関し、別紙共同養育計画案に基づき、時期、方法等を定める。

第2 事案の概要
1 原告と被告は
平成○○年○○月○○日に婚姻した夫婦であり、両者の間には長女○○(平成○○年○○月○○日生)がある。(甲1)
2 原告は、被告の原告に対する身体的・経済的・精神的・性的暴力により、
原告と被告の婚姻関係は破綻したとして、
被告に対し、離婚及び慰謝料500万円の支払を求め、
附帯処分として、養育費の支払及び年金分割を求めた。
3 また、原告は、長女の親権者につき、
長女が健康や成長に問題がなく、原告と共に安定した生活を送っていること、
原告の両親が長女の養育について協力しており、養育環境が整っていること、
長女の主たる監護者が原告であったこと、
本件に先立つ監護者指定の審判において、原告が監護者と指定されていること
などから、
原告と指定すべきであると主張した。

4 被告は、原告の主張する離婚原因を全て否定した上、
長女の利益を第一に考慮して離婚を望まないため、
請求棄却を求めると述べた。

5 なお、被告は、予備的に、
長女の親権者について、被告と定めるべきであると主張し、
その場合の附随処分として、
長女の引渡しのほか、
原告と長女の面会交流に関して、別紙共同養育計画案に基づき、時期、方法等を定めることを求めた。

 第3 判断

 1 甲2ないし26(枝番を含む)、
乙5の8ないし15、
7、
26ないし30(枝番を含む)、
原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(1)婚姻当時、
被告は○○に勤める国家公務員で、
原告は○○に勤める国連職員であった。
原告は、婚姻後の
平成18年12月 、東京都内に住む被告と同居するため、国連を休職して帰国した。
(2)原告は、
平成20年10月、○○大学大学院(博士課程)に入学し、○○県○○内の○○キヤンパスに通うようになった。
(3) 被告は、
平成21年4月から○○に出向することになり、原告も被告に従い、長女を連れて○○に転居した。
これにより遠距離通学を余儀なくされることとなった原告は、
被告が原告の都合を考慮することなく、自ら地方勤務を希望した結果だと不満に思った。
 (4)休職期間の満了が迫っていたことから、原告は、
平成21年春以降、国連への復職活動を始め、多くの空席ポストに応募したが、復職先を得ることはできなかった。
他方、被告は、
平成21年7月、○○の○○に任命された。
 (5)原告と被告は、共に自己実現の意欲が高く、
互いに相手は自分の仕事や研究の重要性を十分に理解していないと感じていた。
また、原告と被告は、価値観、倫理観、経済観等の違いから、激しい口論をすることが度々あった。
 このため、原告と被告の夫婦関係は、
平成21年ころには、険悪な状態となっていた。
(6)被告は、
平成22年3月から、それまでの仕事一辺倒の生活を改め、家事や育児の分担を大幅に増やし、
同月1日から日記を付けはじめた。
また、被告は、自分で手続を取り、
平成22年4月1日以降、それまで通っていた○○をやめさせて、長女を○○○保育所に通わせるようにした。
このころ、大学院に通うため、原告が長女を連れずに数日間○○○の実家に帰ることが何度かあったが、
被告はその間、ベビーシッターを利用するなどして、1人で長女の監護にあたっていた。
(7)
平成22年4月30日、原告は、ストレス性腸炎との診断を受けた。
(8)
平成22年5月1日、原告と被告は朝から喧嘩を始め、被告はテープレコーダーでその模様を録音しようとした。
このため、原被告間でテープの奪い合いとなり、それをきっかけとして、警察官を呼ぶ騒ぎに発展し、
原告と被告は別々に警察官の事情聴取を受けた。
同日夜、被告は、離婚給付等契約公正証書の原案を作って原告に示し、離婚を申し出た。
これに対して原告は、後日返答する旨答えた。
同書面には、
長女の親権者を被告として離婚すること、
養育費は被告が負担すること、
被告は原告が長女と面会交流することを認めること、
原告は被告に対し、○○の慰謝料を支払うこと
等が記載されていた。
(9)
平成22年5月2日、被告は長女と○○に遊びに行った。
同月4日、被告と長女が○○(○○)○○に行き、後から原告も追いかけて行った。
 同月5日、被告と長女は、○○にある被告の叔母の家に遊びに行った。
(10)
 平成22年5月6日、被告は仕事に出かけ、夕方5時半に長女を保育所に迎えに行ったが、長女はおらず、
帰宅したところ、原告は、長女を連れて自宅を出ていた。
被告がメールをチェックすると、体調が悪いので実家に帰る旨の原告のメールがあり、
被告は急いで原告の携帯に電話をしたが、繋がらなかった。
そこで、被告が原告の実家に電話をしたところ、原告の母が出て、原告も長女も返さない旨述べた、

(11) その後、被告は、長女を取り戻したい一心で、自分の両親や弁護士に相談し、
平成22年5月7日には休暇を取って弁護士に相談に行き、そのまま○○にある実家に帰り、
翌8日には原告の父と会って長女を被告の実家に預けて欲しいと頼んだ。

(12) 原告は、
平成22年5月6日以降、長女と共に○○の実家で生活するようになったが、
被告の要望に応え、
平成22年5月15日、
同月22日、
同月29日、
同年6月6日、
被告が○○内で長女と面会することを認めた。
 この間の、
同年5月29日及び
同年6月6日、被告は原告の父と会って話をし、長女を返すよう強く迫った。
(13)その後の面会交流は、
平成22年7月4日、○○動物園で実施された。
(14)
平成22年7月16日、原告は、被告を相手方として、
配偶者暴力に関する保護命令申立事件を
千葉地方裁判所松戸支部に申し立てたが、
同年9月14日、同申立てを取り下げた。

(15)
平成22年9月上旬、離婚後片親と会えなくなる子供の現状を特集したNHKのテレビ番組で、
被告が提供した長女の映像が放映され、原告はそれを見た。
長女の映像は、目の部分にぼかしが入っており、近親者以外の者には長女と特定できないものであったが、
原告は、被告が長女をメディアに露出させたことに強いショックを受けた。

(16)
平成22年9月26日、○○市内のホテルで、被告は長女と面会した。
しかし、その後原告は、被告が長女と面会するのを拒むようになり、
その後は、被告が週に1回長女と電話で話すことだけを認めていたが、
平成23年3月21日に被告が原告方を訪れ、長女との面会を要求し、警察を呼ぶ騒ぎが起きた後は、
被告が電話で長女と話すことも拒むようになった。

(17)被告は、
平成23年春に○○での職を辞して○○に復帰し、
○○県○○市の実家で両親と暮らすようになった。
(18)
平成23年、被告の申し立てた
子の監護者指定及び
子の引渡し申立事件並びに
これらを本案とする審判前の保全処分、
原告の申し立てた子の監護者指定申立事件
が、いずれも当庁に係属した。

 当庁は、
平成24年2月28日、長女の監護者を原告と定め、被告の申立てをいずれも却下する審判をし、同審判はその後確定した。
その後、被告は、2度にわたって、子の監護者の変更を求める申立てを当庁にしたが、いずれの申立ても却下された。

(19) 原告は、
平成23年9月に○○大学院の博士課程を修了し、
同大学院の客員共同研究員、
○○大学大学院の特任講師
を経て、
平成26年5月から、○○に勤務するようになり
平成27年6月からは○○として勤務している。
原告の勤務時間は、月曜から金曜の9時から5時までであり、
これ以外にも原告は、大学の非常勤講師として、
短期間集中して(毎週土曜日などに)授業を行うこともある。
原告の平成27年分の給与収入は○○万○○円であった。

原告は、現在、○○の実家に比較的近い○○内のマンションで、
実家の両親の援助を受けつつ、長女と2人で暮らしている。
長女は、住居近くの小学校の2年生で、学校生活に適応し、元気に通っており、年齢相応の心身の発達を遂げている。
母子関係にも特段の問題はみられない。
 原告は、被告と復縁する意思は全くなく、
離婚後は、長女の親権者となることを希望しており、
被告と長女との面会交流については、FPIC等の第三者機関の支援が不可欠であり、
その頻度は月に1回、2時間程度とすべきと考えている。
なお、原告は、平成23年秋の家庭裁判所調査官の調査の際には、
被告と長女の親子関係は良かったと認めていた。

(20) 被告は、
平成23年春から○○に勤務していたが、
現在は、○○○出向し、 ○○をしており、
平成28年4月から○○を担当する予定でいる。
被告の○○は週に1回の予定であり、
それ以外の時間は、被告が自分の裁量により自宅で勤務することも可能である。

  被告は、○○市の実家で、農業に従事する両親と同居している。
両親は健康である。
被告の実家は、広い敷地に建つ設備の整った住宅であり、自然に恵まれた環境にある。
実家の近くには、
○○の叔父と
○○を務める叔母夫婦
が暮らしている。
日中被告が仕事で出かけている間は
被告の両親が長女の監護にあたる予定であり、
万一被告の両親が留守にする場合でも
叔父夫婦に長女を預かって貰うことができる。

  被告は、被告が長女の親権者に指定された場合も、
原告と長女の交流を維持しておくことが長女の利益に資するとして、
原告に対し、年間100日程度の面会交流を保障する旨申し出ている。
そして、被告は、被告が合理的理由なく、その約束を守らない場合は、
それが親権者を原告に変更する事由となることを認めている。

2 離婚について

 上記1で認定した事実によれば、
原告と被告の婚姻関係は、
共にプライドの高い原告と被告が、事ごとに衝突を繰り返した結果、険悪な状態となって別居するに至り、
その後、長女の監護者を巡る紛争を繰り広げるうちに相互不信が募り、
遂に破綻するに至ったものと認められる。
 そうすると婚姻破綻の原因は双方にあり、いずれか一方に特に非があるということはできないから、
原告の離婚請求は理由があるが、慰謝料請求は理由がないと言うべきである。
なお、原告は、被告の原告に対する身体的・経済的・精神的・性的暴力を婚姻破綻の原因及び慰謝料の発生原因として主張するが、
そのような事実を認めるに足りる証拠はない。

 3 親権者について    
 上記認定の事実によれば、
原告は被告の了解を得ることなく、長女を連れ出し、以来、今日までの約5年10か月間、長女を監護し、
その間、長女と被告との面会交流には合計で6回程度しか応じておらず、
今後も一定の条件のもとでの面会交流を月1回程度の頻度とすることを希望していること、
他方、被告は、長女が連れ出された直後から、長女を取り戻すべく、数々の法的手段に訴えてきたが、いずれも奏功せず、
爾来今日まで長女との生活を切望しながら果たせずに来ており、
それが実現した場合には、整った環境で、周到に監護する計画と意欲を持っており、
長女と原告との交流については、緊密な親子関係の継続を重視して、
年間100日に及ぶ面会交流の計画を提示していること、
以上が認められるのであって、
これらの事実を総合すれば、
長女が両親の愛情を受けて健全に成長することを可能とするためには、
被告を親権者と指定するのが相当である。
 原告は、長女を現在の慣れ親しんだ環境から引き離すのは、長女の福祉に反する旨主張するが、
今後長女が身を置く新しい環境は、
長女の健全な成長を願う実の父親が用意する整った環境であり、
長女が現在に比べて劣悪な環境に置かれるわけではない。
加えて、年間100日に及ぶ面会交流が予定されていることも考慮すれば、
原告の懸念は杞憂にすぎないというべきである。
よって、原告は被告に対し、本判決確定後、直ちに長女を引渡すべきである。

4 面会交流について
 被告は、原告と長女の面会交流に関し、
「○○の共同養育に係る計画(案)」(乙26の2)を提出している。

その骨子は、
(1)原告とその両親が、
監視のつかない面会交流が長女の利益に適うこと認め、
その旨の書面を被告に提出しない限り、
面会交流は、被告が指定した機関の監視下で行う。
(2)監視下の面会交流が終わった後は、
隔週の
金曜日の19時から
日曜日の19時まで面会交流を認める。
これ以外に、祝日、春の連休(4月29日から5月5日)及び
長女の誕生日について、隔年ごとに面会交流を認める。
そして、
原告の誕生日と
年末(12月23日から12月30日)
については、
毎年面会交流を認め、加えて、
夏に2週間、
それ以外の時期にも1週間の長期面会交流を認める。
(3)面会交流の場所は、原則として○○、○○内に限る。
(4)開始時及び終了時の長女の引渡しは、被告の住居(○○)で行う。
(5)国外への連れ去りを防止するため、長女の旅券は銀行の貸金庫に預ける。
(6)1日に1回、1時間を限度として、電話での交流を認める。
(7)被告は、被告が正当な理由なく上記面会交流に応じない場合は、
それが親権者変更の事由となることを認める。
というものである。

このうち、
(1)の監視付面会交流について、被告は、
監視付面会交流が非人道的で屈辱的なものであることを
原告に理解させるために、
このような定めをもうけた旨述べるが、
監視付面会交流が子の利益に適わないことは自明のことであり、この定めは不要である。

 上記(2)の面会交流の頻度及び時期等については、
当事者双方が面会交流の意義を理解している限り、
面会交流に関する最近の研究結果(乙5の1、2、26の1の10頁)
からみても適切なものということができる。
 面会交流場所に関する上記(3)の定めは、双方の居住地に照らせば相当である。

引渡し場所に関する上記(4)については、原告の抵抗感を考慮すれば、
被告の実家とすることに問題がないとはいえないが、
最寄り駅などを待ち合やせ場所とした場合に生じ得る待ち時間や悪天候の場合の不都合等を考えれば、
実施回数の多い本件の場合、
できるだけ長女の負担を減らす方策として、
長女の居住地を引渡し場所とする上記定めは合理的というべきである。

  長女の旅券は、親権者となる被告において管理することになると考えられるところ、
被告が長女を連れて国外に移住する可能性は低く、本件において、上記(5)の取決めの必要性は認められない。

  上記(6)及び(7)はいずれも相当である。

  そこで、以上を前提として、原告と長女の面会交流の要領を別紙「面会交流の要領」記載のとおりとする。‘

5 年金分割について

  上記認定の事実によれば、原告と被告との間の
別紙年金分割のための情報通知書記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合は、
これを0.5と定めるのが相当である。

6 よって、主文のとおり判決する。

千葉家庭裁判所松戸文部
 裁判官 庄司芳男

別紙 面会交流の要領

 1 定期的な面会交流
(1)本判決確定後、最初に来る
金曜日の19時から
日曜日の19時までを1回目
  として、以降、隔週の
金曜日の19時から
日曜日の19時まで、面会交流を行う。
(2)面会交流の場所は、原則として○○、○○、○○内こ限る。
(3)開始時及び終了時の長女の引渡しは、被告の住居(○○)で行う。
 2 不定期の面会交流
(1)定期的な面会交流の外、
祝日、
春の連休(4月29日から5月5日)及び
長女の誕生日について、
隔年ごとに面会交流を認める。
そして、
原告の誕生日と
年末(12月23日から12月30日)
については、毎年面会交流を認め、加えて、
夏に2週間、
それ以外の時期にも1週間の長期面会交流を認める。
(2)この場合の面会交流については、
その具体的日時、場所、方法等は、
長女の福祉に配慮し、事前に当事者双方が協議して定めることとする。

3 電話での交流
1日に1回、1時間を限度として、電話での交流を認める。
4 被告の不履行の場合の特則
 被告は、被告が正当な理由なく上記面会交流に応じない場合は、それが親権者変更の事由となることを認める。

(別紙)共同養育計画案
(親権者の決定)
 第一条
夫○○(以下「甲」という。)と
妻○○(以下「乙」という。)
は、未成年の長女○○(平成○○年○○月○○生、以下「丙」という。)
の親権者を甲と定め、
甲において監護養育することとする。   

(養育費等)
 第二条 甲は、乙が就職していない場合に限り、
養育費の一切を負担する。
ただし、監視下の面会時の費用負担は、乙が費用を負担する。
2 将来、甲又は乙の就職、失職その他の事情の変更あったときには、
甲と乙は、丙の養育費の負担の変更について、
誠実に協議し、円満に解決するものとする。
3 乙及び乙の親(○○、○○)は、丙を甲のもとから連れ去り
(一方の親の同意なくして丙の居所を変更する行為を言う。以下同じ。)
、かつ、、丙と甲との面会及びその他の交流を五年以上にわたり妨害することにより
丙の利益を著しく害していることにつき、
丙に対する慰謝料として、
丙と甲との引き離しを開始した日
(平成二十二年五月六日)
から丙が甲に引き渡される日までの日数に
三万円を乗じた額を甲に支払うものとする。
この場合において、甲は当該慰謝料の全てを
丙の学資その他丙の利益に資するものの支払いに充てることとする。

(面会及びその他の交流)
 第三条 甲は、乙が丙と面会及びその他の交流をすることを認める。
面会及びその他の交流の方法その他の事項については、別紙に定めるところによる。
2 将来、甲又は乙の就職、失職その他の事情の変更あったときには、
甲及び乙は、面会及びその他の交流の日時等の変更について、
誠実に協議し、円満に解決するものとする。

(面会及びその他の交流と子の利益)
 第四条 甲は、前条の定めに従わず、正当な理由なく、丙との面会及びその他の交流を防げるこ
 とが丙の利益に適わないこと、
親権及び監護権の濫用であること並びに
当該行為が親権者変更事由となることを認める。    

(裁判外紛争解決手続の利用)
 第五条 甲及び乙は、前条までに定める事項について争いがある場合において、
甲及び乙のみで解決できない場合には、
裁判外紛争解決手続
(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律
(平成十六年法律第151号)
第二条第一号に定める裁判外紛争解決手続をいう。)
等を通じ解決を図るものとする。

(別紙)
(監視下の面会)
第1条
乙及び乙の親(○○、○○)
が、監視のつかない乙と丙との面会が丙の利益に適うこと及び
丙を連れ去ることは丙の利益に適わないこと
を認め、その旨を書面にて甲に提出するまでの間、
甲が指定した機関による監視の下、
乙は丙と面会を行う。
この場合において、乙は、当該機関による指示
(面会時の録音・録画の禁止、贈答品の丙への受け渡しの禁止等)
に従うものとする。     /

(監視下の面会終了後の面会)
 第二条 監視下の面会終了について
甲及び乙が合意した日から
二週間経過した後の最初の金曜日より、
乙は、第五条に定める場合を除き、
隔週の
金曜日十九時から
日曜日十九時まで丙と面会することとする。
ただし、甲及び乙の間で面会日の変更に合意した場合はこの限りではない。

(面会の場所等)  。
 第三条 面会の場所については、○○、○○及び○○に限る。
それ以外の地域におい て面会を行う場合には、
乙はあらかじめ甲より文書による了解をとらなければならない。
この場合において、
乙は、
面会の場所、
列車・飛行機等の情報、
緊急時の連絡先
等を含む旅程表
等を甲に渡さなければならない。
 2 乙は、面会開始時において、甲及び丙の住居(○○)まで迎えに来、面会終了時までに、甲及び丙の住居まで送るものとする。
 3 甲は、面会に係る交通費その他の費用について、
乙が就職していない場合に限り、
乙の申告に基づき、
面会に必要と考えられる合理的な範囲内において負担する。
ただし、監視下の面会における費用については、この限りではない。

(国外への連れ去り防止)
 第四条 甲又は乙が丙を国外へ連れ去ることを防ぐため、丙の旅券は銀行の貸金庫等に預けるものとする。
 2 甲及び乙は、観光等の目的で丙を一時的に国外へ連れて行く際には、
あらかじめもう一方の親に対し書面により
旅程表及び往復航空券の写しを示した上、その了解をとらなければならない。

(祝日等における面会)     
第五条
祝日等において、
以下の表に掲げる日及び
次項に掲げる日
に、
丙と甲及び乙は面会を行うことができる。

3 前項に掲げる祝日等と
土日曜日又は
その前後の日とが重なる場合、
同一の親が連続して丙と面会することになるよう、
甲及び乙で、遅くとも当該祝日等の二週間前以上前に調整しなければならない。

 4 乙は、第二項に掲げる祝日等のほか、
毎年、二回、一週間以上の面会
(以下「長期面会」という。)
をすることができる。
長期面会のうち一回は、
七月一日から八月三一日までの間のうち甲と調整して定める二週間とする。
長期面会の計画は、遅くとも一ヶ月以上前に、甲に書面で通知しなければならない。
甲は、当該計画に不都合がある場合、通知受領後二週間以内に返答しなければならない。
 5 乙は、毎年、丙の学校等における行事を参観することができる。
この場合において、甲は、当該行事について乙に対し事前に連絡をするとともに、その参観を妨げてはならない。

(面会の取り消し等)
 第六条 乙が面会時に丙の引渡しの時刻に遅れ、かつ遅刻することを甲に連絡しなかった場合、
 当該時刻から三〇分経過した後には、面会が取り消されたものとみなす。
2 乙が決められた面会に行けない場合は、
可能な限り速々かに甲に通知しなければならない。
 3 丙が病気を患い予定されていた乙との面会が適わない場合は、
甲は可能な限り乙に通知しなければならない。
この場合において、甲は乙に対し医師の診断書を提示しなければならない。
4 前号の場合において、甲は乙に対し代替となる面会の日を提示しなければならない。
5 乙が、丙との面会時、
正当な理由なく、丙を甲に引き渡す時刻に遅れ、かつ遅刻することを甲に連絡しなかった場合、
次回の面会を取り消すものとする。
6 乙と丙との面会中、丙が病気を患い、取り決めどおりに丙を甲に引き渡すことが適わない場合、
 乙は可能な限り甲に通知しなければならない。
この場合において、乙は甲に対し医師の診断書を提示しなければならない。

(住居移動の通知等)
第七条 次の各号の変更に伴う新しい住所と電話番号について、
甲及び乙は七日以内に、もう一方の親に通知する必要がある。
 一 居住地、郵便物送付先及び職場の住所
 二 居住地、職場並びに丙の学校等の電話番号及び電子メール番号
2 甲は、丙の引越しを予定している場合は、
引越しの十四日以前に乙に通知する必要がある。
通知は分かっている範囲で、丙の引越し先の住所の記載がなければならない。
また、通知は書留で送付されなければならない。

(電話その他の交流)  
 第九条 乙と丙との電話での交流については次の各号に定めるところによる。
  ― 合理的な時間に合理的な長さで、丙は乙と電話で交流しうること
  二 電話での交流は、原則として、一日に一回、一時間を限度とすること
  三 甲その他の者は、丙と乙との電話での会話を聞いたり監視したりしてはならず、丙の意に反し、電話を切ってはならないこと
 2 乙と丙との面会時における、甲と丙との電話での交流についても、前項各号に定めるところに
 準ずるものとする。

(否定的な発言の禁止)
 第十条 甲及び乙は、丙の聞こえる距離で、
もう一方の親やその親の過去及び現在の係わり合い、
家族、友人などについて否定的な発言をしたり、
否定的な発言を第三者
(甲及び乙の親を含む。)
 がすることを許してはならない。

(言づて等の禁止)    、
 第十一条 甲及び乙は、丙に関する事項について直接連絡をとりあうこととし、
言づてのために丙を利用してはならない。
 2 甲及び乙は、丙から、もう一方の親の状況について探るようなことをしてはならない。

(面会等の妨害の禁止)     
 第十二条 甲及び乙は、もう一方の親の事前の合意なくして、
もう一方の親と丙との監護中又は面会及びその他の交流中に、
丙と交流を図ろうとしてはならない。

(第三者による面会等の妨害の禁止)
 第十三条 乙と丙との監視下の面会が終了するまでの間、
乙の親(○○、○○)
と丙との面会その他の交流は一切禁止する。
 2 監視下の面会終了後において、乙の親その他の第三者が甲の監護及び乙の丙との面会及びその他の交流を妨害するおそれがあると認められる場合には、
丙と甲及び乙との面会その他の交流への妨害のおそれがなくなるまでの間、
当該者と丙との面会その他の交流は一切禁止する。

(子の衣服と所有物)
 第十四条 甲及び乙は、丙の衣服を甲と乙とが交換することのないよう、それぞれ丙の衣服を保管しておかなければならない。
 2 甲及び乙は、丙をもう一方の親に引き渡す際に、
丙がもう一方の親から引き渡された際に着ていた衣服やその他の所有物を
もう一方の親に返還しなければならない。

(日誌による記録)
第十五条 甲及び乙は、日誌を保管し、二つの住居を丙が行き来する際に、丙とともに日誌を確実に交換しなければならない。
2 当該日誌には、丙と一緒にいる際に生じた健康、教育、福祉に関連する情報を記録しなければならず、個人的な意見等を記載してはならない。
3 日誌の交換に際しては、母子手帳、丙の健康保険証等その他丙の監護及び面会に必要なものも併せて交換しなければならない。

(親教育プログラム等)
 第十六条 甲は丙に対し五年以上の甲と丙との面会が行われなかったこと等により心理的外傷が認められる場合には、その治療を行わなければならない。
その場合において、乙及び乙の親は当該治療の費用の一切を負担する。
 2 乙は、面会が子の利益に資するものであること、
乙の利益と丙の利益とは異なるものであること
その他親として必要な知識を習得するだめ、
甲の指定する講義を受講しなければならない。
その場合において、乙は当該講義の受講費用の一切を負担する。
 3前項の規定は、乙の親に準用する。

にほんブログ村 家族ブログ 親子引き離しへ
にほんブログ村