平成27年(行ウ)第54号 自己情報不開示決定処分取消等事件 原告の第三準備書面。

今まであえて触れてませんでしたが、
とうとう、子どもの権利条約に言及しました。
さらに、別訴で敗訴した理由の一つとして、
児童虐待の証拠がないことが挙げられていましたので、
証拠を提出。
親子断絶をされている人のためにも、
証拠がないままでの勝訴がベストでしたが、
敗訴するとなると証拠を提出せざるを得ません。
しかし、裁判所が、このような運用をすれば、
証拠を作らせないために、
ますます、親子断絶が促進されてしまいます。
裁判所の罪は重い。

**********

平成27年(行ウ)第54号 自己情報不開示決定処分取消等事件
原告 ○○娘ちゃん
被告 田川市
第3準備書面
平成28年7月12日
福岡地方裁判所第2民事部合議B係 御中

 〒○○
○○
TEL ○○
FAX ○○  
  原告法定代理人親権者父 ○○ ○○


第1 被告の準備書面(2)第1・1に対する反論。
1.被告は、法定代理人父のことを「監護権を有しない親権者」と言うが、
法定代理人父は、
未成年者本人の母(以下「母」と言う。)が事実上の監護をすること
を認めただけで、監護権のすべてを放棄したわけではないし、
監護権は、そもそも、放棄できる種類の権利でもない。
権利であれば放棄もできようが、
監護権は、子に対する権利であり義務であるからである。(甲第24号証)。

2.法定代理人父は、母との間で、調停による合意を取り交わしているので、
すくなくとも監護という事実行為については、
父母の間、つまり、当事者間で、権利を有する者は現在決まっているが、
それは、共同親権の対内的な調整であり、
法定代理人父が、
未成年者の事実上の監護について、母に対して主張できないことは調停合意の存在からして、当然であるとしても、
母以外の第三者に対して、監護権を主張できないかというと、それは別問題である。
婚姻中の父母の間で決めた監護者とは、共同親権者間における事実上の存在であり、
親権者のように対外的に戸籍に明記されるような存在ではないからである。

3.被告が言う「母が明確に未成年者の情報を父に提出することを拒んでいる状況」については、
不知。
その旨を証明できる証拠の提出を求める。
内容は被告がすでに自白しているので、証拠の提出を拒む理由はない。
事実であれば、拒んでいる状況や聞き取りを行った日時等が記載された報告書等があるはずである。

4.被告が言う「未成年者本人も自己情報の開示を求めておらず、」という点については、
未成年者本人の年齢からして、やむを得ないと言える。
また、それゆえに、田川市個人情報保護条例(以下「本件条例」という。)は、
法定代理人による代理請求を認めているのであるから、
未成年者に請求の意思がないことは問題にならない。
また、未成年とはいえ、一定の年齢、たとえば、15歳になれば、法定代理人による代理請求について、
たとえば、「未成年者本人の同意が必要である」というような制限を付す条例を定めることも可能であるが、
本件条例においては、法定代理人による代理請求については、なんらの制限も付されていない。
また、共同親権者の一方の反対についても何ら言及されていない。
後の被告の主張によれば、
本件条例に条文がなくとも、他の自治体の条例の条文を恣意的に適用できるとのことであるが、
法治国家を否定する主張であり、極めて遺憾である。
他の自治体に、原告に有利な条例があったとして、
原告がその適用を主張すれば、本件条例には無関係であると被告が主張することは言うまでもない。
つまり、恣意的ということである。
なお、被告は「未成年者本人も自己情報の開示を求めておらず、」というが、
本訴訟をいたずらに混乱させることとなるので、
この点については撤回を要求する。
被告は、仮に未成年者本人に開示請求の意思があったとしても、
監護者である母の意思を理由に非開示にすると推察されるので、
本件では主張の必要がない。
あくまでもこの点につき主張するのであれば、
当時3歳の未成年者の開示請求の意思を求めているのか?、かつ、
現在5歳の未成年者の開示請求の意思を求めているのか?
について釈明を求める。さらに、
現在5歳の未成年者の開示請求の意思を求めているのであれば、
その開示請求の意思は、どのように確認するつもりであるか?について、釈明を求める。

5.被告は、
「法定代理人としてなされた形式ではあるものの、その実態は、父本人によるものと認められた。」
と主張するので、民法第826条の利益相反行為に準じた主張と考えられるが、
自己情報を開示請求する行為は、
財産行為ではないので、利益相反行為には該当せず、
民法第826条は直接には適用されない。

6.あえて被告の主張に付き合えば、
「法定代理人と本人との間に利益相反する関係があるか否かは、
専ら、行為自体を観察して、判断すべきものであって、
その行為に至った縁由を考慮して判断すべきものではない」
(最判昭37・2・27)(甲第25号証)、
「民法826条にいう利益相反行為に該当するかどうかは、
親権者が子を代理してなした行為自体を
外形的客観的に考察して判定すべきであって、
当該代理行為をなすについての親権者の動機、意図をもって判定すべきでない」
(最判昭42・4・18)(甲第25号証)
というのが判例・通説である。
親権者の動機、意図は判定材料とはならないのであるから、
被告の準備書面(2)第1・1・②において、本件個人情報開示請求に至る経緯を主張することは無意味である。
なお、法定代理人父が、原告の自己情報を開示請求した動機、意図について、やましいところは何らないので、
仮にそれをもって判定しても、利益相反行為には該当しない。

7.また、法定代人となる要件は、親権者であることであって、
同居は要件ではないので、
被告の準備書面(2)第1・1・①において、法定代理人父と未成年者本人の住所が異なっていることを主張することも無意味である。

8.法定代理人父の行為は、利益相反行為ではないので、
次に、法定代理権の濫用があるかどうかについて検討すると、
判例によれば、
「1 親権者は、原則として、子の財産上の地位に変動を及ぼす一切の法律行為につき子を代理する権限を有する(民法八二四条)ところ、
親権者が右権限を濫用して法律行為をした場合において、
その行為の相手方が右濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、
民法九三条ただし書の規定を類推適用して、その行為の効果は子には及ばないと解するのが相当である
(最高裁昭和三九年(オ)第一〇二五号同四二年四月二〇日第一小法廷判決・民集二一巻三号六九七頁参照)。」
(甲第26号証)
とあり、被告が言う無効の主張は、民法九三条ただし書の規定を類推適用したものと解釈できる。

9.ところが、最高裁判例は、続けて、
「2 しかし、親権者が子を代理してする法律行為は、
親権者と子との利益相反行為に当たらない限り、
それをするか否かは子のために親権を行使する親権者が子をめぐる諸般の事情を考慮してする広範な裁量にゆだねられているものとみるべきである。
そして、親権者が子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、利益相反行為に当たらないものであるから、
それが子の利益を無視して自己又は第三者の利益を図ることのみを目的としてされるなど、
親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、
親権者による代理権の濫用に当たると解することはできないものというべきである。
したがって、親権者が子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為について、
それが子自身に経済的利益をもたらすものでないことから直ちに第三者の利益のみを図るものとして親権者による代理権の濫用に当たると解するのは相当でない。」
とされている。したがって、原告の行為は、法定代理権の濫用でもない。

10.なお、法定代理権は親権の権能であるから、
法定代理権の濫用はすなわち親権の濫用ということになる。
ところで、父は、民法第834条の2に基づく、親権停止の審判を請求されていない。
したがって、父の行為が法定代理権の濫用に該当しないことは、
民法第834条の2によれば、「子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官」が認めているものと言える。
もちろん、子の親族の中には、母も含まれる。

11.なお、被告は、「開示請求がなされた文書のうち、相当部分を受領済みであったこと」を主張するので、
これが、未成年者本人の権利の濫用に該当するかについて、検討すると、
再度の交付請求程度では濫用とは言えないし、
受領済みでない文書については、当然、濫用には該当しない。

第2 被告の準備書面(2)第1・2に対する反論。
1.被告は、「監護権者の同意を得るように伝えた」理由を述べてはいるが、
いずれも、法的根拠にもとづく理由ではない。
よけいな紛争を起こさないために、実務上の手続きとして、そのような手間暇をかけること自体は悪いことではないが、
同意が得られない場合は、条例の規定に従い、対応すべきことであり、
監護権者の同意がないことをもって、非開示の理由とすることはできない。
被告は、非開示の理由を「母の同意がないこと」とはしてはいないが、
被告がいう形式論と実態論に倣って言えば、
形式的には、本件条例第18条第2号を理由としているが、
実体としては、「母の同意がないこと」を理由としていることは、
この後も、延々と「母の同意がないこと」を主張していること、及び、
本件条例第18条第2号は、被告がいう「開示請求者は父」であるという主張によれば、
非開示理由として誤っていることから、明らかである。

2.「親権の単独行使が認められるのは、本人の権利利益保護という観点である。」ことは認める。

3.被告は、法定代理人父の代理行為について、
「親権の共同行使の例外である単独行使が許容される場合とは認められないものである。」
と主張するが、その理由は、いずれも、本人の権利利益保護とは無関係であり、失当である。

第3 被告の準備書面(2)第2・1に対する反論。
1.被告は、原告の求釈明に対して
「①そもそも、法定代理人であっても代理人であるため、そのような求釈明が法的に無意味で有る」
と言うが、法定代理人と任意代理人とでは、適用される条文も判例も異なってくるので、法的に有意義である。
このことは、被告の準備書面(2)第2・5において、
法定代理人と任意代理人とで扱いが異なることを、
被告自身が、ミスリーディングとして認めて、撤回していることからも明らかである。

2.さらに、被告は、
「②前述したとおり、本件自己情報開示請求は法定代理人としてなされた形式ではあるものの、
その実態は父本人による請求であることから、
「代理人として請求してきたもの」と抽象的に表現したからである。」
と言うが、未成年者本人の年齢からして、父が任意代理人であることは、考えにくいのであるから、
被告の解釈としては、父本人による請求か、法定代理人による請求かしかありえないのであり、
わざわざ抽象的に表現する必要はない。

3.ミスリーディングを認めていることから、法定代理人としての請求であることを認めているものと考えられるが、
念のため引き続き釈明を求める。

第4 被告の準備書面(2)第2・2に対する反論。
1.法定代理人父が釈明を求めた「母の同意を求める法的根拠」については、
全く触れられていない。被告から見た事実を語っているだけである。

2.法的根拠とは、たとえば、第何条に母の同意が必要と定められているといった具合である。

3.被告から見た事実をどの条文にどのように当てはめていったかについて、釈明を求めているのである。
引き続き釈明を求める。

第5 被告の準備書面(2)第2・3に対する反論。
1.被告は、
「父は、第2・5以降において、母の意思は一方の法定代理人の事情であり、
本人の利益を実現する手段を妨害することが高度の蓋然性をもっている旨を主張しているが、
本件において、被告が母や田川北保育所から事情聴取をした限度において、
何らそのような蓋然性は存在しなかった。」
と言うが、
「本人の利益を実現する手段を妨害することが高度の蓋然性をもっている」
という部分は、
福岡県個人情報保護条例についての個人情報保護事務の手引きが、
「父母それぞれが単独で開示請求権を行使することができる。」
という結論に達した経緯を述べた部分である。

2.そして、法定代理人父が言う所の「本人の利益を実現する手段」とは、
「法定代理人による自己情報の開示請求」のことである。
したがって、被告が言うように
「何らそのような蓋然性は存在しなかった。」
どころか、真偽は別として、被告は
「母が明確に未成年者の情報を父に提供することを拒んでいる」
というのであるから、蓋然性どころか、
「本人の利益を実現する手段を妨害」したことは明白であり、論理的に誤っている。

3.なお、「法定代理人による自己情報の開示請求」のことを
「本人の利益を実現する手段」と表現したのは、
福岡県個人情報保護条例についての個人情報保護事務の手引きでは、
「未成年者の法定代理人の開示請求権行使については、次の理由により、父母による親権の共同行使は要件とせず、父母それぞれが単独で開示請求権を行使することができる。
(ア)本条例の開示請求権は、本人の利益を実現する手段として法定代理人による権利行使の制度を設けたものであること。
(イ)共同行使を要件とすると、一方の法定代理人の事情により開示請求権が円滑に行使されなくなり、本人の権利利益の保護を制約するおそれがあること。」
(甲第20号証)
と記載されており、
「(ア)本条例の開示請求権は、本人の利益を実現する手段として法定代理人による権利行使の制度を設けたものであること。」
と明記されているからである。
つまり、法定代理人による権利行使の制度は、
本人の利益を実現する手段である。
よって、母が、法定代理人による権利行使を妨害するということは、
本人の利益を実現する手段を妨害していることになる。

4.さらに、被告は、
「未成年者の情報が父に開示された場合には、
父と母との関係が悪化して、未成年者の福祉に悪影響を及ぼす事態も想定された。」
と言うが、悪化するのは、母と被告の関係であって、父との関係ではない。
父と母の間では、調停で合意が成立しており、父母間の関係は、その合意に拘束される。

5.被告は、開示した場合の父母の関係が悪化するおそれを言うが、
被告が開示しないとなれば、
父は、母に対して、直接、請求せざるを得ず、母が応じなければ、調停なり、訴訟なりということになるのであって、
そうなると、父母は、裁判所における紛争解決手続きの当事者として相対することとなる。
そうなった場合の方がよほど父母間の関係を悪化させるおそれがあるのであって、
被告の主張は、単に、自らの開示責任を免れるための方便であり、
父母間の関係の悪化などは何ら考慮していないし、
未成年者の福祉も考慮していない。
このことは、本訴訟を通じて、
子の権利利益の保護よりも、
「監護親の意思」を尊重していることからも明らかである。
被告は、「監護親の意思」を尊重することが、子の福祉に適うと主張しているが詭弁である。
一般論ではあるが、このような詭弁の上に、
監護親による児童虐待は放置され続けている。
監護親による児童虐待により、監護親が逮捕されるニュースは、いまや日常のものとなり、児童虐待への憤りは感じるものの、驚くようなことでもなくなった。児童相談所が関与しているにもかかわらず、監護親により命を奪われた児童のニュースもいまだに無くならない。
児童相談所が積極的に関与しない理由は、
「監護親の意思」の尊重という建前であり、
その本音は、被告同様に、面倒事に巻き込まれたくないという意識である。
このような意識改革を図るために、今年、5月に、改正児童福祉法と改正児童虐待防止法が可決、成立し、
弁護士の児童相談所への配置を義務付け、
家庭に強制的に立ち入る「臨検」手続きの簡略化などが盛り込まれた。
弁護士の児童相談所への配置は、法律知識のサポートという面もあるが、
第三者の目で児童相談所の怠慢を監視するという面もあろう。
しかし、児童相談所が介入するようになっては手遅れというものであって、予防が第一である。
そのためには、児童に多くの人が関与することが大事であって、
なかでも、私心を捨てて、児童のために労を惜しむことのない児童の親、親族等の関与を妨害するなどは、特段の事情がない限り、子の福祉のために許されない。
なお、児童虐待は、監護親によってのみ行われるものではなく、
時間で比較すれば、むしろ、田川市北保育所が、一番長く保育しているのであるから、
田川市北保育所において児童虐待が行われる可能性も否定できない。
児童虐待の発覚の端緒となるのは、身長、体重の異常や体の痣からであることが多いので、
田川市が保有する情報は極めて重要である。

6.被告は、「子の福祉の観点から、監護権者が決定される」と言うが、
それは理想論であって、現実に即してはいない。
また、父母間では、単に事実上の監護をする者を決めただけであり、
共同親権者の一方の監護権を消滅させるような監護権者は定めていない。
つまり、親権の一部について、共同親権者間で内部的に優劣をつけたに過ぎない。(甲第24号証)。
優劣という意味では権利と言えるが、それは所有権の様な絶対的排他的な権利ではなく、
共有者間における共有物の使用に類似した関係であり、
内部的には優劣があるにしても、対外的にはいずれも持分権を有していることと類似している。
被告は誤解を生じさせるように意図的に「監護権者」という言葉を用いているが、
対外的には、単なる事実上の監護を行う者である。
たとえば、保育所として未成年者を父母のどちらに引き渡すかという場面では、
余計な紛争を防止するために、親権者父からの引渡しの要請を拒むことはあろう。
しかし、親権者母や母の親族がいつまでたっても迎えに来ない場合はどうであろうか。
その場合は、親権者父に引き渡すしかなかろう。
対外的には、父は親権者であるからである。引き渡した後は後は、父母間の問題である。監護者とはその程度の内部的な存在である。

7.なお、民法第766条によれば、子の監護をすべき者は、まず父母の協議で定めるのであり、
たとえば、離婚を申し入れられた者が、離婚を希望する配偶者に対して、
未成年者の監護権を放棄することを条件に、離婚に応じることは往々にしてあり、
こういった場合の合意には、子の福祉は考慮されていない。
そして、民法第766条は、
「この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」
と規定はしているが、
父母の協議に対しては、何ら法的拘束力はなく、
父母がどのような結論を出そうとも、形式的に父母の同意がある限り、どのような結論でも有効である。

8.被告は、「監護権者と非監護権者の意見が対立した場合に、子の福祉という観点から、監護権者の意思が尊重されるべきであると被告は判断した」というが、子の福祉の観点からは、子の利益が尊重されるべきであって、
監護権者の意見が常に優先的に尊重されるという被告の判断は失当である。
監護権者の意見が絶対ではないことは、民法第766条第2項において、
子の監護者の変更が認められていることから明らかである。

9.被告が言う「親権者間で意見が異なる場合の規定が存在することを調査し、
開示の可否に際して、処分行政庁が条例の趣旨に照らした解釈を行うための参考としたものである。」
については、
「親権者間で意見が異なる場合の規定が存在すること」については、認め、その他は不知。
なお、他の自治体に特別な条例があるということと、
被告においても同様に処理するということ
は別問題である。
被告が拘束されるのは、本件条例についてであり、
他の自治体の条例は無関係である。
被告は、「条例の趣旨に照らした解釈を行うための参考とした」というが、
本件条例の何条をどのように解釈したのかについて釈明を求める。

第6 被告の準備書面(2)第2・4に対する反論。
1.被告の反論は、父の請求であるから、父に送付したということのようであるが、
そうであれば、非開示の理由として本件条例第18条第2号を適用する余地はない。
本件条例第18条第2号は、
請求者が自己の個人情報の開示を求めたものの、
請求者の自己情報に、他者の個人情報も含まれていたために非開示とする内容であるからである。
よって、請求者が未成年者本人でなければ、
本件条例第18条第2号を適用できない。
この論理がいまだ理解できないということであれば、法廷で原告に質問されたい。

第7 被告の準備書面(2)第3・1に対する反論。
1.被告の釈明は、被告の準備書面(2)第1、第2と重複しているので、
反論については、原告の第3準備書面の対応箇所を引用する。

2.なお、父は、原告法定代理人父として自己情報の開示請求をしており、
父個人としては自己情報の開示請求はしていない。
このことは、本件自己情報開示請求と同一内容の情報公開請求については、父個人名義で請求をしていることから明らかである。

第8 被告の準備書面(2)第3・4に対する反論。
1.被告の釈明は、被告の準備書面(2)第1、第2、第3・1と重複しているので、
反論については、原告の第3準備書面の対応箇所を引用する。

第9 原告の主張。
1.被告は、法的根拠の説明を求められているにもかかわらず、
被告が主張する単なる事実を羅列するだけで、何らの法的根拠も示していない。
法的根拠とは、被告が主張する単なる事実に対し、
何法の何条、本件条例の何条あるいは判例にどのように適用したかということである。
よって、引き続き、法的根拠につき釈明を求める。

2.本件自己情報の開示請求に当たっては、
本件条例に加えて、子どもの権利条約(以下「本件条約」という。)も適用されるので、
以下、該当条文(甲第27号証)に即して主張する。

3.本件条約第3条1項によれば、
「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、
公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、
児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」
というのであるから、
監護者の都合は、児童の最善の利益に劣後する。
そして、裁判所、行政当局等の判断においても「児童の最善の利益が主として考慮され」なければならない。

4.本件条約第3条2項によれば、
「締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、
児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、
このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。」
というのであるから、
密室となり児童虐待の温床となりがちである家庭内の監護状況につき、
父母等の間でできるだけ透明化を図り、
もって、「児童の福祉に必要な保護及び養護を確保」しなければならない。
つまり、本件自己情報の開示が「児童の福祉に必要な保護及び養護を確保」につながるのである。

5.本件条約第12条1項によれば、
「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について
自由に自己の意見を表明する権利を確保する。
この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」
というのであるから、
未成年者本人は、「自由に自己の意見を表明する権利を確保する。」こととなる。

6.そして、本件条約第12条2項によれば、
「このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、
国内法の手続規則に合致する方法により
直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」
とあるのであるから、
「聴取される機会を与えられる。」こととなる。
聴取の方法としては、
児童虐待の調査として、田川市の児童相談所に未成年者本人と面談経験を持つ者がいるから、
その者に聴取させることが適当と考える。
そして、実際に聴取する場合、聴取する際の言葉は、原告と被告の当事者で協議のうえで決め、
聴取の状況は、ICレコーダーで録音し、証拠とすることを要求する。
記録がない場合、質問の仕方が公平ではなくなる高度の蓋然性があるからである。
また、聴取の趣旨は、監護者には知らせないことが適当である。
監護者が、事前に聴取内容を知れば、未成年者に圧力をかけ、
「自由に自己の意見を表明する権利」を侵害する高度の蓋然性があるからである。
特に、被告や被告の関係者が監護者に事情聴取の内容についての情報を提供することは慎まなければならない。

7.本件条約第18条1項によれば、
「締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。
父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。
児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。」
とあるのであるから、
被告が主張する、父の監護義務が免除されたがごとき主張は失当である。
父が調停合意により、監護者との関係において、未成年者本人を父が事実上監護することを主張できないことは当然としても、
父は「児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。」のであるから、
「児童の最善の利益」が、父の「基本的な関心事項となる」ことは当然であり、
よって、法定代理人として未成年者本人の情報につき開示請求できることが必要である。

8.本件条約第18条2項によれば、
「締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、
父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、
児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。」
とあるのであるから、
未成年者本人のために、
「この条約に定める権利を保障し及び促進するため、」
父に対して、「適当な援助を与える」ことが必要であり、
自己情報を開示することは、「適当な援助」に該当する。

9.ところで、被告は、被告の準備書面(1)において、
請求の原因4(経過)・(1)記載の事実について、
「父が原告から監護親による児童虐特について以前から訴えを受けていた」旨は不知といい、
「その余は、事実経緯という限度で認める」という。
しかし、未成年者本人が、母による児童虐待を父に訴えていることは、単なる事実経過ではなく、事実であり、
(甲第28号証、甲第29号証)、
被告が事実経過として認めている通り、
未成年者本人が監護者による児童虐待を肉声で訴える様子は、被告も聞いており、認識していた。
なお、法定代理人父が、
平成26年8月11日に田川市役所子育て支援課に赴いたのは、
未成年者本人が、平成26年8月10日に監護者の元へ帰ることを嫌がる様子に尋常でないものを感じ、
しかも、監護親による児童虐待があることを訴えられたからである。
つまり、法定代理人父は、未成年者本人の訴えの翌日に田川市役所へ赴いたわけである。

10.このような明白な証拠の存在を認識しているにもかかわらず、
加害者である監護者の意思を優先させる被告の態度は、到底許されない。

11.本来、甲第28号証および甲第29号証のような証拠がなくても、
原則として、自己情報の開示がなされることが子の福祉に資するのであり、
逆に非開示とするには、例外的な場合として、子の福祉を害する具体的な事情が必要とされるものである。

12.ところで、甲第28号証、甲第29号証及び録音データが存在することを
監護者その他の第三者に対して情報提供することは、
地方公務員法第34条に違反することとなり、禁止されている。
被告及びその職員は
不当に監護者の意思を優先する姿勢を持っており、かつ、
法的知識に乏しいようなので、念のため注意しておく。

証拠方法
1 甲第24号証 監護権者の指定とはどのような制度か?親権者の指定との違いは何か?
2 甲第25号証 第2章 未成年者と親権者
3 甲第26号証 平成1(オ)759判決
4 甲第27号証 児童の権利に関する条約
5 甲第28号証 平成26年8月10日に録音した未成年者本人が児童虐待を訴える音声ファイルを編集したもの(2分39秒)
6 甲第29号証 甲第28号証の反訳
7 甲第30号証 甲第28号証の編集前の音声ファイル(38分20秒)

添付書類
甲号証写し 1通
以上


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