平成27年(行ウ)第49号 公文書不開示処分取消等請求事件 第1準備書面
やっと相手方の言い分が分かりました。
反省のかけらもなく、
ツッコミどころ満載という感じです。
これから、20日程度で文書にまとめないといけません。
みなさんもツッコミどころがあったらツッコんでやってください。
参考にさせていただきます。
裁判官は、私の方に特に反論が無ければ、判決へって感じでした。
本人訴訟と思ってかなり甘く見てるんだろうな。
こっちは反論したいことがありすぎて、大変です。
少しも「認める」ことができそうにない(笑)。
**********:
平成27年(行ウ)第49号 公文書不開示処分取消等請求事件
原告 ○○ □□
被告 田川市
第1準備書面
平成28年1月14日
福岡地方裁判所第1民事部合議A係 御中
〒******
○○市○○**************【送達場所】
TEL***********
FAX***********
被告訴訟代理人
弁護士 ○○ ○○
同 ○○ ○○
同 ○○ ○○
第1 請求の原因
(原告の平成27年10月17日付け訴状訂正申立書による訂正を前提とする。)
に対する認否・反論
1 請求原因1(当事者)記載の事実は認める。
2 請求原因2(経過)記載の事実は認める。
3 請求原因3(本件公開対象情報についての公文書)記載の事実は認める。
4 請求原因4
(平成26年10月30日付け・・・棄却決定処分の違法)
記載の事実について。
(1)同①は認める。
(2)同②の記載は、
「本件対象情報は、原告の子(○○▲▲)の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報であ
る」
につき否認し、
その余は認める。
(3)同③の記載は、
第1段落及び第2段落は認め、
第3段落については、
処分行政庁は、何ら恣意的な運用や自由裁量に基づいて一部非開示や非開示を決定した訳ではないので、争う。
(4)同④の記載は、
原告が原告の子(○○▲▲)の親権者ではあるが
監護をしていない点、
民法第820の規定内容は認めるも、その余は否認ないし争う。
原告は、親権者であるものの、子の監護者指定調停事件において、母親を監護者とする調停が成立していることから、例外的に、子の身上監護権を有しておらず、身上監護権は母親が有しているものである。
(5)同⑤の記載は否認ないし争う。
本件は、本件公開条例第10条第1項第2号ただし書ウに該当する場面ではないため、原告の主張は失当である。
(6)同⑥の記載は、
「情報の部分開示決定通知書決定書(甲第2号証)においては、適用条文を含んだ2行を理由としていること」、
「平成27年3月31日棄却決定において、答申を尊重して審議を行った旨の記載があること」、
「原告は、質問内容とその質問についての添付資料に対する情報公開を行っており、現在、処分行政庁によって実質的に非開示とされ、現在、異議申し立て中であること」
は認め、その余は原告の意見に過ぎないため、認否を留保する。
(7)同⑦の記載のうち、第1段落は認め、その余は否認ないし争う。
否認の理由は、
後述・第2のとおりであるが、原告は親権者ではあるものの、
監護権を有していないものである。
(8)同⑧の記載のうち、
第1段落は認め、
第2段落以降は、本件において、
原告の子につき、生命、健康等が客観的に危険にさらされている状況が存在しているとは認められないことから、認否を留保する。
(9)同⑨の記載は、
原告が監護権を有する保護者である点
につき否認し、その余は認める。
(10)同⑩の記載は、
「本件異議申し立ては、本件公開請求についてのものであり、
非監護親の法定代理人の地位は、本件公開請求とは無関係の話である」点は認め、
田川市情報公開・個人情報審議会の答申に至る経緯については不知。
(11)同⑪記載は、原告主張の真意が不明ではあるが、
「実施機関が条例第10条第1項第2号本文に該当するとして非開示とした情報は、いずれも同条第1項第2号本文に該当すると判断されること」、
「条例第10条第1項第2号本文同号のただし書ウの例外規定に該当するか否かが本件における争点の一つであること」
の限度で認める。
(12)同⑫の記載は争う。
5 請求原因5(平成27年4月23日付け非開示決定処分の違法)記載の事実は、
原告の開示請求が棄却されている限度で認め、
その余は否認ないし争う。
なお、原告は、監護権を有しないものの親権者ではあるが、
共同親権共同行使の原則(民法第818条3項本文)により、
共同行使が原則である。
勿論のこと、
単独名義で代理行為を行った場合においても、
過去の裁判例(最判昭和32年7月5日判決)によって、
他方の同意があれば有効な代理行為になるものと解釈されるが、
本件では、監護権者である原告の妻の同意は存在しないものであり、
共同行使の原則に反し、無効なものである。
6 請求原因6(まとめ)は争う。
第2 被告の主張。
1 本件争点について。
本件は、処分行政庁が原告に対して行った平成26年10月30日付け部分開示決定等につき、
原告が当該行政処分の取り消し等を求める行政訴訟であるが、
原告は、処分行政庁の部分開示決定に対して、
①本件公開条例第10条1項2号ただし書ウに該当する、
②原告は子を監護はしていないものの親権者であり、
子の監護権を有しているのであるから、
「子の生命、健康、生活又は財産を保護するため」
に本件対象情報が必要であり、
本件公開条例第10条1項2号ただし書
を適用せず、
一部非開示とした決定
は、本件公開条例第10条1項の解釈を誤ったものである等と主張している。
これらの原告主張は、
②において、
「子の生命、健康、生活又は財産を保護するため」
という本件公開条例第10条1項2号ただし書ウの文言が引用されており、
実質的には重なり合っているものと評価できることから、
端的に言えば、本件の主な争点は、
本件における本件公開条例第10条1項2号ただし書ウの該当性に尽き、
原告の監護権の有無は、付随的な争点に過ぎない。
そこで、以下においては、これら2つの争点につき、被告の主張を展開する。
2 本件における本件公開条例第10条1項2号ただし書ウの該当性。
本件公開条例第10条1項2号は、
「個人に関する情報であって特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」
につき、非開示とすることを規定しているところ、
原告も、本件公開対象情報が同号に該当することについては、自認している(訴状・7頁)。
そこで、本件においては、非開示の例外である同号ただし書ウに該当するか否かが問題となるところ、
田川市情報公開条例解釈運用基準(乙1)によれば、
「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要と認められる」
場合とは、
大自然災害等による危険及び犯罪等による危険から保護するために必要が生じた場合や、
本人から収集する時間的余裕がなく、かつ、個人の利益保護のためであること
が客観的に認められる場合をいう。
しかしながら、本件において、そのような場合が存在するとは認められないことから、
本件は、同号ただし書ウに該当するものではなく、
非開示とした処分行政庁の判断は正当なものである。
なお、原告は、平成27年10月17日付け上申書・1において、
「娘が監護親による児童虐待の被害を訴えている様子や監護親の元に帰りたくないと訴えている姿をビデオ動画で見せたり、音声を再生した」
旨を主張するようであるが、
児童虐待の事実を示すような診断書等の客観的資料は何ら提出されておらず、
原告の当該主張は、客観的な裏付けを欠く不合理なものに過ぎない。
3 原告の監護権の有無。
この点につき、原告は、
①日常の監護者を原告の配偶者とすることに合意したに過ぎないこと、
②民法では婚姻中は共同親権と規定されており、監護権は親権の一部であること、
③監護権の放棄などは法制度上あり得ないこと、
④放棄しているとすれば、離婚の際に決める必要はないし、争うこともできないはずである
ことを根拠として、依然として原告は監護権者であると主張するようである。
しかしながら、いずれも説得的な理由とは認められず、原告の主張は失当である。
まず、原告は、
平成26年2月3日付けで成立した子の監護者を原告の配偶者とした調停につき、
日常の監護者を原告の配偶者とすることに合意したに過ぎないことを強弁するが、
そのように解釈されるべき根拠は不明である。
この点、当該調停条項において、原告が主張するような内容が記載されているのであれば、
原告の主張にも理由が存在するであろうが、
本件訴訟においては当該調停調書も未提出であるため、判然としない。
そこで、被告は、原告に対して、当該調停調書を証拠として提出するよう、釈明を求める。
次に、原告は、民法では婚姻中は共同親権と規定されており、監護権は親権の一部であることを理由として指摘している。
確かに、民法第766条は、
「父母が協議上の離婚をするときは」と規定し、
父母の婚姻中は共同親権が原則であるが、夫婦が事実上の離婚状態にある場合には、
子の福祉のために、民法766条を類推適用して家事審判の対象となし得ることが
過去の裁判例(乙2)においても明らかである。
しかも、本件では、平成26年2月3日付けで原告と原告の配偶者との間で、
子の監護者を原告の配偶者とする調停が成立しているのであるから、
子の監護権は原告の配偶者が取得しており、
例外的に親権と監護権者が分離されている場合であることは明らかであり、
そのこと自体を原告が自らの意思により認容したものである。
なお、講学上、
親権は、身上監護権と財産管理権に分類されることから(乙3)、
現時点において、原告は財産管理権のみを有しているものである
(勿論のこと、共同行使が原則である)。
さらに、原告は、「監護権の放棄などは法制度上あり得ない」とも主張するが、
前述のとおり、
民法766条の類推適用により、離婚前における監護権者指定の審判が認められており、
しかも、原告自らが、監護権者指定の調停に応じているのであるから、
原告の主張には理由のないものである。
最後に、離婚前において監護権者の指定を行った場合であっても、
離婚に際して、
再度、監護権者をいずれにするかの協議、調停、審判はあり得るものであるから、
「放棄しているとすれば、離婚の際に決める必要はないし、争うこともできないはずである」旨の原告主張は説得的なものではない
(勿論のこと、何らかの事情変更が認められない場合には、従前と同様な結論となることが多いであろうが)。
4 結語
以上から明らかなとおり、
本件は、同号ただし書ウに該当するものではなく、
非開示とした処分行政庁の判断は正当なものである上に、
平成26年2月3日付けで原告と原告の配偶者との間で、子の監護者を原告の配偶者とする調停が成立している以上、子の監護権は原告の配偶者が取得しており、
例外的に親権と監護権者が分離されている場合であるから、原告の本件請求には理由がなく、速やかに原告の請求は棄却されるべきものである。
証拠方法
1 乙第1号証 田川市情報公開条例解釈運用基準
2 乙第2号証 大阪高裁昭和46年4月12日決定
3 乙第3号証 民法IV 親族・相続 内田貴著 210~213頁
添付書類
乙号証写し各1通
以 上
やっと相手方の言い分が分かりました。
反省のかけらもなく、
ツッコミどころ満載という感じです。
これから、20日程度で文書にまとめないといけません。
みなさんもツッコミどころがあったらツッコんでやってください。
参考にさせていただきます。
裁判官は、私の方に特に反論が無ければ、判決へって感じでした。
本人訴訟と思ってかなり甘く見てるんだろうな。
こっちは反論したいことがありすぎて、大変です。
少しも「認める」ことができそうにない(笑)。
**********:
平成27年(行ウ)第49号 公文書不開示処分取消等請求事件
原告 ○○ □□
被告 田川市
第1準備書面
平成28年1月14日
福岡地方裁判所第1民事部合議A係 御中
〒******
○○市○○**************【送達場所】
TEL***********
FAX***********
被告訴訟代理人
弁護士 ○○ ○○
同 ○○ ○○
同 ○○ ○○
第1 請求の原因
(原告の平成27年10月17日付け訴状訂正申立書による訂正を前提とする。)
に対する認否・反論
1 請求原因1(当事者)記載の事実は認める。
2 請求原因2(経過)記載の事実は認める。
3 請求原因3(本件公開対象情報についての公文書)記載の事実は認める。
4 請求原因4
(平成26年10月30日付け・・・棄却決定処分の違法)
記載の事実について。
(1)同①は認める。
(2)同②の記載は、
「本件対象情報は、原告の子(○○▲▲)の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報であ
る」
につき否認し、
その余は認める。
(3)同③の記載は、
第1段落及び第2段落は認め、
第3段落については、
処分行政庁は、何ら恣意的な運用や自由裁量に基づいて一部非開示や非開示を決定した訳ではないので、争う。
(4)同④の記載は、
原告が原告の子(○○▲▲)の親権者ではあるが
監護をしていない点、
民法第820の規定内容は認めるも、その余は否認ないし争う。
原告は、親権者であるものの、子の監護者指定調停事件において、母親を監護者とする調停が成立していることから、例外的に、子の身上監護権を有しておらず、身上監護権は母親が有しているものである。
(5)同⑤の記載は否認ないし争う。
本件は、本件公開条例第10条第1項第2号ただし書ウに該当する場面ではないため、原告の主張は失当である。
(6)同⑥の記載は、
「情報の部分開示決定通知書決定書(甲第2号証)においては、適用条文を含んだ2行を理由としていること」、
「平成27年3月31日棄却決定において、答申を尊重して審議を行った旨の記載があること」、
「原告は、質問内容とその質問についての添付資料に対する情報公開を行っており、現在、処分行政庁によって実質的に非開示とされ、現在、異議申し立て中であること」
は認め、その余は原告の意見に過ぎないため、認否を留保する。
(7)同⑦の記載のうち、第1段落は認め、その余は否認ないし争う。
否認の理由は、
後述・第2のとおりであるが、原告は親権者ではあるものの、
監護権を有していないものである。
(8)同⑧の記載のうち、
第1段落は認め、
第2段落以降は、本件において、
原告の子につき、生命、健康等が客観的に危険にさらされている状況が存在しているとは認められないことから、認否を留保する。
(9)同⑨の記載は、
原告が監護権を有する保護者である点
につき否認し、その余は認める。
(10)同⑩の記載は、
「本件異議申し立ては、本件公開請求についてのものであり、
非監護親の法定代理人の地位は、本件公開請求とは無関係の話である」点は認め、
田川市情報公開・個人情報審議会の答申に至る経緯については不知。
(11)同⑪記載は、原告主張の真意が不明ではあるが、
「実施機関が条例第10条第1項第2号本文に該当するとして非開示とした情報は、いずれも同条第1項第2号本文に該当すると判断されること」、
「条例第10条第1項第2号本文同号のただし書ウの例外規定に該当するか否かが本件における争点の一つであること」
の限度で認める。
(12)同⑫の記載は争う。
5 請求原因5(平成27年4月23日付け非開示決定処分の違法)記載の事実は、
原告の開示請求が棄却されている限度で認め、
その余は否認ないし争う。
なお、原告は、監護権を有しないものの親権者ではあるが、
共同親権共同行使の原則(民法第818条3項本文)により、
共同行使が原則である。
勿論のこと、
単独名義で代理行為を行った場合においても、
過去の裁判例(最判昭和32年7月5日判決)によって、
他方の同意があれば有効な代理行為になるものと解釈されるが、
本件では、監護権者である原告の妻の同意は存在しないものであり、
共同行使の原則に反し、無効なものである。
6 請求原因6(まとめ)は争う。
第2 被告の主張。
1 本件争点について。
本件は、処分行政庁が原告に対して行った平成26年10月30日付け部分開示決定等につき、
原告が当該行政処分の取り消し等を求める行政訴訟であるが、
原告は、処分行政庁の部分開示決定に対して、
①本件公開条例第10条1項2号ただし書ウに該当する、
②原告は子を監護はしていないものの親権者であり、
子の監護権を有しているのであるから、
「子の生命、健康、生活又は財産を保護するため」
に本件対象情報が必要であり、
本件公開条例第10条1項2号ただし書
を適用せず、
一部非開示とした決定
は、本件公開条例第10条1項の解釈を誤ったものである等と主張している。
これらの原告主張は、
②において、
「子の生命、健康、生活又は財産を保護するため」
という本件公開条例第10条1項2号ただし書ウの文言が引用されており、
実質的には重なり合っているものと評価できることから、
端的に言えば、本件の主な争点は、
本件における本件公開条例第10条1項2号ただし書ウの該当性に尽き、
原告の監護権の有無は、付随的な争点に過ぎない。
そこで、以下においては、これら2つの争点につき、被告の主張を展開する。
2 本件における本件公開条例第10条1項2号ただし書ウの該当性。
本件公開条例第10条1項2号は、
「個人に関する情報であって特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」
につき、非開示とすることを規定しているところ、
原告も、本件公開対象情報が同号に該当することについては、自認している(訴状・7頁)。
そこで、本件においては、非開示の例外である同号ただし書ウに該当するか否かが問題となるところ、
田川市情報公開条例解釈運用基準(乙1)によれば、
「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要と認められる」
場合とは、
大自然災害等による危険及び犯罪等による危険から保護するために必要が生じた場合や、
本人から収集する時間的余裕がなく、かつ、個人の利益保護のためであること
が客観的に認められる場合をいう。
しかしながら、本件において、そのような場合が存在するとは認められないことから、
本件は、同号ただし書ウに該当するものではなく、
非開示とした処分行政庁の判断は正当なものである。
なお、原告は、平成27年10月17日付け上申書・1において、
「娘が監護親による児童虐待の被害を訴えている様子や監護親の元に帰りたくないと訴えている姿をビデオ動画で見せたり、音声を再生した」
旨を主張するようであるが、
児童虐待の事実を示すような診断書等の客観的資料は何ら提出されておらず、
原告の当該主張は、客観的な裏付けを欠く不合理なものに過ぎない。
3 原告の監護権の有無。
この点につき、原告は、
①日常の監護者を原告の配偶者とすることに合意したに過ぎないこと、
②民法では婚姻中は共同親権と規定されており、監護権は親権の一部であること、
③監護権の放棄などは法制度上あり得ないこと、
④放棄しているとすれば、離婚の際に決める必要はないし、争うこともできないはずである
ことを根拠として、依然として原告は監護権者であると主張するようである。
しかしながら、いずれも説得的な理由とは認められず、原告の主張は失当である。
まず、原告は、
平成26年2月3日付けで成立した子の監護者を原告の配偶者とした調停につき、
日常の監護者を原告の配偶者とすることに合意したに過ぎないことを強弁するが、
そのように解釈されるべき根拠は不明である。
この点、当該調停条項において、原告が主張するような内容が記載されているのであれば、
原告の主張にも理由が存在するであろうが、
本件訴訟においては当該調停調書も未提出であるため、判然としない。
そこで、被告は、原告に対して、当該調停調書を証拠として提出するよう、釈明を求める。
次に、原告は、民法では婚姻中は共同親権と規定されており、監護権は親権の一部であることを理由として指摘している。
確かに、民法第766条は、
「父母が協議上の離婚をするときは」と規定し、
父母の婚姻中は共同親権が原則であるが、夫婦が事実上の離婚状態にある場合には、
子の福祉のために、民法766条を類推適用して家事審判の対象となし得ることが
過去の裁判例(乙2)においても明らかである。
しかも、本件では、平成26年2月3日付けで原告と原告の配偶者との間で、
子の監護者を原告の配偶者とする調停が成立しているのであるから、
子の監護権は原告の配偶者が取得しており、
例外的に親権と監護権者が分離されている場合であることは明らかであり、
そのこと自体を原告が自らの意思により認容したものである。
なお、講学上、
親権は、身上監護権と財産管理権に分類されることから(乙3)、
現時点において、原告は財産管理権のみを有しているものである
(勿論のこと、共同行使が原則である)。
さらに、原告は、「監護権の放棄などは法制度上あり得ない」とも主張するが、
前述のとおり、
民法766条の類推適用により、離婚前における監護権者指定の審判が認められており、
しかも、原告自らが、監護権者指定の調停に応じているのであるから、
原告の主張には理由のないものである。
最後に、離婚前において監護権者の指定を行った場合であっても、
離婚に際して、
再度、監護権者をいずれにするかの協議、調停、審判はあり得るものであるから、
「放棄しているとすれば、離婚の際に決める必要はないし、争うこともできないはずである」旨の原告主張は説得的なものではない
(勿論のこと、何らかの事情変更が認められない場合には、従前と同様な結論となることが多いであろうが)。
4 結語
以上から明らかなとおり、
本件は、同号ただし書ウに該当するものではなく、
非開示とした処分行政庁の判断は正当なものである上に、
平成26年2月3日付けで原告と原告の配偶者との間で、子の監護者を原告の配偶者とする調停が成立している以上、子の監護権は原告の配偶者が取得しており、
例外的に親権と監護権者が分離されている場合であるから、原告の本件請求には理由がなく、速やかに原告の請求は棄却されるべきものである。
証拠方法
1 乙第1号証 田川市情報公開条例解釈運用基準
2 乙第2号証 大阪高裁昭和46年4月12日決定
3 乙第3号証 民法IV 親族・相続 内田貴著 210~213頁
添付書類
乙号証写し各1通
以 上