読んでみた「裁判の秘密」著 弁護士山口宏 評論家副島隆彦。
裁判の秘密/洋泉社
¥1,944
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軽妙な語り口で、裁判所での実務が非常にわかりやすく書かれている。
素人でも読みやすい。おすすめ。
1997年初版
平成9年

18年前の本なので、現在とは異なる部分もあるが、
基本は変わっていないから、現在でも十分通用する。

ちなみに、下の新版は読んでないのだが、新版だし、安いから、
読むなら、こっちの方がいいかも。
新版 裁判の秘密 (宝島SUGOI文庫)/宝島社
¥514
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いくつか気になった点を挙げると


司法試験合格者に対して行う司法研修所での研修のなかで、
証拠に基づかない犯罪認定の指導がなされていることに触れてある。(81ページ)

事実認定や証拠は適当でよく、
このパターンであれば、この罪というのが決まっているのだ。
つまり、自由心証主義などというものはない。

最高裁によって答えはあらかじめ決まっているのだ。
まあ、答えがバラバラだと、
控訴も上告もして最後まで争わないと、
どうなるかわかんないからね。
そんなことされたら、忙しくてかなわないから、
1審の判断をあまり変えないように統制しているのだろう。

この本では別の罪のことを記載しているが、
私の頭に浮かんだのは、痴漢冤罪だ。
大した証拠もなく痴漢認定されるのは、
最高裁がそういう統制をしているからだろう。
証拠もないのに犯罪を認定するって言うのは、
裁判官にしてみたら、間違ってた場合のリスクが高すぎる。
冤罪を怖がらずに犯罪と認定できるのは、
最高裁の後ろ盾があってこそだ。

なぜ冤罪事件を発生させてまで痴漢を認定するかと言えば、
社会秩序を守るため。
痴漢しても証拠がなければ捕まらないとなれば、
痴漢する人は間違いなく増加する。
国としてはそれでは困る。
だから、とにかく痴漢を捕まえることで社会秩序を維持する。
社会秩序を維持するにあたって、大事なのは痴漢を捕まえたという事実である。
国にとってその痴漢が冤罪かどうかは関係ない。


この本では、
冤罪事件は、交通事故のようなものと割り切っている。(94ページ、203ページ、221ページ)
交通事故の死亡者の命を救うために、車社会を止めますか?
止めないでしょう。
冤罪があったからと言ってなんですか。
じゃあ、裁判制度を止めますか?
って感じ。
まあ、一理ある。



裁判官は、世間の動向を気にしている。(213ページ)

「子の福祉のために、面会交流させろ」
といっても、裁判所には通用しないだろう。
世論という圧力をかけるのが一番だ。
「面会交流させるのが当たり前!」
という世論を作ってこそ、裁判所はそれに従う。

現状維持の原則と同じことなのだが、
裁判所は、権威がすべての機関だ。
裁判所の言うことを聞いてくれなかったら、
裁判所の権威は失墜する。
だから、現状維持とするわけだ。
すでに、合法状態は実現されてるから、強制執行は不要となる。
じゃあ、強制執行すればいいじゃんとなるが、
お金がなく、また、真面目に働く気もない人にとっては、
お金を払えと言う間接強制なんて痛くもかゆくもない。
そして、直接強制は、執行人が嫌がるだろう。
だって、恨みを買うでしょ。
裁判所がそうしろと言ってるのに、従わない異常な人たちが
相手だよ。
ふつうに、刺されたりするんじゃないかな。
割に合わないと思うよ。

結局、法に基づいて裁判してない裁判官たちに、
法律を説いても意味がないということかな。
じゃあ、どんな手があるかというと、
①面会交流調停申立件数アップのキャンペーンをする。
②マスコミを使って世論を形成する。
③「児童の権利に関する委員会」とか
「国連の自由権規約委員会」とかに勧告してもらう。
こんなかんじかな~。

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