読んでみた「シングルマザー非婚の母志願」著 水上洋子。
平成8年初版。
約20年前の本だ。
非婚の母(シングルマザー)志願/角川書店
¥1,258
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子供の連れ去りとは関係ない。
しかし、子供の連れ去り問題に関する法改正の手順の参考にはなるだろう。

この本で触れているのは、
婚外子の相続分が、嫡出子の半分しかないという問題だ。
つまり、
浮気相手の子供は、正妻の子供の半分しか相続できないって話ね。
これだけなら、まだ、わからないこともないが、
浮気でも何でもない場合でも、婚姻の有無によって差別される。
たとえば、婚姻中に生まれた子供Aがいるとして、離婚後に、未婚で生まれた子供Bがいる場合、
Bは、Aの半分しか相続できない。
婚外子だからだ。

この本によれば、
これはおかしいということで、
初めての裁判が、1990年に申し立てられた。(70ページ)。
その後も、訴えが申し立てられ続け、
結果として、2013年に、最高裁が違憲判決を下し、法律は改正された。
その間じつに、23年!。
気が遠くなるけど、生きてるうちに何とかできる期間ではある。
もちろん、我が子については間に合わないが、
せめて、孫たちにつらい思いはさせたくない。
すこしでも、改正までの期間を短くできれば本望である。
1990年と言えば、まだ、ウインドウズ95もでていないころ。
つまり、ネット環境もない時代から23年ということであれば、
ネット環境が整って、組織活動もしやすい現代であれば、もっと短い期間で改正できるであろう。

なお、この違憲判決の裁判要旨 では、
「民法900条4号ただし書前段の規定は,
遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。」

おいおい。よく平気でそういうことを言えるな。
申立人がいなかったから、違憲判断する機会がなかったとでもいうつもりか?
その感性がすごい。
「今まで言う機会がなかったけど、10年以上前から違憲状態だったよ」って?
いったい、何人の婚外子が泣かされてきたことか・・・。

この本では、婚外子差別改正までの軌跡のうち平成8年までを記録してあるので、
参考になる。

特に気になるのは、
国連規約人権委員会に、1992年7月に婚外子問題のレポートを提出し、
翌1993年11月に、国連規約人権委員会が、婚外子差別を廃止するようにとの勧告をしたことだ。

ハーグ条約もそうだが、
やはり外圧は、必要なのだろう。
とはいえ、それから改正まで、20年かかっていることを思えば、
黒船来襲というほどの効果はないが、まあ、改正に必要な手順と思われる。

なお、弁護士会の会長によれば、
婚外子の法定相続分についての民法改正に関する会長声明
とのことである。
国連規約人権委員会はなくなって、今は、
国連の自由権規約委員会に勧告してもらうのがいいようだ。