インターネット上では、「アメリカは民主党政権のときに戦争を起こしやすい」「戦争の背後にはディープステートがいる」といった噂や都市伝説が根強く語られています。特に近年、トランプ前大統領が「戦争をしなかった大統領」として評価される文脈で、こうした話題が再燃しています。
この記事では、実際の歴史的事実と都市伝説の違いを明確にしながら、「アメリカは本当に民主党政権の時に戦争をしているのか?」という問いにデータと事例をもとに答えていきます。
■ アメリカの戦争は民主党が多い?歴代大統領と主な戦争の一覧
第二次世界大戦以降、アメリカが関与した主要な戦争と、それぞれの時期の大統領(政党)を以下に整理します。
| 戦争 | 年代 | 大統領(政党) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 朝鮮戦争 | 1950–1953 | ハリー・S・トルーマン(民主党)、アイゼンハワー(共和党) | 開戦は民主党政権 |
| ベトナム戦争(本格化) | 1965–1975 | リンドン・B・ジョンソン(民主党)、リチャード・ニクソン(共和党) | ジョンソンが増派 |
| 湾岸戦争 | 1991 | ジョージ・H・W・ブッシュ(共和党) | 共和党政権で開戦 |
| アフガニスタン戦争 | 2001–2021 | ジョージ・W・ブッシュ(共和党)〜バイデン(民主党) | ブッシュが開戦、バイデンが撤退 |
| イラク戦争 | 2003–2011 | ジョージ・W・ブッシュ(共和党)、オバマ(民主党) | ブッシュ政権下で開戦 |
| シリア・リビア空爆など | 2011前後 | バラク・オバマ(民主党) | 軍事介入だが大規模戦争ではない |
このように、確かに朝鮮戦争やベトナム戦争は民主党政権で始まりましたが、湾岸戦争やイラク・アフガニスタン戦争は共和党政権で始まっています。
つまり、「民主党政権=戦争好き」という説は、一部の戦争をピックアップしたバイアスのかかった見方だといえます。
■ 都市伝説:「ディープステートが戦争を進めている」の真相
「ディープステート(Deep State)」とは、政府内部に存在する見えない権力構造(軍、諜報機関、財界など)が、選挙で選ばれた大統領に関係なく政策を操作しているという考え方です。
この概念は、反グローバリズムや反エリート思想と結びつき、特に陰謀論としてインターネット上で広まりました。しかし、実際のところ、ディープステートの存在を裏付ける明確な証拠はなく、アメリカの官僚制を陰謀的に解釈した言説に過ぎません。
たとえばQアノンなどの運動では、「戦争はディープステートによる資金源だ」といった主張がなされましたが、これはあくまで推測とプロパガンダ的な要素を含んでいます。
■ トランプ大統領は「戦争をしなかった」平和主義者なのか?
2020年以降、「トランプ大統領は戦争をしなかった稀有な大統領」と語られることがあります。これは部分的には事実です。彼の任期中、新たな大規模戦争を開始することはありませんでした。
ただし、
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イランのソレイマニ司令官の暗殺(2020)
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シリアへのミサイル攻撃(2017・2018)
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北朝鮮との緊張(ただし会談には前進)
といった軍事行動や緊張の高まりはたびたび見られました。つまり、「全面戦争を避けた」という点では評価できますが、「まったく戦争的な行為を行わなかった」わけではありません。
■ 結論:戦争と政権、そして陰謀論は慎重に切り分けるべき
| 視点 | よくある主張 | 実際の事実 |
|---|---|---|
| 民主党は戦争を起こしやすい? | ベトナムや朝鮮戦争がある | 共和党も多数の戦争を始めている |
| ディープステートが戦争を操っている? | 陰謀論として広まる | 証拠は不十分、政治的プロパガンダの可能性 |
| トランプは平和主義者か? | 新しい戦争を始めなかった | 軍事行動は実施していた |
SNSやYouTubeなどでは、こうした話題がセンセーショナルに語られることが多く、事実と解釈が混同されがちです。冷静にデータと歴史を見れば、アメリカの戦争は単に政党の違いだけで説明できるものではありません。

