『リーダーシップコミュニケーション』ロバート・メイ　アラン・エイカーソン　ダイヤモンド社を読んだ。

あわせて、沼上幹さんの『組織戦略の考え方』、太田肇さんの『ホンネで動かす組織論』ちくま新書を読んだ。

『リーダーシップ論』は、様々な社会経済活動を対象とする経営学の中でも、存在感のある分野だ。人間という動物は、必ず群れのなかで生きてきた動物。一人だけでは生きていけない以上、組織の論理、組織を率いる論理、組織の中で生きる論理の中でもがかなくてはいけない。

『リーダーシップ論』は、その組織を率いる側の人物にスポットが当たったり、率いられる側の心理や組織構造も語られることがある。特に歴史上の偉人を引き合いに出し、その人の持つカリスマ性や、組織の中にある権限がそのリーダーシップの源泉になっているといった論が基本的な経営学の中で習うところだ。

しかし、それでは、偉人や、名経営者でない私たちには、リーダーシップとは無縁で無理なものではないか。と、思ってしまうのだが、『リーダーシップ・コミュニケーション』は、そのリーダーシップの源泉をコミュニケーションの方法に求めるもので、誰にでもできるといっているところに新鮮味があった。

内容は、いろんなコミュニケーションイベントを社内で行い、組織として、会社として成果を上げていった例を、9つのコミュニケーション手法に分類して説明している。沢山の事例があるのだが、実は著者2人がそういったコミュニケーションに関するコンサルティングを行う会社の出身で、そこで実際に行ったコンサルティングの成果が書かれているようだ。ある意味宣伝書なのだ。ただ肝心なのは、コミュニケーション能力が高いという個人の特質でなく、誰にでもできる手法として、コミュニケーションの場所、場面、出会い、対話の深化を通して、組織の人々のベクトルをあわせようという考えに貫かれている。

リーダーは、コミュニケーションのシーンを組織内にどんどん創出し、人々が理解を深めることで、リーダーシップを発揮できる。と、とても聞き心地のいいのが、この本だったが、日本の組織、とくに最近の会社組織には、複雑な問題があるようで、あわせて読んだ『組織戦略の考え方』『ホンネで動かす組織論』は、少しくらい気分になった。

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