農援団長日記
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啓蟄

3月。春めいて来ました。寒の戻りが心配ですが、今日はお日様がポカポカです。
2013年は、今日が啓蟄(けいちつ)。冬の寒さでこもっていた虫たちが、地上に出てくる頃を指しています。生産現場にとっては、虫が動き出すとなると嬉しいやら、気が気でないやらと複雑な思いに駆られます。3月から4月にかけて、ハウスなどの施設栽培は別として、露地の畑では端境期(はざかいき)に入ります。簡単に言うと、冬作から春、夏作への切り替えどきとなります。冬作が終わり、片づけをして、もう一度畑を作り直す期間といっても良いでしょう。一般的に夏野菜のトマト、キュウリ、ナス、ピーマンなどもこの時期に種を蒔き、準備を始めなければなりません。当たり前のことですが、野菜は種を蒔いてすぐに収穫できるものではありませんので、収穫時期から常に逆算して作業を行わなければなりません。露地野菜が端境期に入る一方で、春は、山菜が豊富になる季節でもあります。フキノトウやタラノメ、わらび、ウドなどが旬ですね。独特の苦みや香りがあり、嫌いな方もいると思いますが、芽吹きの苦みは主に、ポリフェノールが主成分で、抗酸化作用に優れてきます。一年を通じて、いろいろな野菜を口にできる様になりましたが、春は春なりのものを食べることには意味があると考えています。人の体も、冬から夏へ向けてホルモンのバランスが崩れ、体調管理が必要な時期です。
抗酸化作用に優れ、生命力に溢れる芽吹きの山菜を口にすることは、栄養的にも理に適っていると思います。食卓でも春の訪れを楽しんでみてはいかがでしょうか?



マダニのSFTS

発症すれば致死率10%以上で、今のところワクチンもないマダニ媒介の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」ウイルスによる国内での死亡例が確認されていますね。季節は、もうすぐ春。屋外にでる機会が多くなるので要注意です。
そんなウイルスが話題となっている一方で、実は私たちのメンバーの畑でも「緑斑モザイクウイルス」なるもが発生しました。
緑斑モザイウクウイルスとは、ウリ科の植物に発生し、キュウリの新葉に初め黄色の小斑点ができ、次第に明瞭なモザイク状の斑紋になります。特に、緑色部が濃緑になり、隆起してこぶ状になります。果実にも明瞭なモザイクを生じ、緑色部がこぶ状になって奇形化してしまいます。

$農援団長日記-緑斑モザイクウイルス

今のところ、発生の原因は、詳しくわかっていません。
但し、樹液で感染するので、収穫時に使用するハサミなどで樹から樹へ感染していきます。また、感染したキュウリの根っこが土中に残っている状態で、次にまたウリ科の作物を植えると感染します。

対策としては、臭化メチルを土壌に施用するのが一番良いそうなのですが、オゾン層を破壊する物質として扱われているために、規制がかかり使用できない状態にあります。

そこで、現状はきゅうりの根っこを土からできる限り取り除いて、残ってしまった場合には充分に土中で分解を進ませることだそうです。概ね、3か月間あれば残根は分解されると聞いています。土中の有機物の分解は、気温が高い方が進みますので、夏場に休耕したいところではあります。しかしながら、「経営」を鑑みたとき、そうそう長い期間休ませるわけにはいきません。そこで、ウリ科ではない植物、今回はトマトを植えることになったのですが、それでもトマトが終わったあとは、出来ればきゅうりを植えたいと考えていますので、少し不安が残ります。

この件に関しては、お世話になっている肥料会社をはじめ千葉県の農林総合研究センター、病理昆虫研究室、農業事務所などと連携して処理をする方向となりました。何せ、ここ数年間、関東では発生例がなく、その処理もやっかいなウイルスだからです。

いずれにしても、出てしまったものは仕方がないので、対処するしか無いわけですが、「土づくり」の大切さを思い知らされました。もちろん、うちのメンバーが疎かにしていたわけではないのですが、やっぱり奥が深い。この件に関しては、土中のきゅうりの残根をいかに素早く、完全に分解させていくことがテーマ。

やはり、土が肝要なのだ。





アベノミクスの行方!

雪が降ったり、風が強かったりと寒い日が続きます。畑では、相変わらずの生育具合ですきっとしません。皆様いかがおすごしですか?まだまだ温かい鍋物が、我が家の食卓に上ります。お体ご自愛くださいませ。
 さて、アベノミクスなる経済効果で株価が上昇しております。円も安くなり、輸出企業などにとっては正に追い風となっています。これで長く続くデフレからの脱却や低迷する景気も少し上向けば良いのにと思っている毎日です。しかしながら、私たち農家にとっては、円が安くなると少々困ること!?も多くなるのが現実です。鶏の飼料、畑の肥料、ハウスのビニールや暖房の重油代などがじわじわと価格を上げてきおります。例えば、ハウスできゅうりやトマトの栽培に使用する暖房器の重油を考えると、10年前は、1リットル40円弱で購入できたものが、現在、千葉旭の平成25年2月で88円となっています。もちろん、原油そのものが高くなっていることが値上がりの大きな原因なのですが、細かく見てみると、平成24年12月までが78円/ℓ、平成25年1月84円/ℓと円安が進むにつれて値上がってきているのがわかります。これで、また3月位に値上がりがありそうな気配なので、どんどん生産コストは上がっていくわけです。
その分、販売の方で価格に反映できれば良いのですが、ただでさえ、不作気味で全国的に野菜が高騰しているのに加えて「更に・・・」とは考えにくいです。重油はほんの一例であり、農業資材の原料がほとんど輸入に頼るために全般的に値上がりするのは必至。こと、畜産においては顕著。畜産の飼料は、四半期に一度、飼料の価格が改定されます。米国やオーストラリアなどの穀物輸出国が不作であり、円が安い場合はひとたまりもありません。ここを担保するために、飼料は安定基金といった高い時にその値上がり分を補てんする保険の様なものがあるのですが、これも昨今の飼料高騰で基金の原資が底をついている状態です。このことから、景気が良くなることは○でも、それが国民の生活へ浸透しなければ、私たちの農業分野は苦しむばかりです。TPPなどの問題はさておいても、消費が活発になり、各家庭が「やっぱり国産のもの」を買える仕組みができて初めて、アベノミクスが本当に成功したと私たちは考えます。何せ、不況下で一番最初に削られるのは、いつの時代も「食費」だからです。
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