カブ | 20年以上の倉庫現場経験者が伝える仕事術

20年以上の倉庫現場経験者が伝える仕事術

20年以上の倉庫でフォークリフトを使っての仕事経験を活かした現場で培ってきた仕事術をお伝えします。

どれだけの人が知っているか判らないが、スーパーカブの発案者は、藤澤 武夫氏である。

宗一郎氏は、スピード重視、馬力重視、安全重視と言うのは、誰もが認める事だろう。

これは、顧客層を限定してしまう可能性がおおいにある。


経営を預かる藤澤氏としては、そんな限定の顧客層だけを相手にしていては、経営が成り立たない事は判っていたからこそ、顧客層の幅を広げるためにも50ccの小型バイクが欲しかった。


昭和31年に宗一郎氏と藤澤氏は、ドイツ・イタリア旅行に行っている。

この時の飛行機などの移動時間に藤澤氏は、


「社長、ドイツのクライドラーやイタリアのランブレッタのモペットはおもしれえが、製品としてはいまいちだね。

第一使う人が不便だ。

しかし、改善して便利な乗り物にすれば、あの種のバイクは、日本でも売れると思うよ。

うちにもあんなバイクがあればなぁ・・・・。」


「いままでのような自転車に取り付けるようなものじゃ、もう駄目だ。

ボディぐるみのを考えてくれないか。

どうしても50ccだ。

底辺の広い、小さな商品を作ってくれ。

底辺の広がりが出来ない限りうちの将来はないよ。」


とは言え、そう言われて、素直に受け入れる宗一郎氏ではない。


「技術屋でないおめさんには判らないだろうが、おれにいわせりゃ、あんなのオートバイじゃないんだょ。

オートバイと言うのは、・・・・・」


と、宗一郎氏は、オートバイの講釈を話したが、それが終わると、藤澤氏は、再度、口説きにかかった。


「排気量は50cc、エンジンや配線を露出しないで、しかも、ボディーぐるみの小型オートバイなら、必ず売れるね。

日本にソバ屋が何件あるか知らないが、みんな買うね。

それを開発できるのは世界を見渡しても本田さん、あんたしかいないよ。」


などと、事あるごとに小型バイクの事を話題にしては、宗一郎氏を口説いている。


これほど熱心に藤澤氏から言われては、宗一郎氏も気にかけないわけにはいかない。

ドイツに着くと店頭に並んでいる当時有名なオートバイを見ながら、藤澤氏にどんなのがいいのか宗一郎氏が聞いても、どれも、藤澤氏が納得するものはなかった。


宗一郎氏が、藤澤氏にどう言うのがいいのかと聞くと、


「どういうのかと言われても、アタシにもわからん。

とにかく50ccでスタイルが良くて、女の人にも簡単に乗れるものが欲しい。

機械が外に出ていちゃダメだ。」


「機械が外に出ていてはダメだ。」と言う理由は、以前、藤澤氏の奥さんが、


「本田さん、私、気に入らない事が一つある。

あのニワトリの臓物のようなものは、どうにからなないの。」


と言った事が関係していると思う。

女性の感覚らかして、機械や配線が露出しているのは気になるようだ。

その事も含めて、あのスタイルが誕生したのだと思う。




記事の中で、本田技研広報部の方が


「発売の翌年、アメリカホンダを設立し、アメリカに進出しました。バイクの本場アメリカで成功することが大切だと考えたからです」


とコメントしているこれには、裏話的な事がある。


輸出するにあたり、市場調査の結果では、アメリカよりヨーロッパの方が有望だと出た。

実際、販売担当で調査にあたった川島喜八郎氏(二代目福社長)は、


「地理的な関係からみて、東南アジアを最優先するべきです。

欧州市場では、ホンダの知名度は高まっています。

しかし、市場は成熟期にさしかかっています。

アメリカに至っては、ホンダの知名度はゼロです。

誰も知りません。

知らない会社の製品をいったい誰が買いますか。

まず、東南アジアの市場を押さえ、次に欧州を開拓、アメリカは最後に回すべきだと思います。」


と進言している。


そのような進言も意に介さず、藤澤氏は、アメリカ進出を決めている。

それは、アメリカと言う大国が、当時の世界の消費経済を起こしていると確信していたからである。

アメリカでに需要を起こす事が出来れば、その商品には将来性がある。

アメリカで駄目な商品は、国際商品には成り得ない、と言う信念を強く持っていたからだと言う。


そんな思いからアメリカ進出を実行したが、商社を通して行うような、他人のふんどしで相撲を取るのではなく、現地法人を作る事が前提だったので、大蔵省にどうにか許可をもらう事ができ、昭和34年6月にロサンゼルスに現地法人アメリカホンダが設立したそうだ。



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