この言葉は、「戦争の本質」を言い表している。
世界には、2種類の人間がいる。
「戦争を始めることができるごく少数の人間」
と
「戦争に巻き込まれて、命や青春を、そして平和な生活を奪い取られるとても多くの人間たち」
とに。
言い換えるなら、
「国家中枢にいて、戦争開始という国策を決定できる人間たち」
と
「戦争のための資金(税金)を巻き上げられ、戦争に巻き込まれて、命を奪われ、労働力を奪われ、不幸な生活を強いられ、ボロボロになる大勢の一般大衆」
とに。
今も、日々戦争が行われている。
ウクライナで。
ガザ地区で。
そして、過去には、
中国で、東南アジアで、日本で。
ウクライナで、ガザ地区で、
誰が始めたのか?
誰もが答えることができるだろう。
プーチンが。
イスラエル首相ネタニヤフが。
ところが、日本人は、日本の戦争のことを知らない。
日本の戦争を、誰が始めたのか答えることができない。
そもそも、日本の戦争が、日米戦争だけだと思わされている。
日本の戦争は、明治維新からの77年間もの戦争と言える。
特に、満州事変から始まる15年戦争が、問題であり、重要である。
15年戦争とは、日中戦争であり、アジア太平洋戦争(大東亜戦争)であり、日米戦争である。
その15年戦争の中でも、盧溝橋事件後の日中戦争の開始こそが、第二次世界大戦を引き起こしたし、日米戦争、大東亜戦争を引き起こしたとも言える。
15年戦争や日中戦争を始めたのは、そして継続したのは、日本陸海軍のトップたちである。
しかし、彼らだけでは戦争を継続できない。
日中全面戦争や太平洋戦争へと拡大することもできない。
戦争するにも資金が要る。
その金はどこからでたのか。
国家予算である。
一般大衆から集めた税金である。
戦争が始まれば、国民からより多くの金が巻き上げることができた。
戦争すると、国民は増税で金を奪われる。
若者は兵士となり命を奪われる。
国民は平和な生活を奪われる。
最後には、アメリカ軍の焼夷弾空襲による一般市民の大虐殺であった。
しかし、その前に、中国大陸での、日本軍による中国人1000万人以上の大虐殺を忘れてはならない。
話を戻そう。
戦争するには資金が必要である。
その資金は、どこからでたのか。
国家予算である。
では、
誰が戦争予算を作るのか、
誰が軍事費の支払いを決定するのか。
国会である。
すなわち.国会議員たちが決定したのだ。
軍事予算を無制限に出せる「臨時軍事費特別会計」を設置したのは、近衛文麿内閣であり、国会での国会議員たちによる決議である。1937年秋のことである。
この「臨時軍事費特別会計」こそ、軍事予算の無制限な増大をもたらした。
1937年から、多額の軍事予算が成立して、戦艦(大和、武蔵など)、戦闘機(零戦、隼など)、武器(新兵器であった戦車の増産、新型の大砲などなど)が、真珠湾攻撃までに増強され、増産されたことこそが、太平洋戦争を産んだ、と言える。
1937年7月7日の盧溝橋事件をきっかけとして、7月11日、近衛文麿内閣は、中国への日本軍の侵攻を閣議決定した。そして、昭和天皇が裁可して、中国への日本軍の侵攻が始まった。
それを利用して、1937年秋に戦時体制に突入したのである。
すなわち、先に書いた「臨時軍事費特別会計」の設置、そしてかの悪名高き「大本営の設置」である。
これも1937年秋なのである。
大本営が設置されたのは、太平洋戦争の時ではない。
日中戦争開始の年1937年の秋に設置された。
そして、その大本営は、敗戦まで続くのである。
日中戦争開始の年に設置された大本営こそが、1941年12月の日米戦争開始(真珠湾攻撃)、日本国民の苦渋の生活、敗戦へとつながるのである。
日中戦争開始(1937年7月11日の日本軍の中国大陸への侵攻)こそが、太平洋戦争を産んだのであり、日本国民を地獄に突き落としたのである。