自民党にも、まともなことを言う人がいる。

山崎拓・元自民党副総裁である。


多くの日本人も、ウクライナ戦争の影響で、防衛費倍増論に賛成の人が増えているようだ。


しかし、防衛費倍増論が、現実的には、どういう意味合いを持つものなのか、山崎拓氏の意見をしっかり読んで、考えてもらいたい。


マスコミも、キチンと伝えてもらいたい。

防衛費倍増論が、日本国民を不幸にするだけのものであることを。


以下、引用です。


常識に欠ける防衛費倍増と反撃能力の議論

202274日 毎日新聞

山崎拓・元自民党副総裁 

山崎拓氏=須藤孝撮影


  • 防衛費を国内総生産(GDP)比2%にまで引き上げる議論がある。しかし、「防衛費を2倍にすれば、抑止力も2倍になる」というような、そんな簡単なものではない。


米国は喜ぶが

 米国は日本に、北大西洋条約機構(NATO)並みに防衛費を引き上げるよう求めている。その要求に応じる国際政治の局面はある。米国を喜ばせる点ではたしかに意味がある。


 しかし現実問題として防衛費を増やしたらどうなるか。日本の防衛費は4割強が人件費だ。その7割を占める陸上兵力を増強して、人件費を増やすことは実際的ではない。つまり防衛費を増やすことは装備費を増やす問題になる。2022年度予算では防衛関係費は54000億円だ。2倍にするならば108000億円だ。

 装備をそこまで増やす現実的な方法はない。米国の軍事産業を喜ばせるかもしれないが、装備をそれだけ買うことは実際上、不可能だ。みな非常に単純に考えているが、防衛力というのは簡単に強化できるものではない。核開発でもするというなら別だが、非核三原則は国是だ。変えるべきではない。


結局は国民負担

 22年度の文教予算は約54000億円、公共事業費は約61000億円だ。それらにほぼ匹敵する額の防衛費を増やすというならば、どうやって増やすか。その財源はどこにあるのか。


 大型予算を投入してコロナ対策はやったと言う人がいるかもしれない。しかしコロナ対策は非常時の支出だ。防衛費は一度増やせば毎年度ずっと負担が続く。財政規律の問題からいっても容易にできることではない。


 大政治家と言われる人が簡単に倍増すると言うが、常識に欠けている。言うはやすく行うは難い問題だ。


空虚な反撃能力の議論

 「2%」と同様、敵基地攻撃能力も空虚な議論だ。言葉を「反撃能力」に変えたことは重要だ。反撃能力のほうが「敵基地攻撃能力」よりもずっと微温的で、響きがいい。つまり専守防衛政策の範ちゅうでやることになる。岸田文雄首相の成功例だ。しかし中身については勉強不足だ。


 どの国を対象に、どのように反撃し、どのような装備を持ったら反撃能力なのか、現実的な議論がまったくない。


ミサイルで反撃するのか、爆撃するのか、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)なのか。


 核共有とか、核武装の議論もあるが、核兵器など持っても侵略抑止力にはならない。日本が1発使えばロシアや中国からは数百発返ってくる。1発使ったらすべておしまいになる。仮に日本が核兵器を持ったところで広大な中国やロシアのどこを攻撃するのか。核武装などナンセンスだ。


情緒的な議論

 防衛費に限らず、予算を増やすと言えば、みんな喜ぶ。しかし、きちんと考えれば、すべて国民負担だ。国民に結局は自分が負担することになるという意識が欠けている。政治家があまりに簡単に言う。だから、国民もどこかにおカネがあるに違いないと錯覚する。


 防衛力を非常に情緒的に考えている。抑止力を増すために必要なことはやる、外交もやっていく、という理詰めの議論になっていない。ただ「2%」にするというのはどういうことか。数字のマジックに過ぎない。今の政治家は物事を深く考え、緻密に考える訓練が不足している。


https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220701/pol/00m/010/004000c


先日、東京都千代田区平河町を歩いていたら、偶然、山崎拓氏の事務所を見つけた。3F 。