匂いとの戦い
妊婦の約70%に訪れると言われるつわり。
(漢字では「悪阻」と書きます)
赤ちゃんを「異物」と判断する母体が、
劇的に変化する体に対応しようとするあまり
ホルモンバランスが崩れ
一種の更年期障害にも似た症状に見舞われるもの。
主な症状が、
みなさんも御存知
ドラマなんかで妊娠発覚の代名詞ともなっている
吐き気と嘔吐
これも個人差があるが、
エリーは
つわりがひどかったため、
仕事を一時休み、
実家に戻って静養することになった。
煙は勿論、食べ物全般、湯気、香水、石鹸、ボディソープ・・・
匂いのあるものは全てダメ。
しかも時は8月。
匂いは
温度が高いほど飛散性が上昇するため、
最も匂いが広がりやすい時期なのだ。
そんなエリーのもっぱらの主食は
冷水とクラッカーだった。

食欲はまったくないが、
食べなくてはいけない。
嘔吐が続き、胃の中が空っぽになると、
次に吐くものは胃液になる。
これがかなりつらい。
だから、
胃液を吐かなくていいように、
食べ物を詰め込んでおかなくてはいけないという
なんとも理解しがたい状態だ。
汗もかくので
お風呂だって入らねばならない。
湯気と石鹸の匂いのダブルインパクトで、
苦しみながらの入浴の日々。
気づけば、
体重は4.5kgも減少していた。
更につわりはエスカレート。
TVで食べ物の映像が出たり、
食べ物の事を考えただけで
吐き気に見舞われる始末。
精神的にも不安定になり
泣いてばかり。

世間では祭り、海水浴と
夏のイベントが目白押し。
むなしく聞こえる遠くの花火の音が重ねてむなしい。
自分はなんでこんな目にあうのだろう。
つらい、苦しい、もうやめたい。
エリーの精神が臨界点を突破しようとしたその時、

「遊びに行ってないのはあなただけではないの!
お母さんもお父さんもリスキーもみんな
生まれてくる子供のため
そしてあなたのためにどこにも行かず
一生懸命やっているのよ!」
そこになぐさめの言葉はなく、
母となる我が子への
母親からの愛のムチ・・・。

つわりのつらさが分かっている人だからこそ伝えられる
重みのある言葉だ。
さすが母親ですね、エリーママ。
ビシッとキメていただきました。

それから
エリーは変わる。
重い病気で苦しんでいる人たちは
いつ治るかも分からぬ状態で、
治ることを願いながら療養生活を続けているが、
自分は違う。
時期が来れば必ずこの苦しみから解放され、
そして、
新しい命を授かることができるのだ。
自分はなんて幸せなのだろう
前向きなエリーがそこにいた。
つわりは平均的に1~1ヶ月半で終了する。
それをぬければパッタリとつわりは止む。

しかし、
それまではやっぱり匂いはきつい・・・