数秒の硬直…。

思考が停止寸前になる。

こんなコトが…

こんなコトがあって…いぃのか?

また今度ね。っと…

笑って言っていた…

姉と交わした言葉が頭に過る。

………………。

………子供。

そうだっ!?

車には姉の子供も乗ってるのだっ!!

思考が回復し、今の状況を確認する。

フロント部分から火が出ているが、然程大きい炎ではない。

これなら初期消火出来そうだ。

動揺を無理やり押し込め、必死に頭をフル回転させながら車に駆け寄る。

事態に気付いた近所の人たちが、恐る恐る顔を出し始めていた。

「誰かっ!!消火器…消火器持ってないですか!?」

走りながら誰ともなく叫ぶ。

ほんの10メートルちょっとなのに、思うように走れない。

………………………………