「ゆうせいチャレンジド」の管理職はアルバイト!? | へたれジョブコーチ

お正月といえば年賀状、年賀状といえば郵便局ですね。


元旦からヘルメットをかぶって白い息を吐きながら年賀状を配達する高校生バイトの姿には、新年にふさわしい清々しさを感じます。




たまたまネットで「ゆうせいチャレンジド」の管理職の求人を見つけました。


「ゆうせいチャレンジド」というのは郵便郵政株式会社の特例子会社です。


郵政グループでは障害者のことを「チャレンジド」、

チャレンジドを指導する立場の社員を「コーチ」、

何人かのコーチを管理する立場の管理職を「シニアコーチ」と呼びます。


そのシニアコーチの募集なので、障害や労務管理についてそれなりの知識や経験のある人材を求めていると思うのですが、待遇はアルバイト(パート雇用)です。


チャレンジドやコーチがバイト扱いなのは知っていましたが、シニアコーチまで「ゆうメイト」さんだったとは。


チャレンジド15~20名くらい、コーチ3,4名をまとめる管理職が「ゆうメイト」と同じアルバイトというのは、ちょっと驚きでした。


だって、20名の部下を持つ管理職が、アルバイトなんて・・・


いまどきアルバイトの管理職も珍しくないのかもしれませんが、天下の郵政、しかも特例子会社なのに!




子会社に雇用率算定上の特例が認められる要件は、


① 親会社との人的関係が緊密であること。
(具体的には、親会社からの役員派遣等)


② 雇用される障害者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること。
また、雇用される障害者に占める重度身体障害者、知的障害者及び精神障害者の割合が30%以上であること。


③ 障害者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有していること。
(具体的には、障害者のための施設の改善、専任の指導員の配置等)


④ その他、障害者の雇用の促進及び安定が確実に達成されると認められること。


の4点です。


障害があるために何らかの支えが必要な人を雇用するのが特例子会社の責任であり、使命のはず。


その使命を担う管理職がアルバイトでいいんでしょうか?


就労支援をしていてつくづく感じるのは、仕事が続けられるかどうかは結局は「人」だということです。


良い「人」に出会えるかどうかで、そこで働く障害者のQWL(Quality of Working Life:労働生活の質)が決まります。


アルバイトという働き方の良い悪いを言いたいのではありません。有能な人材を集めたければ、それに見合った待遇で募集すべきだと言いたいのです。特例子会社の障害者の雇用管理には知識と技術、経験が必要です。そういう人材ってなかなかいないと思います。


この求人広告を見たとき、「郵政グループって障害者雇用に対してあんまりヤル気ないんじゃないの?」と疑ってしまいました。




郵便局、郵便事業は障害者雇用については除外率制度の対象です。


除外率制度というのは、障害者雇用が難しいと思われる業種について、雇用率を計算するときの分母となる常用労働者数を業種ごとに定められた割合(除外率)を減じることができる制度です。


法律が改正されて、今年7月には除外率が郵便局は10%→0%、郵便事業は30%→20%へと引き下げられます。


おおざっぱな言い方をすれば、除外率制度の対象となっていた業種では、障害者雇用の意識は低調です。そのため、除外率の引き下げ・廃止にともなってやっと目を向けたという企業も少なくありません。


特に郵政は分母(常用労働者数)が大きいので、除外率の引き下げは大変です。




郵政グループはあわてて障害者雇用に目を向けたために、まだ障害者雇用について意識が育っていないのかもしれません。



「とりあえず何でもいいから法定雇用率をクリアすればいいや」


「障害者の雇用管理なんて誰でもできるでしょ」


っていう意識がシニアコーチの待遇に表れているのだとしたら、とても残念です。







ゆうせいチャレンジド設立認可(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2007/071116_2.html



ゆうせいチャレンジド株式会社の求人情報(アルバイトStock)
http://www.arbeitstock.jp/detail/78446.html



「特例子会社」制度の概要(厚生労働省・PDFファイル)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/07.pdf



平成22年7月から除外率が引き下げられます(厚生労働省・PDFファイル)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/jogairitsu.pdf