けっこう前から温めている中二病すぎる設定のファンタジー。
基本ファンタジー系RPGがすきなのでどうしてもそっち系になる。
私的メモなので箇条書き。





・主人公は不老不死(ありがち)
・見た目の年齢は14。実年齢は18
・「科学は古い」時代。最先端は魔術。
・主人公は神降ろしの禁忌に触れて不老不死に。ただし主人公の意志ではない。
・主人公はこれを「呪い」と呼ぶ。
・双子の妹がいる
・妹にも「呪い」がある
・というか主人公のいた集落の人間は全員何かしらの「呪い」持ち。
・集落の人間だけでなく、ある程度主人公と血のつながりがある人間はみんな「呪い」持ち
・けど大抵は「呪い」のせいで死去
・「呪い」を解くためと、双子の妹を探すために各地を転々として情報収集にいそしむ主人公のはなし







今のところはこんな。
またちょいちょい増やしてきます。
もっともっと細かく決めてかないとね。

小説ばかり書いて寂しいブログだなと改めて思ったので、すこし、今までに載せた作品について語ってみようかと思います。

小説家はあまり作品について主張するものではないというのが持論ですが、何も材料がないというのも面白くないものかと思いまして。

単なるたわごとですが、お暇な方はお付き合いください。




『嘘つきの懺悔』


これのテーマは、母の愛、でした。

子どもは結構親のことを理解しているといわれますけれど、やっぱり親も、子供のことはわかっているものだと思うのです。

まあ、まだ親になったことのない女の戯言ではありますが。

この娘は、言葉足らずです。

言葉面だけを追って見てみれば、娘のついた嘘は、「けいちゃんが盗んだものを、落ちていたと言って返した」ととれるように書いています。

が、娘がついた嘘は、「けいちゃんがシールを盗み、隠せと言われたが隠せず、ゆうちゃんに返した」というものです。実際に盗んだのは、娘であるからです。それは、母親の台詞からもご想像いただけるかと思います。

言葉の上澄みを掬い上げているだけでは、娘がついた嘘が何であるのか、おそらくわからないと思います。

母親に嘘をついているつもりは、娘には毛頭ありません。「ゆうちゃん」に言った嘘を、母親に教えているだけです。

しかし、母親は、娘の足りない言葉を聞いて、娘の嘘が何であるかをはっきりと見抜いたわけです。

はたから会話を見ていると矛盾に感じるものでも、当人たちにとっては何ら違和感のない会話。

それは、愛がなければなしえないものではないかと、そう思っています。




『メビウスを断ち切る』


とにかく哲学的な話を書きたい。と思って書いたものです。

この中で男女が語っている正義と悪の定義は、以前よりわたしが持っていた定義です。

この定義を語らせるためにはそれなりの立場にある人物ではないと無理だ、と判断して、選んだのが「正義の味方」と「悪の組織の幹部」でした。

他にも、警察と殺人犯や、教師と詐欺師、などというバージョンも考えてみたのですが、結局ストレートに、正義そのものと悪そのものに落ち着きました。

チャーリー・チャップリンの有名な言葉に、「人生はクローズアップで見れば悲劇 ロングショットで見れば喜劇」というものがあります。

わたしはこの言葉がとても好きで、この話を書く上でのヒントにさせていただきました。

クスリと笑える作品になっていれば嬉しいです。





『世界』


この作品については、あまり多くは語りません。語りたくないとも言えます。

優衣子はわたしです。彼女の価値観や世界観は、そのままわたしのものです。

けれど同時に、美咲、理香、奈美も、わたしです。わたしの一部です。

わたしは個人を大切にしたいと思いながら、組織から、社会から外れることもこわいのです。

麻友は、わたしの理性です。わたし自身に、わたしが何を大事にしているのかを教えてくれました。

本当ならば、載せるのも恥ずかしいくらいの作品です。

しかし、恥ずかしい作品であるからこそ、思い入れもあるのです。

こいつ恥ずかしいな、というくらいの、軽い気持ちで読んでいただけるのが理想であります。





『ペットの幸せ』


絵本のような世界を書きたいがために、このような文体になりました。

グルっぽでお題を見たときに、真っ先に思い浮かんだのが犬でした。

以前犬を飼っていたということもありますし、日本人に浸透しているぶん、書きやすい題材だということも理由のひとつです。

ただ、単純に犬の話を書くのはつまらないなと思い、あのような形にしました。

そのまま追っていくと、ばれるまではえげつない虐待の小説になりかねないので、比喩のかわりに、キーになる単語を入れたりして、悲惨な物語として読まれないように工夫してみました。

その代わり、ちょっと直接すぎて、奇もなにもないものになってしまったのですが。

生がないからこそ従順である、というのは、悲しいものです。

生がないものを、生があるとして見ることは出来ません。生き物以上の愛情を注ぐことは、決して出来ません。

しかしそれを差し引いたとて、現代の人間は、モノというものを粗末にしすぎているのではないかと思います。

そんな風刺も兼ねていたり。所詮、後付け程度ではあるのですが。





『それは切欠に過ぎない』


テーマは、少女マンガでした。

ただ好きという言葉を告げる告白もいいものですが、こういった告白の形もとても好きです。

お互いのことをよく知る両者でなければ、できないことですけれどね。

わたしには、小説は思想を埋めるものだけれど、それ以前にエンターテイメントでなければならないという考えがありまして。どうにも奇をてらう傾向があるのです。

涼の性別はなるべく伏せてあります。と言いますか、序盤では男に見えるようにしています。

こういう遊びは小説ならではのものだと思いますので、ついやってしまうんです。

涼は、言葉遣いこそ粗雑ですが、髪を長く伸ばし、パーカーもジーンズもスニーカーも女物で、おしゃれにも気を使っています。外見の見える漫画やアニメでは、涼が男性であるという勘違いは起きないでしょう。

女性らしさ、というものは、外見からにじみ出るものであると思います。

それは、うわべという意味の外見ではありません。立ち居振る舞いや言葉の端々、そういったものに現れる、という意味です。

内面、と言いますが、人は他人の内側を覗くことはできません。

内面というものは、外見に表れて初めて知覚されるものです。外側に発せられるものを汲み取って、内面を判断しているに過ぎないのです。

言葉が男っぽい、という先入観を抜いて涼の言動を追うと、涼はやはり女性であるということがお分かりいただけるかと思います。





とまあ好き勝手語りましたが。

わたしはこんな思いを込めましたよ、という。参考までに。

何だか支離滅裂な文章ですみません。ニュアンスで捉えていただければ幸いです。


冬はつとめて。平安の女性はそう言ったけれど、夜も悪くないものではなかろうかと思う。

この時期特有の、キンと澄んだ空気。冷たい風が肌を刺す感覚。冬しか見ることの出来ない白い息も、夜はいっそうその存在を主張してくる。

歩きながらふと、天を仰ぎ見た。

色を濃くした夜空に瞬く、砂時計。オリオン座は、俺の好きな星座のひとつだ。


「事故るぞ」


言われて、顎を引く。2メートルほど先で足を止めていた涼が、気味の悪いものを見るような目を、俺に向けていた。


「平気だろ。めったに車なんか通らないし」

「車が通らなくても電信柱は立ってんだ。お前が前方不注意でぶつかったって、責任取れねーからな」


肩を竦めて見せる。俺がそんなへまをするような人間じゃないことは、こいつもわかっているはずなのだ。

その証拠に、我が幼馴染は、俺の目線の先でくつくつと笑っている。

まったく失礼なヤツだ。今に始まったことではないが。


「降らなかったなあ」


そう言って、先ほどの俺を真似するかのように、自らの頭上を仰ぐ。

お前のほうこそ事故るんじゃないか、と言えば、歩いてねーもん、と言ってまた笑った。


「雪か?」

「そー。今日は寒くなるって聞いたから、ちょっと期待してたんだけどなー」

「いくら寒くても、晴れていたら雪は降らないんじゃないか」

「夢ぶち壊すこと言うなよ、譲(ゆずる)」


涼が、少し眉をひそめ、唇を尖らせている。

こいつが変なところでロマンチストなのは、昔からだった。

大学に入学し、一人暮らしを始めた今でも、それはなんら変わっていない。本当に同い年かと疑うときもあるほど、子どもっぽい部分がある。

とはいえ、そういった点も含めて好ましく思っているからこそ、こうやって関係を続けているのだが。


「ホワイトクリスマスなんて、めったにないからありがたいんだろう」

「めったにないから見たかったんじゃねーか」

「運が悪いってことだな」

「そうか、譲の運が悪いから見れなかったんだ。納得」

「なんでそうなる」


涼に追いつき、再び隣を歩き始めた。

ふたりぶんのスニーカーが、アスファルトを擦る。

クリスマスイブから、クリスマスと呼ばれる日にちになって、2時間と少し。

こんな時間に外を歩いている人間など、そうはいない。

ここがイルミネーション輝く繁華街であれば、また違ったのだろう。が、あいにくここは、マンションやアパートの立ち並ぶベッドタウンだ。

コンビニに行くのにすら自転車を使うこのあたりで、夜中の通行人などいるはずもない。

俺たちも、友人の家で飲み会などしていなければ、こんな時間に外を歩いてはいなかったのだ。

それも、街灯と、まばらな窓の明かりくらいしか光源のないような、寂しい住宅街なんか。


「見たかったなー雪」

「来年にとっておけ」

「つったって、来年もひとり身だったら、また譲と一緒じゃねーか。見れねーじゃん」

「引っ張るなよ。なんで俺のせいになるんだ」


涼の後頭部を軽く叩く。

パーカーのポケットに突っ込んでいた手を引き抜き、頭をさすりながら、何するんだよ、と涼が俺を睨んだ。

だが、口元は笑っている。俺も釣られて笑みをこぼした。


「来年もこのメンバーで飲み会かなあ」

「どうだろうな。慎二あたりが彼女作っていそうだ」

「ああ、あるかも。ていうか、栄子、慎二狙ってんだぜ」

「そうなのか?それは知らなかった。慎二には嬉しい話だな」

「え、脈あんの?」

「大有りだろ」

「マジかよ!うっわー面白いことになってきた!」


大学の友人同士が付き合う、ということになれば、嬉しいのは仕方がない。

が、喜び方がまるで野次馬だ。


「でも、クリスマスってキリストの誕生日なのに、日本じゃすっかり恋人のイベントだよなあ」


鼻をすすって、涼が言う。

俺は白く息を吐きながら、点々と続く街灯を見つめ、肯定を示す声を上げた。

昨今では、自宅やベランダにカラフルな電飾を施す家も珍しくないのに、このあたりではそういったものも見当たらない。

そんな視覚の静寂こそが、今、俺が涼とふたりきりであることを、知らしめている。


「日本人って、なんでこんなイベント好きかな。クリスマスやらバレンタインやら、騒げるモンは全部取り入れてるってカンジ」


そのうちイースターまで取り入れてそうだ、と言って、涼は肩を竦める。


「日本人の根本は多神教だからなあ。宗教を交えるということ自体に抵抗が少ないんじゃないか。

日本にはもともと八百万(やおよろず)と言って、自然だけでなく、人や物質まで神とする文化がある。祭りの起源は神事だし、日本人が祭り好きなのは、そういうところにもあるのかもしれないな」


もちろん、これは俺の推測だけど。

そう言うと、涼が、きゅ、と眉根を寄せる。


「だからってクリスマスが恋人のイベントになる理由にはならねーよ」

「まあ・・・最近の日本人が信仰深いとは、とても言えないからな」


単に騒ぎたいだけ、という感も否めなくはない。
それ自体を否定するつもりは毛頭ないが、当のイエスが日本のクリスマスを見れば、呆れ返ってしまうのかもしれないと思う。
いや、博愛の宗教だから、意外と許してくれるだろうか。


「恋人といちゃついて、何が聖夜だ。神聖の聖を、性交の性と勘違いしてんじゃねーの」

「お前なあ。いくら夜中とはいえ、道のど真ん中で言う台詞じゃないぞ。それに、負け惜しみみたいで、みっともない」

「いいんだよ、負け惜しみなんだから」


そう言って涼は、合わせていた歩調を少し速め、俺の前に飛び出した。

白く濁った吐息が、寂しくなった俺の隣をふわりと掠めていく。

それを目の端で追い、俺は涼へと視線を流した。

相変わらず手のひらをポケットに突っ込み、顎を上げて真上に息を飛ばしながら、乾いた笑いを漏らしている。


「好きなヤツに告白も出来てない時点で、負け犬だっての」


振り返ることなく、涼が言う。思わず凝視した背中は、予想以上に小さく見えた。

驚かなかった、と言えば、嘘になる。

涼とは長い、本当に長い付き合いだが、本人の恋愛に関しては、ほとんど話してこなかった。

長い付き合いだからこそ、という理由もある。だが、それだけではない。

意識的にしろ無意識的にしろ、俺たちにとって、この手の話題はタブーなのだ。

根本的な理由など、今更思い起こす必要もない。

涼と俺の間で、これは、至極デリケートな問題であった。避けていたのも当然のことと言える。

思わず、口腔に溜まった唾液を飲み込んだ。

渇いた喉を潤そうという生理的行動だったが、実際は、気休めにもならない。


「しないのか?」

「しないよ」

「どうして」

「見込みねーもん。異性として見られてないっていうか」

「本人に、そう聞いたのか」

「聞けるわけねーだろ。聞けたら告白できてるっての」


それもそうだ。思わず、息を詰める。
だが、その言葉をみすみす流してしまうことなど、俺にはできようもなかった。

コートのポケットの中でこぶしを作る。刺さるような寒さのなか、手のひらがじんわりと汗ばんだ。

柄でもない、と、苦笑が漏れる。

深く、冷たい風を肺に溜め込んで、俺は唇を開いた。


「俺は、結構、待ってたんだけどな」


ばちん、と音が聞こえそうなほどの素早さで、涼が振り返る。

まぶたが、限界まで開ききっている。今にも眼球が落ちてきそうだ。

その顔がどうにもかわいく見えて、頬が緩むのを止められない。

おそらく、涼の目には、微笑んで見えただろう。実際は、単ににやけていただけなのだとしても。

その証拠に、涼が、笑っている。

微笑む、なんて、かわいい表現ではない。顔中にしわを作るような、くしゃりとした笑顔。


「なんだよ・・・気づいてたのか」

「悪い。実は、結構前から」

「うっそ。いつから?」

「お前が、髪を伸ばし始めたときくらいから」


そんなに前からか、なんて、吐息混じりに呟いている。

どうやら拗ねているようだ。もしかしたら、恥ずかしいのかもしれない。

何せ、涼が髪を伸ばし始めたのは、今から二年も前の話だ。


「譲さ」

「何?」

「変わってんな」

「そうか?」

「そうだよ。あたしみたいな男勝りでいいなんて、相当だろ」


思わず、笑みがこぼれた。一瞬の間をおいて、涼の満面の笑顔が、暗闇に明るく浮かび上がる。

男勝りだなんて、関係ない。

俺は、他の誰よりも、涼がかわいいことを知っている。

変なところで、ロマンチストなところとか。恋人のイベントなんて気にしないような振りをしながら、その実、かなり気にしているところとか。

俺の好みがロングヘアーだと知って、背中まで髪を伸ばしたところとか。

長い付き合いぶん、涼のいいところを、誰よりも知っている。

自惚れなどではない。彼女の長所なら、涼自身よりも熟知していると断言できる。

止まっていた足を踏み出し、涼の隣に並んだ。

瞬間、示し合わせたように、涼の歩が進む。

友人という関係だった月日の賜物だろう。口元が、ゆるゆるとほころぶ。


「涼は、いいのか?」

「何が?」

「この先ずっと、ホワイトクリスマスは拝めなくなるぞ」


俺がそう言うと、涼は目をしばたかせた。

そして、唇を震わせながら噴出したかと思うと、声を上げて笑いはじめた。

失礼なヤツだな、と拗ねれば、今更だろと言って、また笑う。

何だか悔しくなって、仕返しとばかりにパーカーのポケットに手を突っ込み、彼女の汗ばんだ手のひらを、強く握った。


「・・・湿ってる」

「俺が緊張しなかったと思うなら、まだまだだな」


涼が笑い声を上げる。そんな涼を、恨むように、軽く睨んだ。

手のひらと同様、湿りきった瞳には、お互いに気づかないふりをした。




初めてあなたのところへやってきた日のことを、とてもよく覚えています。

わたしを抱き上げたとき、あなたはとても嬉しそうに、咲くかのごとく笑いましたね。

あの瞬間にわたしは、一生、あなたの笑顔を守ろうと決めたのです。

たかだかペットが大それたことをと、あなたは嗤うかもしれません。

けれどわたしは、自らがペットであるということなど、どうでもよかった。

そんなことを気にするという選択肢すら、わたしには存在しなかったのです。

ただ、あなたに笑ってほしい。

ただ、あなたを喜ばせたい。

ただ、あなたの傍に置いてほしい。

それだけがわたしの願いでした。


わたしは限られたキャパシティのなかで、あなたの笑顔を見ようと必死でした。

あなたのために、お手を覚えました。

あなたのために、おかわりを覚えました。

あなたのために、伏せを覚えました。

あなたのために、おすわりを覚えました。

あなたはそのたびに、その大きな瞳をこぼさんばかりに見開き驚いてくれました。

かと思えば、糸のように細め、手を叩いて喜んでくれました。

わたしはそれが、嬉しくてたまりませんでした。

あなたの期待に応えたくて、一生懸命に芸を覚えました。


あなたが学校に行っている間は、あなたのかわりに部屋を守りました。

あなたが帰ってくれば、一声鳴いて迎えました。

あなたが眠れないときは、共に布団の海へもぐりました。

あなたが寝坊しそうなときは、渋るあなたを起こして学校へ向かわせました。

あなたはそのたびに、とても幸せそうな笑顔をくれました。

その笑顔が、わたしのバッテリーとなっていたのです。

わたしは幸せでした。

あなたが笑ってくれるから、わたしは幸せでした。

あなたの幸せが、わたしの幸せでした。


けれど、別れの日は、突然やってきました。

ある日わたしは、ゴミ袋に詰められ、ごみ置き場に置き去りにされたのです。

理由は、とても簡単でした。

わたしの体は、がたが来ていたのです。

まず、左の前足が、思うように動かなくなりました。

次に、今度は後足が、いうことを聞かなくなりました。

わたしはうまく歩けなくなりました。

歩こうとすると、同じ場所をぐるぐると回ってしまうのです。

そんなわたしを見て、あなたは、ひどくつまらなそうな顔をしましたね。

あなたにそんな顔をさせるわたしは、なんてひどいペットなのだろうと、自分の体を恥じました。

けれど、こんなわたしでも、あなたの笑顔を見られる瞬間がありました。

それは、わたしを捨てる瞬間でした。

あなたは最後、わたしを捨てるとき、とても素敵な笑顔を見せてくれました。

それはわたしにとって、最高のプレゼントでした。


わたしは、知っていたのです。

あなたが、新しいペットを、ずっと欲しがっていたこと。

まだ小さかったあなたには世話が出来ないからと、代わりにわたしが、あなたのもとへやってきたこと。

あなたが成長して、わたしが動けなくなったことをきっかけに、あなたが本当に欲しがっていたものを、買ってもらえる約束をしていたこと。

すべて、知っていたのです。

だからわたしは、幸せです。

たとえ、ビニールから雨が染み出してこようとも。

たとえ、激しい風に飛ばされ、体をしたたかに打ちつけようとも。

今この瞬間に、あなたが欲しかったものを手にして、笑っていることを知っているから。

わたしに見せたものよりも、何倍も嬉しそうに、幸せそうに、笑っていることを知っているから。

あなたの欲しかったものが、わたしには到底与えられなかった、温度というものを、与えていることを知っているから。

だからわたしは、幸せなのです。

あなたが笑っていることこそが、わたしにとっての幸せなのです。


何故なら、主人を幸せにすることこそが、我々ペットロボットに課せられた、唯一の使命なのですから。



突然ですが、恋、という言葉が好きです。


恋と愛とではどちらの言葉が、恋愛感情として大きいことを指すのか。

日本語学としては、本来、恋のほうなのだそうです。

恋という単語には恋愛感情を指す以外の意味はありませんが、愛は友愛や親愛もひっくるめての単語であるから、というのが理由のようです。

感覚的には愛のほうが大きいように感じますが、それは恋と比べると新しい単語だからなのだそうな。

恋は日本の言葉なのですが、愛は中国から来た言葉だそうです。つまり外来語なのですね。

スパッツという単語があまり使われなくなり、レギンスという単語が蔓延しているのと同じ感覚なんでしょうか。

新しい言葉のほうがなんだかカッコイイですもんね。

でも、わたしは、「愛している」という台詞より、「恋している」という台詞のほうがぐっときます。

実際に言われるとこの上なく寒いだろうと思うのですが!

まあ、それはそれ、これはこれ。


日本語は比較的語彙の多い言語であるそうです。

聞いた話なので定かではないのですが、恋という単語に当てはまる英単語は存在しないそうです。

Loveは愛、Likeは好き。

けれどそれはどちらも、恋ではない。

こういった単語はいくつかあるようですね。

有名なのは「もったいない」。あと、実は「かわいい」という単語に当てはまるものも存在しないらしいですよ。

ソースを忘れてしまったので、間違っていたら申し訳ないのですが・・・。


けれど、それだけ語彙の豊富な日本語でも、恋心の繊細さって表現し切れません。

いや、もしかしたら、語彙が豊富であるからこそなのかもしれませんが。

身勝手なのが恋だ、という意見もあるでしょう。

けれど、身勝手でなければ恋ではないのかというと、そうではないと思うのです。

自分の思いを内に潜めて、ただひたすら恋うた相手の幸せを願うのも、また恋の形です。

そんないろんな形の感情、ぜんぶひっくるめて「恋」なのですよね。奥が深い。

とある説によれば、数学における最大の功績は「ゼロ」の発見であると言われています。

何もないものにあえて名称をつけたのですから、大きなことだったでしょう。

わたしは、恋という感情の発見は、ゼロに等しい発見だと思うのです。

家族や友人などとは一線を画した、けれどそれらとも似通う感情を恋と名づけた。

そんな日本人の感性は、とてもすばらしいものだと思います。

日本語って素敵だと思うのです。


それに気づかせてくれたのは、恋という言葉そのものでした。

だから、恋という単語が好きです。もちろん、言葉そのものの意味もとても好きなのですけれど。

恋をどう表現するかというのは、わたしが小説を書いてゆくにあたっての、ひとつの大きなテーマです。

いつか、いろいろな恋の形を描ければいいなあと思いながら、しかし思うにとどまっています。

・・・書いていかなきゃですね。



(ちなみに。

わかったように語っていますが、学生時代の授業の話や、テレビ、本などでかじった程度の知識ばかりなので、これらがすべて事実かどうかわたしにもわかっていません。

聞いた話と違う、というものがありましたら、ぜひとも教えて下さい。

そういった知識は、いずれ小説を書く上での肥やしになると思いますので。

一見関係なくとも、こんな話聞いたよ!というものでも大歓迎です^^)