作品展望 №19(解説~千葉優作) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

結社【北海道アララギ】

 

赤々とナナカマドの実見上ぐれば思ひがけない空の広がり  安高浩子

 

街路樹の風に吹かれて舞ふ落葉赤信号を無視して行きぬ  戸田宮子

 

街川のゆるき流れに鴨の群れ冬の景色に溶け込みてゐる  桐渓淑子

 

雪原の風紋に多様な影を置き沈みゆく日の目映かり  伊藤啓子

 

火加減を夫に任せておでん炊くはんぺん膨らみ鍋蓋が浮く  塩田芳子

 

白根葵ひつそりと咲く道を過ぎ廻り終へたる安らぎにゐる  阿知良光治

 

異国より帰りて湯舟に身を沈め足の指から感じる祖国  藤谷拓馬

 

わが村もいつしか限界集落となりて静もる雪のアダージョ  今野金哉

 

老犬は綱に引かれる何やら吾の近い未来なるかな  豊島幸子

 

おほかたは艦に関はりし夫にして海見ゆる丘に葬れり  二階堂英子