結社賞作品抄(4) | 短歌活動をめざす北海道歌人会

短歌活動をめざす北海道歌人会

北海道在住の歌人や愛好者、もしくは道外転出者も希望によって会員とする北海道歌人会です。短歌における親睦と創作を希望する方はどなたでも加入できます。ぜひ、一緒に短歌を楽しみましょう!

 

 

 

       ※ 掲載は一人5首にさせていただきます

 

 

 

ミサイル(第64回辛夷賞)中村敏勝

 

ミサイルを発射されても眠りたい目覚めれば靴、靴の破れ目

 

「死ぬまでに・・・」とかいう本は貰い物無造作に置くが何故か目につく

 

雨のことと美しい人のことを書く金の事も又書かぬ日はない

 

宝くじ売場と本屋めぐるだけオレの休日などといったら

 

呆気なくひとは逝くのか生き抜いてひとは逝くのか 正月二日

 

 

 

 

 

春は来る(第38回野原水嶺賞佳作)金子みえ子

 

とりあえず母は平熱に戻りたり今日は出がらしのお茶のような日

 

暖かい家で待ちいる妻と子をポケットに入れて働く男

 

夢待ちて移住して来し魂と今日の青空まったく同じ

 

先細りしてゆく未来か削りたての鉛筆握る手しばらく止まる

 

春を待つこころは誰にも止められぬ納戸の馬鈴薯芽を伸ばしゆく