煌めき 三浦公佐子(原始林)
長き間を引き出しの中眠りたりし指輪のケース何気に開ける
立て爪のダイヤの指輪は引つかかる出番なきままケースに眠りぬ
輝きを閉じこめたまま忍びなしリフォームするを突如ひらめく
町なかにさり気なくあるアトリエは狭くあれども流行つているらし
山ほどの見本の中からデザインを選ぶは愉し明日が光る
温もりを感じる夫婦の店ならと大事な指輪を託して帰る
四十年前に貰いたる輝きは人差し指に今を煌めく
太陽に指をかざせばキラキラと良きことありさうきつとあるはず
煌めきは喩へるならばひと粒の雪解の水に受けたる光
混沌と世界は闇の中にあり指輪よ我を此の世を照らせ