先日も書きましたが、4月予定の同時改定の内容は、思っていたより小幅な変化でしたー。もちろん施設によっては大きな報酬減や作業負担増もあるでしょう。しかし、こと療法士関連の内容に関しては、従来通りの報酬枠内で小さな移行や条件の見直しがあるだけで、本質的には何も変わらないなぁと思いましたうーん

 

 まぁ、変わりようがないんですね。医療・介護制度(ひいては厚生労働省の認識)上は、療法士とは“リハビリする(させる)人たち”なので。超急性期でも在宅期でも終末期でも、療法士は患者さんを(ただ)起こし、歩かせ、生活訓練させるだけの人であり、その対価としての報酬となっていますパー

 

 残念ながら、決して治療行為に対する対価ではありません。療法士のやることは“リハビリ”だから、「算定期限」や「疾患別」や「医療保険と介護保険は別」といったヘンな設定ができたのです。おそらく当の療法士たちも、そのオカシナ制度にすっかり慣れてしまっとるぞガーン

 

 治療であるお薬や手術のことを考えてみましょう。「この薬は150日間しか処方できません」、「この手術は20分単位(1単位)で行います」、「脳血管系の手術はすべて一律○○点(円)です」、「この薬は医療保険で、この薬は介護保険の適応です」...。そんな治療行為があるかーい!ヽ(`Д´)ノ

 

 つまりこれは完全に、療法士の業務を「リハビリ(=訓練)の時間」として認識している制度なのです。行うこと(の想定)が訓練に限定されているから、期間や時間を制限して「この期間までにこれだけの量の“リハビリ”をして変わらなかったら、時間切れ(終了)!」となるのです涙

 

 日本に物理医学&リハビリテーションが導入された当初は違いました。昔の報酬体系時代を知っている療法士はわかると思いますが、以前はリハビリテーションの部分ではなく、機能的治療に対しての報酬だったのです。療法士は訓練者である前に治療者でした(昔は理学診療科に属していました)ひらめき電球

 

 ところが時代とともに、まず物理医学の領域から医師がいなくなり、療法士の医学教育がそこから発展せず、療法士の治療効果も伸びず(認められず)、さらには養成校が安易かつ無計画に増え続けました。そこに日本の景気後退、超高齢化、そして社会保障費の膨張が影響しますおーっ!

 

 「治らない患者さんを社会や在宅にどう復帰させるか」の制度づくりの中で、治療者としての役目を果たせなかった療法士というものは、とにかく早く患者さんをベッドから起こして歩かせて何か活動をさせるための存在として位置づけられたのです。これにより専門性があまり必要とされず、当然そのぶん報酬も下がります↓

 

 以前は報酬制度もPT・OTは別々の「治療料」でした。今は完全に「リハビリ料」としての扱いです。制度設定のどこを読んでもリハビリ、リハビリ。うーん、厚労省さん、“リハビリ”では在宅復帰率や医療費増大の問題は解決しませんよ。医療経済効果も期待できませんよ。ご高齢者の介護度も改善しませんよ。治せるもの(機能)を療法士がちゃんと治してこそ、リハビリテーションは円滑に進むのですひらめき電球

 

 こうした制度の誤りや業界の悪しき流れは、私が療法士になった2000年以降が特にドイヒ~。「ただ歩かせるだけの回復期リハ問題」、「介護技術とゴッチャになった介護保険リハ問題」、「“疾患別にリハビリ”って、ちょっと何言ってるか分かんない問題」、「機械を使えば何とかなる?“パワーリハ”問題」、「健常者と体操するのが理学療法?予防リハ問題」などなど、まさに療法士の黒歴史ヤンキー

 

 とにかく、このような環境下では新しく療法士になった人たちは個の治療者としての価値観やアイデンティティを築きあげにくいものです。ましてや周囲の上司や先輩が何の治療もしない・できない・知らないのであれば、そこでの治療者としての成長はさらに難しくなるでしょうむずかしい

 

 しかし、その上司や先輩たちも、同じ経験や歩みを繰り返してきたのかもしれませんねー。過去の恵まれた報酬制度の中で、アグラをかいた人もいたでしょう。ちゃんと患者さんを治療してこなかった(治療できていなかった)療法士の歴史。それがここ20年の制度変遷にまでつながっていることは確かですぐすん

 

 今後、治療者としての療法士を取り巻く制度はさらに悪くなるでしょう。療法士の治療行為は全く評価されなくなります(すでにされてませんが)。

 

 しかし患者さんにはそんなこと全く関係ありません。社会の何が変わっても、療法士は治療者であり続けましょう。そうでなければ、いったい誰が患者さんの機能を治療するというのでしょうか??

 

↓今日はがっつりボヤいたぜぇ o(`д´;)グッ

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