脳出血や脳梗塞、頭部外傷等による、片側のいわゆる「半身不随」の状態というのは、多くは3つの機能障害が重なっています。それは片麻痺痙縮、そして筋スパズムです3

 片麻痺は錘体路障害による筋力低下で、痙縮は錐体外路障害による筋緊張亢進です。錘体路(皮質脊髄路)と錐体外路(網様体脊髄路等)は脳内の内包などで隣接して通るために同時に傷害されることが多く、
その場合に痙性麻痺となります(急性期だけは弛緩性麻痺となります)。

 麻痺痙縮は別の障害ですので、別々に評価(検査・測定)をします。また治療の際は、麻痺の運動療法時に痙縮や共同運動を増長させることがあり、特に抵抗運動を行う際は細心の注意が必要です。残された
神経を促通したり、筋を強化する神経筋再教育運動を行います

 麻痺や痙縮自体は、中枢神経の回復によるものが大部分ですが(これを1次性機能障害と言います)、実は私たちが臨床で見ている患者さんの状態には、これに筋肉のスパズムが重なっていますプラス

 筋スパズム2次性機能障害で、痙性麻痺肢の過用・誤用に伴う痛み、および関節機能障害等が原因で起こる筋肉の攣縮です。これは療法士が徒手的に直接治療できる障害です

 これがあると、例えば運動麻痺がより重く(筋収縮困難)、痙縮がより強く(筋緊張亢進)、感覚がより鈍く(感覚鈍麻、しびれ)なってしまい、また痛みによって片麻痺の運動障害をより助長します。

 ですから麻痺の運動療法を行う前に、これらの2次障害を治療しておくことが大前提であり、治療の出発点なんですね。そうしておかないとその後の運動療法や動作訓練が効果的に行えません 怒

 臨床では、治療ができないと評価(検査=原因究明はできません。
 例えば、片麻痺患者さんの異常歩行として見られる反張膝現象だけでも6つ以上の原因(機能障害)が考えられますその時に

「うーん、この患者さんの原因はあれかな~?これかな~?もしかしたら...うーん

 なんて悠長に考えて何週間も何か月も経ってしまうような療法士は、専門家とは言えませんよね。神経筋や関節の治療、あるいは動作介助の反応や変化を見て、数回の治療と訓練で原因を早期に判断します

 ちなみに私は、脳卒中患者さんの機能・能力的予後(特に歩行レベル)に関しては、おおよそ発症1か月半(6週)までに予測する習慣をつけています。そう、機能的予後の判断は療法士の役割なんですねポイント


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