筋萎縮とは、種々の原因によって筋の横断面積筋線維の直径が減少することを言い、筋の短縮(長さの減少)とは異なります

 筋線維は大きく分けて2種類ありますね。TypeⅠ筋線維(遅筋・赤筋)TypeⅡ筋線維(速筋・白筋)です。TypeⅡはさらに3つに分かれます。TypeⅠは持久力が、TypeⅡは瞬発力がそれぞれの機能ですね腕。

 実は患者さんの状態によって、萎縮する筋線維が異なります
(TypeⅠ筋線維が萎縮する状態)
①廃用:短縮位でのギプス固定など...ただしTypeⅡ萎縮の報告もある。
②長期間の疼痛
(TypeⅡ筋線維が萎縮する状態)

①加齢(高齢になるほど萎縮)
②栄養障害(不足)
③長期間のステロイド治療
※今回はALS、筋ジストロフィー等の疾患由来の筋萎縮を含んでいません。

 例えば中年期のまだ若い患者さんが、手術等で一定期間寝たきりだったとしても、訓練が始まると割とスッと立ち上がれます(立つのは瞬発力=TypeⅡ)。でもそのまま長くは立っていられないんです(立ち続けるのは持久力=TypeⅠ)。これが高齢で寝たきりの患者さんなら、どちらも萎縮しますので、立てないし立っていられないわけです。

 これらの2次的機能障害としての筋萎縮は、その原因が取り除かれれば自然とまた元の状態まで肥大してゆきます(加齢を除く)。経験的には、高齢者で早くとも4~6週ほどはかかるようです。

 また理学療法士が行う『筋力増強運動』は、実はこのような病的状態で行ってもほとんど効果はありません。経験的にはむしろOveruseとなって自然な回復を阻害することすらあります。これは健常者がいわ
ゆる“筋トレ”をして筋を肥大させることと同じ感覚で考えてしまっているからです。「萎縮を正常に戻すこと」「正常をさらに強化すること」を混同してはいけません。後者は医学ではなくスポーツです。

 筋萎縮を起こす上記の原因が取り除かれ、通常の日常生活動作を行ってゆくと、筋萎縮は自然と回復してゆくというのが私の見解です


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