治療者にとって怖いのは炎症です。基本的に炎症時は運動(療法)は禁忌となります。炎症部を動かすと必ず症候が増悪します
炎症の症候はご存じの通り4つ。
①発熱:炎症の本質は熱です。必ず熱を発しますので、手背で触れて左右差を比べます。しかし手の感覚では深部組織の熱(股関節や脊椎部)は分かりづらいこともあります。その場合、氷を当てると左右で溶け方に差異が出ます(そのままアイスマッサージにも使えます)。
②腫脹:浮腫とは異なり、通常は熱を伴う腫れです。痛みを伴う腫れは炎症でなくてもよく起こり、これは偽炎症です。関節機能障害によく見られ、徒手治療により急速に引きますが、炎症性腫脹の場合は当該部を動かすと逆に増悪します。
③発赤:動脈血が集まって赤くなりますが、通常は筋や関節などの皮下組織では分かりません。ちなみに皮膚に氷を当てると、異常がない場合は均一に発赤しますが、関節炎や筋炎、CRPSの方では表面の発赤がまだらに出ることが多いです。血管運動機能の異常でしょうか。
④疼痛:圧迫痛と夜間痛が特徴です。関節炎の場合は、骨の長軸方向に関節面を圧すると痛みが出ます。夜間痛の機序は分かりませんが、臨床での訴えは多いです。
上記4つの特徴があれば、当該部の運動療法(徒手治療)は行わず、主に安静とアイスマッサージを選択します。この“当該部の~”というのは、例えば肘関節炎の疑いがある場合は肘部の安静を図るという意味であり、頸、肩、手などの関節機能障害と筋スパズムの治療は行います(肘部を引っ張らないよう注意しながら)。その方が炎症の引きは確かに早いです ⇒『奇跡の氷』
難しいのはいつから炎症が始まったか?です。同じ炎症の程度でも、下図のように起こり初めと、終息しかけでは、理学療法による反応が両極端に分かれます。ですから現病歴と問診が重要となります
技術が高いほど、影響力も副作用も強く出やすいので、炎症かどうかの見極めは重要ですね
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