PT的レントゲンの見方第4弾です今回は肩部編ですが、ご存じの通り、肩複合体は肩甲上腕関節以外にも肩鎖関節胸鎖関節連結によって運動を起こし、また筋肉を介して胸肋関節肋椎関節も肩の動きに実は関与します。滑膜関節ではありませんが、肩甲胸郭関節第2肩関節を含める見方もありますよね。とにかく肩は複雑です肩

 ですので、今回はよく見る肩概観撮影での限定したポイントのみ話します。でもこれだけでもかなり治療に有用なヒントが得られます(対象は主に肩関節周囲炎、五十肩、腱板損傷疑い、肩OA、RA等の方です)

(肩概観)
肩1 
赤↑上腕骨頭の位置を見ます。片麻痺の亜脱臼では下制しますが、運動器障害の場合は割と骨頭が拳上してますよね。これは棘上筋がスパズムを起こして短縮していることを表しています。すると上腕骨頭と肩峰の隙間(第2肩関節)が狭くなりますので、必然的に棘上筋はその間に挟まれることになります。多くは、肩甲上腕関節の関節裂隙も狭くなっています(←関節機能障害を疑う)。

緑〇上腕骨大結節(棘上筋の停止部)の石灰化像を見ます。骨がギザついていたり、何だか白くモヤモヤっとしています。もっと進行すると棘上筋腱に沿った異所性骨化がはっきり見えます。

青〇肩鎖関節の裂隙幅と変形(骨棘、骨硬化像)を見ます。ここに関節機能障害が起こると、三角筋の前部と中部線維の間に疼痛とスパズムが遠位に走ります。結構多い症状です。元々肩峰の上に鎖骨端が乗っかってるだけの不安定な構造だからでしょうか。

 生の解剖(断面)を見ると下図のような感じ。確かに棘上筋って肩峰と骨頭の間に挟まれそうな構造してますもんね なんか自滅的だなぁ
肩3 
 
 それで治療ですが、私は関節機能障害を取り除く技術を使います棘上筋のスパズムは第2肋椎関節の機能障害が関与していますので、この関節を治療すれば即座に筋が弛緩し、肩甲上腕関節に遊びが出ます。そうして棘上筋の再教育運動を行うと、肩は痛みなく上がるようになります。ただし棘上筋の萎縮が進行したものや腱・関節包の損傷が激しいもの(軋轢音がする)は、理学療法での治療が難しくなります。
 
↓今日は真面目だっ

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