ある時、外来リハビリで来られた女性患者さんの肩痛のお話です。
その方は、先天性の脊椎後側弯症があり、鼻にチューブを付けて酸素ボンベを引いて歩いて来られました。主訴は左肩の痛みとのこと。
はじめに問診や世間話をしますが、その方はとても穏やかな物言いで、ずっと微笑しながら静かにお話されます。“優しさオーラ”が出てます
肩を動かす時は痛みで力が入るのが分かるのですが、その方は表情も変えず、私のほうが心配で「痛い時は遠慮せずに言って下さいね」と何度もお声をかけました。
触診すると左肩周りの筋肉は全てペラペラに萎縮し、可動性に乏しく、左腕をお腹にピッタリつけて歩くのがクセになっている状態。他動運動45度ほどで強い防御性収縮が出て、自動運動ではほぼ上がりません。
筋力の回復は時間がかかりそうなので、まずは痛みと可動性を治すため、肩周囲と、頸椎、胸椎、腰椎、肋椎、胸肋関節...ほぼ全身の関節の治療を行い、筋肉をマッサージします。幸い徒手治療の反応がよく、初回ですぐに筋肉の緊張がゆるんで、関節の遊びが出てきました。動きが軽くなったら良い兆候
他動で80度くらいまで可動性が広がったところで、その日は終了。
次の予約の日。その方に前回の治療後の反応をお尋ねすると...
女性 「お陰様でその日は久しぶりに痛みなく、ぐっすり眠れました。もう何年って痛くて眠れなかったんです。」
私 「(あ、そう言えば...)どれくらいの期間、痛かったんですか?」と聞くと
女性 「そうですね、20年くらいでしょうか」。。。
なんと1人の人間が生まれて成人するくらいの間、ずっと痛かったわけです。それを淡々と、物静かにお話しされる姿が印象的で、もう10年以上昔の話ですが、今でもよく覚えています。先天性のご病気で、きっと大変な苦労をされてきたと思います。
↓今日の雪すごすぎ...
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