胸水とは、肺と肋骨の間にある胸膜内に、通常よりも多くの水が溜まる症状です。「理学療法で胸水が減る」と言うと、にわかには信じ難いかもしれませんが、私が呼吸理学療法を行っていた時期によく経験しました。

 胸水には2種類あります。炎症性の滲出性(しんしゅつせい)胸水と、非炎症性の漏出性(ろしゅつせい)胸水です。残念ながら、前者の癌性胸膜炎に伴う胸水等は、理学療法では改善しないか悪化することもあります。
 
 漏出性胸水は、多くは心不全患者さんにみられますが、私がよく経験するのは、COPD等の呼吸器疾患の増悪に伴って心不全も悪化し、起こった胸水です。もちろん、心不全の薬物治療も入院時から併用されていますが、理学療法介入直後から、より速やかに胸水の減少を認めます。
 
 胸部レントゲンでは下記のような変化を見ます。PT介入前から心不全の薬物療法は行われていましたがあまり変化なく、PT介入直後より数日の間に胸水が急速に吸収されました。同時に胸郭の動きも改善しています。
胸水 

 機序として考えられるのは、胸郭可動性と横隔膜活動性の改善によって心肺の拡張・縮小の幅が大きくなり、心ポンプ作用を後押したり、肺血流を改善したり(肺水腫に対するNPPVのような作用?)とか、色々です。

 これ、きっちり研究するのに十分値する現象です...と私は思ってます。
 手足の浮腫みや関節の浮腫みがPTで改善するのだから、肺もイケるんじゃないかな。もちろん患者さんは呼吸苦が減って大変喜ばれます!

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