横綱に肉薄するドキュメント
「横綱照国物語」(152ページ、無明舎出版)が刊行された。
著者は湯沢市立三関小学校教諭で、
2008年「山下太郎地域文化奨励賞」を受賞した
史家の簗瀬均さん(55)。【佐藤正伸】
照国(1919〜1977、本名・菅万蔵)は15歳の時、
大森町八沢木(現横手市)出身の母トメさんと
同郷のいとこの清瀬川(関脇昇進)が興した伊勢ケ浜部屋に入門。
一家は父雄吉さんが45歳で急死し、
長兄の伝治さんも満州事変(現中国東北地区)で旧陸軍兵として
召集される緊急事態に陥った。
このため、照国は母と幼い二人の弟のために
「早く一人前の関取となり、仕送りしたい」
一心だったという。
大相撲が年2場所のころで、
当時史上最年少の23歳4カ月で第38代に昇進。
けがや病気に耐えながら、
「自分のことより家族の幸せ」
が第一の一念で綱を約10年張った。この間、優勝2回。
これらの逸話は、おいで生家を継いだ菅和夫さん(71)から
聞き取ったものが中心という。菅さんは
「おじさんのことが世の中に伝わって良かった」
と涙で目を潤ませた。
簗瀬さんは
「あの双葉山に3勝2敗と唯一勝ち越した照国は、
貧乏でその日暮らしが多かった当時の秋田の人たちを勇気づけた」
としている。