トラックバックさせていただいた某ブログの管理人さんから、
以下のような内容の投稿がありましたので一神職として回答してみたいと思います。
『「記紀」には、道徳に関する記述がなく、神道は無道徳である。』
*「記紀」とは神道古典にあたる、古事記&日本書紀のことです。
ところで、皆さんは「神道は無道徳」だと思いますか?
そんなこと改めて考えたこともないよ、と言う方が多いかも…(^_^;)
まずは、語義(言葉の意味)から確認してみましょうか。
Q&A【道徳】とは?
ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体。
法律と違い外的強制力としてではなく、個々人の内面的原理として働くものをいい、
また宗教と異なって超越者との関係ではなく人間相互の関係を規定するもの。
三省堂提供「大辞林 第二版」より
結論から言ってしまいますと、日本人には自分でも気づいていない人が多いのですが、
神道的な道徳が大きく内面的原理として働いているんですよ(^^)
まずは、「記紀」から確認してみましょうか。
以前に國學院大學の三橋教授の著書「みそぎ考」を紹介しましたが、
神道の道徳的基盤の一つに「まごころ」「まことの心」というのがあります。
「まごころ」「まことの心」↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fgnpd582/35508553.html
さらに、神道的な道徳に背く行為として、
「天津罪(あまつつみ)」と「国津罪(くにつつみ)」というものがあります。
【天津罪と国津罪】
参考:大法輪閣発行三橋健氏編「神道」
他の宗教においては、人間は生まれながらして罪や苦を背負っていると考えているようですが、
神道においては、罪とは、人間が一生涯を生きていく過程において、遵守すべき倫理や道徳に
背くこととしています。純粋無垢な赤子が、やがて大人へと成長するに従って、
知らず知らずのうちに、罪や穢れに汚れるからなのです。
▼はじめに
罪とは神聖な神の掟を破る行為です。また共同体の秩序を乱すような行為も罪といわれています。
罪を侵した者は身に穢れや罰を受け、贖いを必要としました。
それ故古くは、罪と罰とは一体のものでしたし、
そして「罪」も「罰」も、ともに「ツミ」と訓んでいました。
つまり罪を犯せば、当然のこととして罰が科せられ、
祓や贖いをしなければならないと考えられたのでした。
また、神道の罪の内容は複雑多岐に亙っています。
法制上では法律に違反する行為を犯罪と云っており、それに対する刑罰が科せられます。
倫理や道徳の世界(次元)では、人として守るべき道に反するような行為を罪悪と称しており、
罪は屡々悪の問題とされます。
仏教では、仏の戒めに背く行為が罪で、これらを罪業、罪障及び罪過などと称しています。
それでは神道においては罪をどのように考えてきたのでしょうか。
神道の罪の観念について述べてみます。
▼「大祓詞(おおはらえことば)」にみる様々な罪
神道では、罪を天津罪と国津罪に分けて考えてきました。
そのことは延長五年(西暦927)に完成しました「延喜式(えんぎしき)」
の巻八「祝詞」に収められている「大祓詞」にみえています。
既に千年以上も前のことになりますが、この祝詞は現在も神社などで奏上されています。
実は、八幡さんの秋祭り(宵祭り)でもこれを奏上してます(^^ゞ
さて「大祓詞」には、8種の天津罪と13種の国津罪とを列挙してあります。
中には罪の内容を具体的に分別することのできないものも少なくありませんが、
取りあえずそれらの名称を掲げ、簡単に説明してみましょう。
[天津罪]
①畔放ちアハナチ:米は、わが国の基本となる食糧ですので、この米を生産する稲作に関
して、田の畦アゼを壊して、田の水を干し、稲の生長を妨げること。
②溝埋めミゾウメ:田に水を引くために設けた溝を埋め、田へ水が通わなくすること。
③樋放ちヒハナチ:田に水を引くために設けた樋トイを壊し、田へ水が通わなくすること。
④重播きシキマキ:ある人が種を蒔いたところへ、別の人が重ねて種を蒔いて、作物の生
長を妨害すること。
⑤串刺しクシサシ:作物の収穫時に、所有権を示す札を他人の田畑に立て、それが自分の
ものであるとすることで、所有権の侵害をすること。
⑥生き剥ぎイキハギ:生きている馬の皮を剥ぐこと。
⑦逆剥ぎサカハギ:馬の皮を尻の方から剥ぐこと。
⑧糞戸クソヘ:収穫祭の祭場に汚いものを撒き散らすこと。
[国津神]
①生膚断ちイキハダタチ:生きている人の肌ハダに傷をつけること。
②死膚断ちシニハダタチ:死んだ人の肌に傷をつけること。
③白人シロビト:肌の色が白くなるなど、治療できない病気になること。
④胡久美コクミ:瘤コブができるなど、治療できない病気になること。
⑤おのが母犯せる罪:実母との相姦の罪
⑥おのが子犯す罪:実子との相姦の罪
⑦母と子と犯せる罪:まずある女と相姦し、後にその女の子と相姦すること。
⑧子と母と犯せる罪:まずある女と相姦し、後にその女の母と相姦すること。
⑨畜犯せる罪:家畜を相手に性欲を満足させること。
⑩昆ふ虫ハウムシの災ワザワイ:地に這う虫(昆虫や蛇など)から蒙るコウムル病気や障害など、
防ぎようのない有害な動物による災害
⑪高つ神の災:雷による災難など、防ぎようのない天災地変災害
⑫高つ鳥の災:空を飛ぶ鳥による被害など、防ぎようのない害鳥による被害
⑬畜仆しケモノタオシ、蠱物マジモノせる罪:家畜類を殺し、その血で悪神を祭り、人々をのろ
う呪いマジナイをすること。
現代人にとっては、なんだか唖然とするもの(ノ゚ο゚)ノ
そして罪とは思えないようなものも多いのですがこれらを分析してみます。
天津罪は国家や地域など、
社会生活の基盤たる共同体の維持に関する秩序に対して背くことが罪であるといえます。
古代の日本人の大半が従事していた農耕を妨害する行為が列挙されていますが、
簡単に言ってしまえば、共同体の「和」を乱す行為が罪だったわけです。
一方国津罪は、地域社会の一員として、遵守すべき倫理や道徳的の基,又は優秀な民
族の維持繁栄(日本人たる種の保存)に関して背くことが罪であるといえるようです。
あと一つ忘れるところでしたが、某大先生の本には、
「惟神の道(宇宙生命生存法則)に随うことが倫理道徳であり、
倫理道徳とは道に随う訓練鍛錬である」とあります。
関連記事【宗道としての神道の本質】↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fgnpd582/29342406.html
*諸説あります。
以下のような内容の投稿がありましたので一神職として回答してみたいと思います。
『「記紀」には、道徳に関する記述がなく、神道は無道徳である。』
*「記紀」とは神道古典にあたる、古事記&日本書紀のことです。
ところで、皆さんは「神道は無道徳」だと思いますか?
そんなこと改めて考えたこともないよ、と言う方が多いかも…(^_^;)
まずは、語義(言葉の意味)から確認してみましょうか。
Q&A【道徳】とは?
ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体。
法律と違い外的強制力としてではなく、個々人の内面的原理として働くものをいい、
また宗教と異なって超越者との関係ではなく人間相互の関係を規定するもの。
三省堂提供「大辞林 第二版」より
結論から言ってしまいますと、日本人には自分でも気づいていない人が多いのですが、
神道的な道徳が大きく内面的原理として働いているんですよ(^^)
まずは、「記紀」から確認してみましょうか。
以前に國學院大學の三橋教授の著書「みそぎ考」を紹介しましたが、
神道の道徳的基盤の一つに「まごころ」「まことの心」というのがあります。
「まごころ」「まことの心」↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fgnpd582/35508553.html
さらに、神道的な道徳に背く行為として、
「天津罪(あまつつみ)」と「国津罪(くにつつみ)」というものがあります。
【天津罪と国津罪】
参考:大法輪閣発行三橋健氏編「神道」
他の宗教においては、人間は生まれながらして罪や苦を背負っていると考えているようですが、
神道においては、罪とは、人間が一生涯を生きていく過程において、遵守すべき倫理や道徳に
背くこととしています。純粋無垢な赤子が、やがて大人へと成長するに従って、
知らず知らずのうちに、罪や穢れに汚れるからなのです。
▼はじめに
罪とは神聖な神の掟を破る行為です。また共同体の秩序を乱すような行為も罪といわれています。
罪を侵した者は身に穢れや罰を受け、贖いを必要としました。
それ故古くは、罪と罰とは一体のものでしたし、
そして「罪」も「罰」も、ともに「ツミ」と訓んでいました。
つまり罪を犯せば、当然のこととして罰が科せられ、
祓や贖いをしなければならないと考えられたのでした。
また、神道の罪の内容は複雑多岐に亙っています。
法制上では法律に違反する行為を犯罪と云っており、それに対する刑罰が科せられます。
倫理や道徳の世界(次元)では、人として守るべき道に反するような行為を罪悪と称しており、
罪は屡々悪の問題とされます。
仏教では、仏の戒めに背く行為が罪で、これらを罪業、罪障及び罪過などと称しています。
それでは神道においては罪をどのように考えてきたのでしょうか。
神道の罪の観念について述べてみます。
▼「大祓詞(おおはらえことば)」にみる様々な罪
神道では、罪を天津罪と国津罪に分けて考えてきました。
そのことは延長五年(西暦927)に完成しました「延喜式(えんぎしき)」
の巻八「祝詞」に収められている「大祓詞」にみえています。
既に千年以上も前のことになりますが、この祝詞は現在も神社などで奏上されています。
実は、八幡さんの秋祭り(宵祭り)でもこれを奏上してます(^^ゞ
さて「大祓詞」には、8種の天津罪と13種の国津罪とを列挙してあります。
中には罪の内容を具体的に分別することのできないものも少なくありませんが、
取りあえずそれらの名称を掲げ、簡単に説明してみましょう。
[天津罪]
①畔放ちアハナチ:米は、わが国の基本となる食糧ですので、この米を生産する稲作に関
して、田の畦アゼを壊して、田の水を干し、稲の生長を妨げること。
②溝埋めミゾウメ:田に水を引くために設けた溝を埋め、田へ水が通わなくすること。
③樋放ちヒハナチ:田に水を引くために設けた樋トイを壊し、田へ水が通わなくすること。
④重播きシキマキ:ある人が種を蒔いたところへ、別の人が重ねて種を蒔いて、作物の生
長を妨害すること。
⑤串刺しクシサシ:作物の収穫時に、所有権を示す札を他人の田畑に立て、それが自分の
ものであるとすることで、所有権の侵害をすること。
⑥生き剥ぎイキハギ:生きている馬の皮を剥ぐこと。
⑦逆剥ぎサカハギ:馬の皮を尻の方から剥ぐこと。
⑧糞戸クソヘ:収穫祭の祭場に汚いものを撒き散らすこと。
[国津神]
①生膚断ちイキハダタチ:生きている人の肌ハダに傷をつけること。
②死膚断ちシニハダタチ:死んだ人の肌に傷をつけること。
③白人シロビト:肌の色が白くなるなど、治療できない病気になること。
④胡久美コクミ:瘤コブができるなど、治療できない病気になること。
⑤おのが母犯せる罪:実母との相姦の罪
⑥おのが子犯す罪:実子との相姦の罪
⑦母と子と犯せる罪:まずある女と相姦し、後にその女の子と相姦すること。
⑧子と母と犯せる罪:まずある女と相姦し、後にその女の母と相姦すること。
⑨畜犯せる罪:家畜を相手に性欲を満足させること。
⑩昆ふ虫ハウムシの災ワザワイ:地に這う虫(昆虫や蛇など)から蒙るコウムル病気や障害など、
防ぎようのない有害な動物による災害
⑪高つ神の災:雷による災難など、防ぎようのない天災地変災害
⑫高つ鳥の災:空を飛ぶ鳥による被害など、防ぎようのない害鳥による被害
⑬畜仆しケモノタオシ、蠱物マジモノせる罪:家畜類を殺し、その血で悪神を祭り、人々をのろ
う呪いマジナイをすること。
現代人にとっては、なんだか唖然とするもの(ノ゚ο゚)ノ
そして罪とは思えないようなものも多いのですがこれらを分析してみます。
天津罪は国家や地域など、
社会生活の基盤たる共同体の維持に関する秩序に対して背くことが罪であるといえます。
古代の日本人の大半が従事していた農耕を妨害する行為が列挙されていますが、
簡単に言ってしまえば、共同体の「和」を乱す行為が罪だったわけです。
一方国津罪は、地域社会の一員として、遵守すべき倫理や道徳的の基,又は優秀な民
族の維持繁栄(日本人たる種の保存)に関して背くことが罪であるといえるようです。
あと一つ忘れるところでしたが、某大先生の本には、
「惟神の道(宇宙生命生存法則)に随うことが倫理道徳であり、
倫理道徳とは道に随う訓練鍛錬である」とあります。
関連記事【宗道としての神道の本質】↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fgnpd582/29342406.html
*諸説あります。