『神道神話に見る宇宙観』
以下社報十三号より抜粋
「宇宙」の概念は道教・老子の哲学から起こったものらしい。
「宇」は天と地・四方の空間、「宙」は時間を意味している。
我々の先人は、どんな宇宙観をもっていたのだろうか?
今回は、神道古典の一つ、古事記冒頭の部分だけを紹介してみたいと思う。
天地(あめつち)の初発(はじめ)の時、
高天原(たかあまのはら)に成(な)りませる神の名(みな)は、
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、
次に高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、次に神産巣日神(かみむすびのかみ)。
此の三柱(みはしら)の神は、並独神成(みなひとりかみな)り坐(ま)して、身を隠したまひき。
次に国稚(くにわか)く、浮脂(うきあぶら)の如くして、
久羅下那洲(くらげなす)多(た)陀(だ)用(よ)幣(へ)流(る)時に、
葦牙(あしかび)の如(ごとく)萌(も)え騰(あが)る物に因(よ)りて、
成(な)りませる神の名(みな)は宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)、
次に天之常立神(あめのとこたちのかみ)。
此の二柱(ふたはしら)の神も独神成(ひとりがみな)り坐(ま)して、身を隠したまひき。
上(かみ)の件(くだり)五柱(いつはしら)の神は、別天神(ことあまつかみ)。
神道神話ももちろん、宇宙の始まりから語り始めています。
しかし、その語り口は旧約聖書「創世記」と赴きを異にし、
「古事記」では「天地(あめつち)はじめて発(ひら)けし時」と、
天地の分かれる以前については述べず、
ただ何かが存在していたことを暗示する形で語りはじめている。
中国の古書「三五暦記」「淮南子(えなんじ)」などの影響を受けているといわれる。
つまり古代の日本人は、中国人と同様、存在世界のはじめに「絶対無の世界」を発想せず、
存在世界は所与・既存のものだと認識しているのである。
これは宇宙論(宇宙の起源・構造・終末などについての理論の総称)においても同様で、
「絶対無の世界」を前提とした科学的学説はないようです。
大切なのはその次の語りで、「高天原に成りませる神、み名は…」と説き、
しかる後に神聖(かみ)その中に生(あ)れます」としている。
つまり「創世記」のようにゴッドが存在世界一切を材料なしに創り出したというのではなく、
存在が先行してその存在から神が顕現したと発想しているのである。
参考文献
古事記解説(神社本庁)
神道辞典(弘文堂)など
*それぞれの神さまについての解説はまたの機会にでも更新しますね。
以下社報十三号より抜粋
「宇宙」の概念は道教・老子の哲学から起こったものらしい。
「宇」は天と地・四方の空間、「宙」は時間を意味している。
我々の先人は、どんな宇宙観をもっていたのだろうか?
今回は、神道古典の一つ、古事記冒頭の部分だけを紹介してみたいと思う。
天地(あめつち)の初発(はじめ)の時、
高天原(たかあまのはら)に成(な)りませる神の名(みな)は、
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、
次に高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、次に神産巣日神(かみむすびのかみ)。
此の三柱(みはしら)の神は、並独神成(みなひとりかみな)り坐(ま)して、身を隠したまひき。
次に国稚(くにわか)く、浮脂(うきあぶら)の如くして、
久羅下那洲(くらげなす)多(た)陀(だ)用(よ)幣(へ)流(る)時に、
葦牙(あしかび)の如(ごとく)萌(も)え騰(あが)る物に因(よ)りて、
成(な)りませる神の名(みな)は宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)、
次に天之常立神(あめのとこたちのかみ)。
此の二柱(ふたはしら)の神も独神成(ひとりがみな)り坐(ま)して、身を隠したまひき。
上(かみ)の件(くだり)五柱(いつはしら)の神は、別天神(ことあまつかみ)。
神道神話ももちろん、宇宙の始まりから語り始めています。
しかし、その語り口は旧約聖書「創世記」と赴きを異にし、
「古事記」では「天地(あめつち)はじめて発(ひら)けし時」と、
天地の分かれる以前については述べず、
ただ何かが存在していたことを暗示する形で語りはじめている。
中国の古書「三五暦記」「淮南子(えなんじ)」などの影響を受けているといわれる。
つまり古代の日本人は、中国人と同様、存在世界のはじめに「絶対無の世界」を発想せず、
存在世界は所与・既存のものだと認識しているのである。
これは宇宙論(宇宙の起源・構造・終末などについての理論の総称)においても同様で、
「絶対無の世界」を前提とした科学的学説はないようです。
大切なのはその次の語りで、「高天原に成りませる神、み名は…」と説き、
しかる後に神聖(かみ)その中に生(あ)れます」としている。
つまり「創世記」のようにゴッドが存在世界一切を材料なしに創り出したというのではなく、
存在が先行してその存在から神が顕現したと発想しているのである。
参考文献
古事記解説(神社本庁)
神道辞典(弘文堂)など
*それぞれの神さまについての解説はまたの機会にでも更新しますね。