第3話 不良同心


あれから平内は白石と岸辺に大説教を喰らった。たっぷりと2時間。説教が終わって出てきた平内。だが、全然前と変わっていない。まるでさっきまでの説教を

「聞き流していたような・・・」

感じであった。のんびりと茶を飲む平内。そこへ平次が現れた。

「平内、ちょっと居間に来い」

平内は言われたとおりに居間に行った。そこには平次が座っていた。いつもと違って険しい表情をしている。無言のままだ。そして・・やっと口を開いた。

「平内、何故お前は仕事をろくにせず怠ける?」

「・・・仕事をする気が起きないんですよ。」

「ほう・・」

「私は以前南町奉行所にいました。そこで怠けていて」

「ここに送られたわけか・・」

「お恥ずかしながら。」

「でも・・若い時は仕事に対する意欲がこれでもかというほど溢れていたのです。」

「それが何故、今みたいになったのじゃ?」

「新人の頃、手柄を立てたのです。初の手柄でした。しかし・・・そいつが上役に金をばらまいたのです。そしたらそいつは無罪放免。私は上役にこれでもかというぐらい怒られましたよ・・・」

「そうか・・・」

「所詮いくら仕事して手柄を立てたって、金の力さえあれば全て無になるんです。白の奴だって黒になって処刑されますよ。私は絶望したんですよ。だから逆に開き直って仕事をしないようになったんです。」

「そうだったのか・・・だがな平内、ここは、牙はそんな所ではないぞ。」

「え?」

「奉行所はそんな事ばかりしているから汚れ、腐敗して解決できる事件も解決できずに現在に至ったのじゃ。だからこそ牙みたいな組織が設立されたのじゃ。」

「・・・・」

「もし、この牙がそのように金の力に負けて腐敗してしまったら、全ては俺の責任。切腹する覚悟だ。」

「口先だけなら何度でも言える・・」

「俺の目を見よ!!」

平内は軽く驚きつつ、平次の目を見た。その目は・・金の力に溺れた上役の目ではなく、本当の漢の目だった。そして平内は思った。

「この方の下ならば・・・」