右翼の方には失礼かも知れないが、左翼は右翼の中にも巣くっていると思う。一度でも、その若き時代に左翼主義にかぶれた者は、それは根強く意識の中に顕在化して去らないと思う。


 世間で右翼と呼ばれる人たちの中にも、尊敬出来る人はいるが、その1人に荒原朴水(故人)という方がいた。、キリスト教のホーりネス教会の牧師であった。若い頃に、何度か、そのお話を聞き、感銘を受けた事があった。博学な方で、いつも向学心を忘れない性格の方でした。神学校出身であったから、何の解釈も、その立場からの研究法であったろうが、実に新鮮であった。


 右翼にもこういう人物がいるのかと驚いたものです。それでも、時々現憲法はオカマ憲法だと、ののしる。そうかと思うとイエスのような神々しい雰囲気があり、右翼テロリストの持つ凄味というものは感じられなかった。


 荒原氏本人、あるいはその著書から得たのは、絶対に共産主義者を信じてはイケないという事であった。彼らは、目的の為ならば、右翼や天皇さえ利用するという事であった。特に国家社会主義を掲げるものは、元は国際共産主義者の一味であり、一時的に、時代に合わせて避難的に、国家社会主義を掲げているだけだ!と・・・


 彼らは天皇や国家を利用して、社会主義革命を成功させようという企てがあると・・・


 この論は、今やあたり前のようになっているが、当時は、一部の専門家のみのものであった。


 その後、僕は自分なりに荒原朴水氏の述べられた事が忘れられず、色々と調べたら、本流右翼と言われる著名な方たちの中にも、これはと思われる人物がいたのです。当時の日本社会党の大幹部と親しかった某氏などは怪しかった。


 北一輝は、2・26事件の首謀者で、右翼からは神話的英雄となっていますが、僕は怪しい人物の一人と思っています。青年将校たちの純真なる至誠は本物であっても、北一輝の本当の姿は、世界の共産化を目論む謀略家であり、扇動家ではなかったのか・・・


 万巻の書を読破した北一輝が社会主義に触れなかったという事は考えられない。また、北は法華経の熱心な行者でしたから、社会主義から共産主義世界に移行して行く世界に、宗教的地上天国と重なる夢を見ていたのかも知れません。


 世界の変革を望むインテリが、共産主義世界こそ真理だと錯誤し、それに歓喜した時代があった事を忘れてはならないのです。戦前戦後の世界の指導者たちもそうです。あのヒットラーさえも「国家社会主義労働者党」(ナチス)の看板を掲げていました。ヒトラーのナチスが先の大戦で勝利していたならば、ソビエトは、世界共産主義の運動の本部の地位を奪われ、ヒトラーのドイツに取って代わられたでしょう。


 田母神論文の米国共産主義者の陰謀に、日本のマスコミは、その真偽を探らずに、蓋をするように、何故に沈黙したのでしょう。また、あれだけ騒ぎながら、田母神氏が国会に呼ばれ喚問を受けている姿を、何故に放映しなかったのか??・・・


 そうなんです。

 

 自分たちが戦前の暗黒政治の犯人と決めつけていた右翼や軍人が、本当はコミュニストであったからです。世間がそれに関心を持ち、研究する者が増えては困るからです。


 あまり長く記すと、厭きられるので、この辺で止めますが、若い人たちが、先の大戦の研究をする時のヒントになればと思いました。