文章を考えるときに、もっとも妙案の浮ぶのは、馬上、枕上、側上の三上だと北宋の文学者欧陽修の文にある。
馬上とは今様にいうと車を運転している時か通勤電車の中になろう。
廊上はトイレの中、考える人のスタイルだからこれもよい。
枕上とは言わずと知れた寝ているとき。
私なんかは寝ていて夢でこれはいけるアイデアだと思っていても、覚めればなんのことはない愚考ばかり。
ところが湯川秀樹博士は、台風で雨戸がガタガタしてなかなか寝つけず枕の位置を変えたりしていたが、そのうちウツラウツラしはじめた瞬間に、「中間子論」の着想がわいたという。
もう一人のノーベル賞学者の福井謙一博士も「フロンティア電子理論」を思いつかれたのも寝床の中だったと語っておられる。
元素周期表のメンデレエフやベンゼン核のケクレの両者も夢の中や寝入りばなで発想したと枕の上で歴史的アイデアが生まれた例は古今東西数多い。
イギリスの小説家ウォルター・スコット
は難問にぶつかるたびに「ひと晩寝て考えよう」といったそうだ。
ひと晩寝て枕に相談しようと例文が出てきて、枕が重要な役目をしていることになる。