引退から5年。部屋創立から3年で早、弟子が幕内最高優勝を果たしました。


二所ノ関部屋の小結大の里関が12勝3敗で初優勝を果たしました。昨年夏場所に幕下10枚目格付出しで初土俵を踏み、所要7場所目での初優勝は、史上最速です。


師匠の元横綱稀勢の里とは対照的な初優勝です。稀勢の里は貴乃花に次ぐ2番目の若さでの新入幕でしたが、初優勝にはなかなか届きませんでした。初優勝を果たした時は、初土俵から89場所を要していました。その間準優勝は史上最多の12回。13勝を挙げても優勝に届かなかったことは一度や二度ではありませんでした。


12勝での優勝については二所ノ関親方も「これでいいと思うなよ」と言っていましたが、このような経験をしてきた親方の言葉には説得力があります。


「優勝しても喜ぶな」と二所ノ関親方は大の里関に声をかけたそうです。これも先々代鳴戸親方、元横綱隆の里の教えでしょう。初代若乃花、隆の里、稀勢の里の系譜の教えは語り継がれます。その稀勢の里、二所ノ関親方の一番弟子の優勝は、新しい時代の到来を予感させます。「四股を踏め。腰を割っておけ。これが楽しくなってきたら横綱になれる」との二所ノ関親方のコメントがありました。この教えを守れば、そう遠くはない日に、横綱大の里が誕生するでしょう。


それでは千秋楽の解説コーナー▶︎▶︎▶︎


十両の遠藤は千秋楽を白星で飾れず。しかし12勝3敗の好成績で、来年度は帰り入幕です。


○高安-豪ノ山●

高安に吸い込まれるように右四つに。得意との逆の四つですが、タイミングよく上手出し投げ。途中休場があった高安ですが、負け越しを最小限に留める7勝目。


●琴勝峰-大栄翔○

大栄翔が突き押しで攻め立て、琴勝峰も応戦。琴勝峰のイナシに揺らぐも、大栄翔の右からの突き落としが決まり、優勝に可能性を繋ぐ11勝目。


○大の里-阿炎●

阿炎のモロ手突きをものともせず、大の里が体を寄せて押し出し。この瞬間大の里の初優勝が決定。


●豊昇龍-琴桜○

大関同士の結びの一番。モロ差しを狙った琴桜。果たせないとみるや、左上手を取り、それを切られ出られるも落ち着いて小手投げ。


大の里関の史上最速で幕を閉じた夏場所。しかし私には大の里関に負けてほしくない力士達がいます。二所ノ関親方の弟弟子高安関、人気実力共に角界トップクラスの遠藤関、貴乃花親方最後の弟子貴景勝関です。この3人が横綱になるのを見届けてから、大の里関の横綱昇進を応援したいと思います。もちろん大の里関もこれまで通り応援しますよ。