映画「ヒトラーの忘れもの」2015年公開 | 日々是湧日 ヒビコレユウジツ

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2021年までは、主に映画(ドキュメンタリー多、ネタバレ多)・書籍からの感想、2023年からは、映画・書籍にとらわれずにやってます。

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 第二次世界大戦後の地雷撤去という事実を元にしたデンマーク映画。

【ストーリー】
第二次世界大戦で、ドイツは大西洋からの英米の侵略を防ぐために、大西洋沿岸に機雷や地雷を埋めた。
2685kmに及ぶ距離に地雷の数の合計が1億個以上とも言われる海岸防衛線だ。

 

大西洋の壁



その内、デンマークには200万個以上の地雷が埋まり、その撤去をデンマークに残ったドイツの少年兵(15~18歳)にさせることにした。
戦勝国が敗戦国の捕虜を奴隷のように使うことは、法律で犯罪とされたが、デンマークは戦時中にドイツの保護国だったため、戦勝国に当たらず法の抜け穴となってしまった。

【見どころ】
何といっても地雷撤去の時の緊張感。
シンプルな作業ではあるが、人が一つ一つやるしかない。
失敗したら、重症か死が待っている。
見ていて息が詰まる。

そして最大のものは、

軍曹の葛藤。
デンマーク人の軍曹が1人で少年兵たちを管理する。

ドイツ人に対する怒りをどう処理するべきか?
将来のある若者の尊厳をどう守るべきか?
どこまで厳しく接し、食事をどこまで与えるのか?

自分が軍曹の立場だったらどう行動するのか?
考えさせられるものだった。

【題名のメッセージ】
原題は、
「Under sandet」(=砂の下)

英題は、
「LAND OF MINE」
地雷(=Land mine)と”自分の土地”とが掛かっている。
我が国(デンマーク)に一体何てことをしてくれたんだ!
ドイツ人出ていけ!
という思い。

邦題は、
「ヒトラーの忘れもの」
忘れものとは地雷と、ある意味物とし扱われた少年兵とが掛かっている。

いろいろな角度での見方を示してくれている。

【最後に】
デンマークに埋まる地雷の170万個がドイツ人の少年兵2000名によって撤去された。
2000名の半数が重症もしくは命を失った。

この映画は、正解がどこにあるか?わからず、混乱するような映画だった。
終戦後にも残る戦争の爪痕をあらためて認識させ、戦争というものの持つ狂気を、あらためて印象付けた。

 

狂気

2685kmにも及ぶ防衛線

少年兵による地雷撤去


そして、人間とは何か?人間の尊厳は?
敵に対して愛をどこまで持ちうるのか?

ということを問いかけてくるようだった。