中将姫と二上の具縁さん ―後篇― 聖衆来迎練供養会式のはじまり ~ 【葛城のむかしばなし】より | 奈良ふしぎ歴史徹底攻略! 学校・教科書では教えてくれない奈良を親子でも100倍楽しめる観光ガイドブックブログ

中将姫と二上の具縁さん ―後篇― 聖衆来迎練供養会式のはじまり ~ 【葛城のむかしばなし】より

中将姫のラストシーンである生きたまま成仏した場面を、再現した當麻寺の聖衆来迎練供養。
聖衆来迎練供養をはじめるきっかけには、意外な理由がありました。
実は、中将姫のラストシーンを目撃した人がいたのですね。


むかし、一人のおぼうさんがお参りの帰りに、一羽の鳥が子供たちにいじめられているのを見かねて助けてあげました。
助けられた鳥は、頭を三回縦にふると、たちまち人間の姿になりました。
「わたしは二上の具縁(ぐえん)じゃ」
と、その人はいいました。
お坊さんは驚いて、
「あなたが、あの名高い具縁さんでございますか。具縁さんといえば、修行をつまれたお方ではありませんか。
それなのにどうして子供につかまった時にすぐに人間の姿におもどりにならなかったのですか?」
「わたしは頭を三回ふって念じると、何のすがたでもなれる。しかし、さきほどは子供たちに頭をおさえつけられていたので、人の姿にもどれなかった。
よう助けてくれたのう。助けてくれた例に、中将姫が西方浄土へ行かれたときの様子を見せてしんぜよう。では・・・」
そう言うと具縁さんは、頭を三回ふって、再び鳥の姿になると、山の方へと飛んでいってしまいました。


日が暮れて、お寺へ戻ったお坊さんが寝床に入ってうとうとし始めた時です。
夢の中で二上山がでてきました。
二上山の真ん中のくぼんだ「馬の背」といわれるところが、ぼーっと明るくなってきて、やがて紫の雲がたなびきはじめました。

雲の間に後光をいただいた阿弥陀如来様がお立ちになり、その御身体から光の橋が當麻寺までのびていきました。
その橋の上を、大悲観世音、大勢至、薬王、薬上、普賢、獅子吼、陀羅尼、虚空蔵、徳蔵、法蔵、金蔵、金剛蔵、光明王、山海恵、華厳王、衆宝王、月光王、三珠王、定自在王、大自在、白象王、大威徳王、無辺身、文殊、地蔵、龍樹の二十五菩薩が渡っておいでになりました。

そして、観音菩薩が中将姫をお手にいだかれると、再び光の橋をわたって阿弥陀如来様のもとへお帰りになりました。


翌朝、めざめたお坊さんは、自分がみた夢をみなに話してきかせました。
この話を元に、當麻寺で聖衆来迎練供養をおこなわれるようになったそうです。





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