穴の中から ― 後篇 ― ~ 「龍になった皇子 大津皇子物語」 【葛城のむかしばなし】より
龍は、穴の中で大きく体をくねらせ、尻尾で岩をくだきました。
閉じ込められていた岩穴を壊し、外へと身をおどらせました。
地を割り、木々をなぎ倒し、大きな体をくねらせて山々の峰を這い回りました。
そして稲妻を落とし、激しい雨を降らせました。
雨は幾日も降り続き、川は氾濫し田畑や村の家々をのみこんでいきます。
山が崩れ、人も馬も牛も、暴れまわる龍に恐れ、逃げまどいます。
「恐ろしい事じゃ、たたりじゃ、皇子さまのたたりじゃ」
「だれか皇子さまの魂を鎮めてくださらぬか」
村中の人びとが皇子が怒りを鎮めることを願いました。
龍は、抑えることはできない怒りと悲しみにもだえ苦しんでいました。
火を吐き、雨を降らし暴れ続けました。
その時です。
どこからかやわらかな笛の音が聞こえてきました。
龍は暴れるのをやめ、笛の音がする方へとふりむきました。
なんと一人の娘が静かに笛をふいているではありませんか。
不思議なことに龍はじっと笛の音に耳をかたむけはじめました。
やがて激しく降っていた雨がやみ、雲が晴れ光がさしこんできました。
龍のからだが金色に輝き、大きく首をもたげると、天をめざして高く高く上っていきました。
人びとは龍が怒りを鎮めたことに歓喜したのでした。
この出来事を知った時の天皇は、皇子の亡きがらを手厚く葬られたということです。
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山が崩れ、人も馬も牛も、暴れまわる龍に恐れ、逃げまどいます。
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やがて激しく降っていた雨がやみ、雲が晴れ光がさしこんできました。
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