さまよえる炎・ジャンジャン火 ~大和戦国武将・十市遠忠の怨念 【夏特集・奈良ミステリーゾーン】
明治の頃、加茂駅から奈良駅を結ぶ大仏鉄道竣工されました。そこに力自慢の青年がいて、己の腕を過信して、周囲のひとたちを脅していました。
少し懲らしめてやろうと思った同僚達。
青年の力をためしてやると、高いところから重い荷物を投げつけてやりました。
あっけなく青年は荷物につぶされて死んでしまいました。
その日から、大仏鉄道のトンネルには、謎の火の玉が夜な夜な、さ迷い出るようになりました。
現れるときに、ジャンジャン音を鳴らしながら現れるの、ジャンジャン火とも、
ほーい、ほーいと声をかけると、近づいてくるのでほいほい火とも呼ばれています。
ジャンジャン火のお話は奈良では数多く語られています。ヒトダマと異なるのは、ジャンジャン火は人を襲います。
人を焼き殺すなど、恐ろしい怪異現象です。
このように明治の近世にも、その伝説は語られています。
有名なところでは、天理市藤井町の龍王山です。
そこに大和戦国武将・十市遠忠(とおいちとおただ)が、城を築いていました。
しかし松永久秀との戦に負け、大勢の家臣ともども炎上する城で命を落とします。
彼らの恨みは城跡にのこり、成仏できないまま、真っ赤な火の玉となって山上にあらわれるようになったのです。
それを見た里の村人が「ホイホイ火の玉だ」と言った途端、山上より無数の火の玉がジャンジャンとうなりをあげて押し寄せて、その村人を焼き殺してしまいます。
そんなことが度々おこるので、龍王山周辺の集落では、「ほいほい火、ジャンジャン火」のことを見ない、口にしないようにと誓いあったそうです。
ジャンジャン火は、その他、奈良市法華寺町、白毫町、大和郡山市など、奈良県の各地で目撃されています。幾度なく、侍や、力自慢の相撲取りなど腕に自信を持つ者が、このジャンジャン火を退治してやろうと名乗りをあげますが、黒コゲになって殺されてしまったそうな。