伊勢神宮紀行(2)・時速80キロの旅 | 奈良ふしぎ歴史徹底攻略! 学校・教科書では教えてくれない奈良を親子でも100倍楽しめる観光ガイドブックブログ

伊勢神宮紀行(2)・時速80キロの旅

YE氏と合流し、一路、三重県は伊勢市を目指す。


奈良公園を横切り天理市へ。
天理から名阪国道で名古屋・亀山方面へ進む。
雨は奈良ではいったんやんでいたが、山間部に入ると降りだした。
車のタイヤをいたわりつつ、スペアタイヤの限界速度・時速80キロを気にしながら走行していた。

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車の中で、お互いの今の仕事のことを話した。
まずは、あまり愉快と言えない内容ではある。
・・・契約期間のこと。
・・・不況のこと。
・・・会社のこと。
ひととおり話すと馬鹿話にもりあがる。


深夜だけにトラックや、他の車が、猛スピードで追い抜いては、暗闇へ消えていく。
出立時間が予定より大幅に遅れ、さらに速度がだせない。
朝日の撮影はこの時点であきらめていた。
後は、天気だけでもなんとかならないかなぁと思いつつ、

「雨にけぶる伊勢神宮もいいよね。」といっていみた。

「きっと晴れますよぉ。」と、きっぱりとYE氏は意見をかえない。

そうこうしていくうちに、空が黒から紺色へ序々に変化する。
伊勢自動車道にのるころ、明るさをましてゆく。
いつしかYE氏は自前の毛布をかぶって眠っていた。
天をあつい雲が覆い、山あいから流れ出した霧が下界へとなだれこむ。
見渡す先は乳白色の世界だった。

「すげぇ真っ白だぁ!」
ふと眼をさましたYE氏が声をあげる。
あたかも雲海にもぐりこんだ様相である。
風の加減で、霧が山から天の雲へと吹きあがる。
その様を見ては、「山神様がお怒りだぁ」とはしゃぐ。
「・・・噴火かよっ。」と突っ込んでみる。
トンネルを抜けると、深い霧で数百メートル先の道が呑み込まれていた。
周囲の景色も霧で見通しがきかない。
見事な三角錐の山影が、あたかも雲の中に浮かぶように連なっていた。
現実離れした風景に、「鈴木さん、もしかして、死者の国への道のりですか。」
「ぼくら、死んでるの?いつ事故ったんだ?」
「ふたりとも死んでる!」

津市、松坂市を超え、宮川にさしかかったとき、
「ほら、晴れるよ」とEM氏が言うので、瞬間、助手席側を振りかえった。
ちょうど川の上の、空を覆う雲が割れて、オレンジ色の太陽がのぞいていた。
次に天井のルーフを見上げると、雲が薄く、青空が滲んでいた。

どうやら、YE氏には神様のご加護があるようだ。




(つづく)