小説【生駒山上遊園地】(1)
閉園間際までいた生駒山上遊園地からの帰り。
近鉄生駒駅。
大阪難波行きの電車にのりこむ。
遅い時間まで、家族とつきあっていたが、頭のすみでは、”明日は仕事だ”が連呼されていた。
腕白ボウズにつきあわされて、ふりまわされて、すっかり疲れ切ってしまった。
「重いなぁ~」
電車の中の蛍光灯のあかりは、現実感を呼び起こす。
だけど、いつもより白っぽく、あかるすぎるように感じる。
原色のイルミネーションと、暗がりにいたのだ。
目がなじんでいないのだろう。
歩けないとだだこねた腕白ボウスは、今は、背中におぶさり眠っている。
肩越しに振りかえる。
あわさった瞼のまつげと、小さなこぶしにならんだえくぼに、思わず、笑みがこぼれる。
はたと妻に見られる。
苦笑いを浮かべる。
妻は、笑顔を浮かべた。
ふと、前に座っていた老婆が立ち上がった。
にっこり微笑んで、席をゆずってくれた。
疲れていたので、あまんじてゆずってもらうことにした。
もうしわけないぐらい頭を下げる。
ボウズを抱えるようにして、腰をおろす。
重くなったなぁ・・・
ふっと息をつく。
ありがとうと、妻が言った。
「なんだよ・・・」
「うん」